見出し画像

百合姫読切の「スノウトーク」が好きだって話

百合姫3月号に掲載された純玲先生の読切「スノウトーク」の感想です。なぜ、このタイミングで書くのかって言うと、電子版限定で「ユリビュート 百合姫読切再録集」が発売されたからです。
読切作品なのもあり、ネタバレをあまりできないという面では多くを語れないのですが、お願いだから、1回読んでほしい……!!!その熱意を伝えるためだけにこの記事を書いております。

本誌で一度目を通した時、こんなに美しいストーリーを、このページ数で描き切ることができるものなのか、、、と圧倒されたのが第一印象でした。
とあることが原因で声が出なくなってしまった演劇部の少女と、よく同じ電車に乗るお姉さんの出会いが織り成すハートウォーミングストーリー。
タイトルにあるとおり、雪の季節のお話で、1ページ目の静寂の表現から始まり、会話はあれど、しんしんと静寂の雪が降り積もっていくイメージで進みます。そこから、お姉さんに話しかけられることで、物語に温度と音が増えてゆく。その表現があまりにも秀逸で惚れ惚れしてしまう。
少女の繊細な心の機微を、丹念に丁寧に描き出したこの作品は、ここ数年掲載された百合姫の読切作品の中では、間違いなく、一、二を争う珠玉の作品です。
出会いがあれば、別れもあるのですが……。声が出ないためにスマホのメモ機能に話したいことを打ち込んで会話をする、という手法を、最後の最後、綺麗な演出にまとめているところもまた、「ああ、好きだわ」ってなってしまうんですよね。
瑞々しくて素朴で真っ直ぐで、丁寧で美しい。
電子版での収録ということなので、純玲先生の短編集等が発売されない限りは、なかなか手に取っていただきにくい状況なので、もしもご興味あれば、「ユリビュート 百合姫読切再録集」をお手元に……という心地です。再録されている他の作品も良いものが多いです。私が好きなのは「蔓日々草」「あの日の続きをしましょうか」「桜日和のへたれなワンコ」「ないしょの向日葵」です。

それはきっと恋でした。


この記事が参加している募集

マンガ感想文

もしよければ、俊平にスポドリ奢ってあげてください(^-^)