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ランタナちゃんと、みさるんちゃん。

 おばあちゃん、というよりも、おそらくひいおばあちゃんだと思う。そんな感じのおばあちゃんが、小さな孫娘(というか、おそらく、ひ孫)の手をひいて、お散歩していた。

 「ねー、みさるんちゃん、このお花なんていうの?」

 一人称が自分の名前にちゃん付け、という小さな子はよくいる。文脈がちょっと不思議だけど(笑)みさちゃんっていう名前なのかな。

 「ランタナっていうんよ。可愛いけど、ちょっと毒があるから、触ったらあかんよ。」

 「えー。ランタナちゃん、こんなに可愛いのにー!」

 みさちゃんは、お花にもちゃん付けをする子のようだ。ちなみに、ランタナの毒の名前は「ランタニン」という。私の脳内では「乱他人」と記憶されている。

 不意に、みさちゃんがランタナに手を伸ばした。あわてて引き戻す、おばあちゃん。

 「ほらっ、ゆあちゃん、あかん言うたやろ!」

 ん? ゆあちゃん? この子、みさちゃんじゃなかったのか?

 「えー! だってー、ランタナちゃん可愛いもん。ちょっとぐらいええやん、みさるんちゃん!」

 ・・・みさるんちゃん、というのは、おばあちゃんの名前だったようだ。

 ランタナちゃんも可愛いが、みさるんちゃん、という響きもなかなか可愛い。

 このおばあちゃんのお名前は、きっと、みさゑさんですね。

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