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外国の会社から裁判を起こされました。何か気をつけることはありますか?

結論

 担保提供命令(民事訴訟法75条)の申立てをしましょう。

解説

 民事訴訟法75条は次のような規定です。

(担保提供命令)
第七十五条 原告が日本国内に住所、事務所及び営業所を有しないときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、訴訟費用の担保を立てるべきことを原告に命じなければならない。その担保に不足を生じたときも、同様とする。
2 前項の規定は、金銭の支払の請求の一部について争いがない場合において、その額が担保として十分であるときは、適用しない。
3 被告は、担保を立てるべき事由があることを知った後に本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、第一項の申立てをすることができない。
4 第一項の申立てをした被告は、原告が担保を立てるまで応訴を拒むことができる。
5 裁判所は、第一項の決定において、担保の額及び担保を立てるべき期間を定めなければならない。
6 担保の額は、被告が全審級において支出すべき訴訟費用の総額を標準として定める。
7 第一項の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

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 この条文の中で特に重要な点が3点あります。

 一つ目は、第1項の「被告の申立てにより」の部分です。
 原告の住所、事業所、営業所が日本国内にないとしても、裁判所が気を利かせて担保提供の命令を出してくれるわけではないということです。

 二つ目は、第3項です。
 「担保を立てるべき事由」すなわち原告の住所、事業所、営業所が日本国内にないことを知りながら訴えの内容について反論をしてしまったら、担保提供命令の申立てはできなくなります。

 三つ目は、第4項です。
 申立てをすれば、原告が担保を立てるまで訴訟に応じなくてもよくなります。

 嫌がらせ的な訴訟や、勝てたら儲けものという考えで訴えてきた原告であれば、この申立てにより労せずに撃退できるかもしれません。

補足

 ちなみにこれは、外国の会社から日本の裁判所で裁判を起こされた場合の話です。外国の会社から外国の裁判所で裁判を起こされた場合には、その国の訴訟のルールに従わなければなりません。

重要なこと

 訴訟を起こされたら、ご自身で何とかしようとせず、弁護士に相談してください。持てる知識と経験、知力と体力を総動員して全力でサポートします。

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