青春の喪失
この一年ほど、自分の中で「青春の喪失」が一つのテーマだった。
予定通り行けば、僕は今月で大学を卒業し、就職する。
長かった学生生活に終わりを告げ、社会人になるわけだ。
だけど、一口に青春の終わりと言っても、学生の時みたいに遊べなくなるとか、働きたくないとか、そういうもので説明できる感情ではないように思える。
何かもっと、複雑で捉え所の無いものに感じる。
好きで通っていたお店がいつの間にか無くなっていたり。
見慣れた景色が開発や工事によって変わってしまったり。
恋人との別れ。
憧れていた人の遠い旅立ち。
この一年で自分が見て、触れて、経験した全てのことが、僕の青春の終わりを暗示しているような気がして、言葉には表せない寂しさと虚無感を感じている。
以前のように友達とバカ騒ぎしても、別れた後の虚しさばかりが胸に刻まれるようになった気がする。
夜通し夢を語り合ったりした日々が遠い昔に思える。
仕事のこと、結婚のこと、10代の頃の昔話…
最近、友達ともそんな会話ばかりになってきた。
23歳で、まだ早いよ、と僕より年上の人達は言うかもしれない。
確かにそうかもしれないけど、23の僕にとって、10代の頃とは、いや、20歳や21歳の頃とは明らかに違う感情が、最近ずっと胸に打ち寄せている。
でも、社会人になりたくないわけじゃないんだよね。
むしろ早く、就職して自立したい。
ただでさえ僕は一年浪人しているから、周りの友達の中にはもうすでに社会に出て揉まれている人が沢山いる。
彼ら彼女らを見ていると、自分がものすごくガキっぽくて小さい存在に思えてきて恥ずかしい。
早く自分も同じように働いて、肩を並べたい。
そんな焦りも大きい。
じゃあ、僕は何を恐れているのだろう。
そもそも青春って何なんだろう。
僕は、「青いことを言っていても許される免罪符」のようなものじゃないかと今は思ってる。
大げさなこと、バカみたいな理想、自分は何者にでもなれるという幻想…
10代の頃は、全て許されていたような気がする。
でも段々、悲しくもわかってくる。
自分は何者にでもなれるわけではない。
理想と現実が少しずつ距離を置き始める。
それが怖くて、僕は「青春ごっこ」をすることで現実から逃げていた。
仲間と集まって騒いで、酒に酔って、誰かに恋して、フラれて…そんな日々を送っていれば、いつまでも青い自分でいられると思ってた。
でもそろそろ、向き合わなきゃいけないものが色々あるような気がする。
「いつまでも夢みたいなこと言っていないで、そろそろ目先のことを考えなさい。」
なんだか、周りからそう言われている気がして、それがすごく居心地が悪くて、反発したり逃げたりしていたけれど、もうそんな歳でもないよな。
まだ就職したくないからと大学院に進学したり、就職浪人をして大学に残る友達もいる。
そういう選択は別にいいと思うけど、僕は別に羨ましいとは思わない。
青春の喪失に立ち向かうのは怖かったけれど、あと何年か学生を続けることが、その恐怖心の克服になるとは思えないから。
それは、結論を先延ばしにしただけに過ぎないと思う。
そもそも、こんな文章をダラダラと書いている自分も嫌になる。
僕と同世代の、いや、僕より年下の世代さえ、もうみんな社会で働いている。
暇だから、こんなくだらないことばかり考えるのだ。
僕もさっさと社会に出て、揉まれた方がいい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?