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ステーキ

パートナーと一緒に、イアタリア料理店へ行きました。

そこは静かな住宅街のなかにある、おしゃれな雰囲気のお店です。
もともと本店があり、2号店がオープンすると聞いたので、行くことにしました。

間接照明が清潔な店内を照らしています。
スタッフさんは若い人たちばかり。おそらく20代でしょう。
おそろいの黒いTシャツにエプロンをしていました。
弾むような声と明るい笑顔で迎えてくれたので、こちらも笑顔で返します。

お勧めの料理を尋ねると、
「ロッシーニ風ステーキです」という返事でした。
メインディッシュをそれに決めて、前菜をつまみながら待っていました。

ロッシーニ風ステーキは、牛フィレ肉の上にフォワグラを乗せたお料理。
トリュフを散らすと、更に風味が増します。

イタリアの作曲家であるロッシーニが好んだことから、その名前がつけられました。
彼はオペラ楽曲を手がけただけでなく、美食家としても有名で、フランスでレストランを経営していたほどです。(食いしん坊なのですね。)

ロッシーニ風ステーキと聞き、思い出したエピソードがあります。

今の天皇陛下が皇太子さまだった頃のお話です。
ご結婚前、浩宮さまが雅子さまの誕生日に用意したお料理が、「ロッシーニ風ステーキ」でした。

普段、御所で用意したお料理に対して何も言わないそうなのですが、この日は珍しく要望があり不思議に思ったと、当時の料理人が回想していました。

『食材の用意などで無理があるようであれば、別の料理で結構です』という言葉も一緒に添えられていたとのこと。

もちろん、ご結婚前ですからどなたが来るのかは秘密でした。料理人も、どうやら大事なお客さまらしいと推測はしましたが、それ以上立ち入ったことは聞けません。
成婚後、雅子さまから直接お礼を言われ、やはりそうだったのかと納得したそうです。

好きな相手のためにごちそうするという気持ちは、共通しているのですね。
どんな立場でもそれは変わらないのでしょう。

そんなことを考えていると、注文したステーキが運ばれてきました。

写真 2020-05-24 19 28 13


「うわあ、すごい」
「美味しそう」

思ったよりも厚みのある牛フィレ肉。その上にフォワグラのかたまり。
一番下はマッシュポテト。
そこにフォンドボーをベースにして、甘口のマディラワインで風味を加えた香りの良いソースがかかっています。

フィレ肉にナイフを入れると、赤身がきれいなミディアムレア。
フォワグラは表面の焦げ目と中の柔らかさが絶妙。
滑らかなマッシュポテトがソースを吸って、溶けるような口当たりでした。

美味しかった。

ステーキを食べたのは久しぶりです。
お腹が一杯になりました。

次回は、もっとお腹を減らしてから食べに行こうと思います。

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