四度寝ならず

二度寝、三度寝でうだうだしていたとき、電話が鳴った。
滅多に電話など寄越さない叔母からだった。
そこまで気心知れた仲というわけでもないのでちょっとよそいきに、できるだけ寝てたことがばれないよう、声を張って出た。

あのね○○って番号が出ててそのあとにあなたの電話番号があってこれなんなのかわからないのよね。

たぶんわからない率で言えば私の方が断然上だと思う。
用件の前に名乗るとか、挨拶とか、日常会話とかを挟む大切さを実感する。

叔母はわりと気性が激しいほうで、
その話し方はとても忙しない。
こちらに話す隙を与えないほど矢継ぎ早に言葉が流れ出る。

詳しく聞いても全部はよくわからなかったけれど、
要するに、着信らしき記録があったのに着信音はならないし、
電話番号の前によくわからない数字があるし、何事かと思ったらしい。

こちらからは電話してないことがわかると、疑問は残るものの、少し安心したようで、

あ、用件から話してごめんね。ゆっくりしてたとこだったでしょう。

やっと普通の会話になって、ほどなく終わった。

叔母は母の妹。
そういえば母も用件から話す人だったなと思い出す。
母は「あのさーー」で始まってかなりゆっくりだったけど。

もう完全に目が覚めた。
四度寝はせずに済んだ。

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