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業務日誌、みたいなもの(2020/5/11〜5/17)


2020/05/12(月)
真夏のような日、30度近くまで気温があがる。
ラジオ体操をして、書籍の作業に取り掛かる。
ネットでは、#検察庁法に抗議します のハッシュタグが大きなうねりになっていた。

2020/05/12(火)
書籍の執筆と細々とした作業を進める。
昼過ぎに久々にパートナーが会社に行く。
久々にひとりの時間、なにしようかと一瞬、浮足立ったけれど、
結局コンビニでハーゲンダッツを買って終わった。

夕方、昔からお世話になっているショップの人からメールが。
今度店頭に並ぶスカートが、茨木のりこの「6月」の詩がイメージされたものなのだと教えてくれた。

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このショップのDMメールのおもしろいところは、
写真が添付されていないところ。
通常、新作の案内ならば写真1枚添付して、
なんならオンライン通販できるURLでも送れば、
手っ取り早いもの。けれども彼らはそういう「営業」はしない。
なので私も、まだ見ぬスカートに思いを寄せる。
そして長い休みが明けたら、美しいスカートに会いに街へ出ようと思う。

夜は小一時間ほど、近所をウォーキング。
「ブラシの木」が真っ赤に燃えるように咲いていた。

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2020/05/13(水)
午前中、特定定額給付金のオンライン申請をしようと思うも、
例によってマイナンバーカードのパスワードで挫折してしまう。
管理できていない自分が悪いのだけれど
なんだか「10万円、タダではあげないぞ」と言われている感じがしてしょげてしまった。郵送の手続きを待つ。

昼過ぎ、いまだロックダウン中のLAにいるマリカから、
最新のポルノ事情について話を聞く。

珍しく「東洋経済オンライン」で記事が更新される。
これに限らず記事が更新される日はなんだかいつも落ち着かない。
テレワーク、糖質制限、働き方、貧困、AVのレビューと
なんだかキャリアがとっ散らかっている。
これを芸域の広さと捉えていいのか、たまに悩む。
どんなジャンルにもクビを突っ込んでいても底流にあるのは、
「どんなに気取っておカタイこと言っていても、人間いつどうなるか分からないし、脱いだらみんな同じでしょ」という諦念感かもしれない。

2020/05/14(木)
午前中は企画書を1本、午後は納品物の手直しと特集の念稿をチェック。

毎日朝8時過ぎには起きて、3食自炊して、仕事前にはラジオ体操して、
10時から仕事に取り掛かり、夕方にはウォーキング兼ねた夕食の買い出しをして、夕飯食べてまた夜仕事して。作業が終わったらヨガ動画を見て……とてつもなく地味な日々が続いている。

ある意味、ムダはないし、
とても本質的なことばかりこなしているのだけれど、
時間の感覚にメリハリがないし、立体感に欠ける。
薄味のお吸い物をずっと飲んでいる感じ。
ただその時間の奥行きって
自分だけでは必ずしも生み出せなくて
展示だったり映画だったり、飲み会だったり
他者から提供されて、はじめて輪郭を与えられるものなのかもしれない。


2020/05/15(金)
もったいないくらい晴れている爽やかな日。
普段、常用の胃薬を月に1回取りに行っているのだけれど、
かかりつけの病院が電話&オンライン診療に切り替わっていた。

打ち合わせと打ち合わせの間、検察庁法改正の答弁の中継を見る。大臣の要領を得ない話法に、具合が悪くなりそうになる。

2020/05/16(土)
パートナーの子どもが泊まりに来る。
我が家にいるときしか、iPadができないみたいで
本当にずっとゲーム実況をYouTubeで見ていた。
夕飯後、私はZoomでの取材を1本。

夜、「天才編集者」のセクハラ・パワハラについての文春砲が。
ライターの女性の告発ということで、
刺し違える覚悟だろうし、
同じ職種で他人事に感じられないことも多く、読んでいていたたまれなくなる。あまり他の業種の人は興味ないかもしれないんだけど、
私たちライターにとって、編集者って
彼らの判断で本を出せたり、記事を書けたり、
いわば「力を持った」存在なのだ。
そして力を持った存在が、その力に無自覚なのはやはり困る。

特に書籍のように作業量が多く、拘束が長期にわたる案件で、
なかなかギャラの話をしてくれなくても、
平静を装ってそれとな〜く聞いてみたり、
「家に行きたい」と冗談でも言われたら、相手の機嫌を損ねないように、
軽やかに交わさないといけないとか、なかなかの地獄。

そして私たちも、やっぱり弱いばかりでもいられなくて、
政府にもクライアントにも
理不尽を突きつけられたときには、
NOと言わないといけない。怒らないといけない。
スキャンダルはスキャンダルの域を出ない部分もあるけれど
少なくても本が出るまで契約書を結べない出版業界の悪しき慣習は、これを機に見直されたらとも思う。

2020/05/17(日)
子どもは朝が早い。
午前中は、地理の都道府県の勉強。
地図を見て県名を書くプリントを答え合わせしていた際、
間違えた箇所を消しゴムで消そうとするので、思わず注意する。
彼はなにが悪いのか一瞬わからなかったようで、
きょとんとして、ふてくされた。
「間違ったところは、間違いって認めないと次も同じミスをするよ」ということから、
「そもそもこの問題は正解を書くことが目的じゃなくて、覚えるためにやっているんでしょ」
「間違いをなかったことにしてはだめだよ」
「そうやって大人になった人が、公文書を改ざんするようになるんだろ」と大人二人がかりで正論めいたことを語ってしまった。

近所の公園は、家族連れでみっしり。
マスク姿の子どもたちが、池でザリガニ釣りをしていた。

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