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里帰り

 お盆に実家へ帰る。昨年春、母親が亡くなると帰る理由もなくなり、せめてお盆くらいはと、弟夫婦が住む実家に帰った。県道から車で20分ほど入り込む山の中、田圃や近くの森からの風が涼しい。久しぶりに弟と話す。ほとんどは、村の誰彼が死んだ話だ。100歳まで老人ホームにいた人。退職後、癌が見つかった同級生。村から出て行っても、みんな死ぬ時には帰ってくるのだ。村全体が墓場である。コロナ後は、葬式も地味になり、老人ばかりの村は助かる。

 村の世帯数は今や10軒ほど。昔は、祝言や子供の誕生、喧嘩、駆け落ちやらと、生々しい事もたくさんあった。今は子供がいない村である。
 野菜を植えても、鹿や猪が食べてしまうらしい。今年は、スイカやマクワウリのお土産がもらえなかった。

 村ができたのは戦国時代。落武者の子孫か、足軽百姓か。500年も住まわせてもらった。そろそろお返しする時が来たようだ。年金暮らしの弟は、固定資産税に悩まされている。

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