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ヒューリスティックス 「確率加重関数」と「フレーミング」

選択的知覚や参照点などの私たち全員が持っている脳のしくみである、ヒューリスティックスを順番にお伝えしてきました。

NOTEも建築物のように順番に読むと理解できるようにしています。

コロナ人災は、医学的な行動経済学の側面から解説にはとてもよい教科書です。メディアも専門家も非常にオーソドックスなスタイルをとってきていましたし、国民の反応もニュースとして記録されています。

今日はプロスペクト理論の「確率加重関数」「フレーミング」についてお伝えしようと思います。

それを踏まえて、どんな報道をメディアが今後おこなうのか、みんなで予想してみましょう。

ブログで「あなたが為政者だったら、次は何を発令しますか?」と繰り返し去年から問いかけていたものです。カッコよく警戒宣言みたいに発出(はっしゅつ)なんて言ってもいいかもしれません。


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プロスペクト理論の「確率加重関数」は簡単に言うと、予測のゆがみです。

未来起きる予測(プロスペクト)するときに、低い確率のものを高めに、高い確率のものを低めに見積もりやすい傾向があることです。

コロナの後遺症の確率を計算するのは難しいのですが、若者では陽性者でも発症者が少ないので、その少ない人の中の一部の人に起きてくるものです。全体から見ると確率は低いものです。

ところが後遺症がクローズアップされていた時期がありました。すると、「コロナになると必ず後遺症が出る」だけではなく「コロナ自身の症状がなくても後遺症が出る」などといった本末転倒な話題までかたられるようになりました。少ない確率を高く見積もりやすい性質からきています。

「2割が重症化」するも一緒で、2割も!と思うかもしれませんが、「8割は何も起きないか軽症」と言っていたわけです。実際の重症化の確率は、年代によって大きく異なり、50代以下はもっとずっと低かったわけです。

この「2割」は、フレーミングにもかかわってきます。

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フレーミングは、わかりやすく言うと私達が脳内に持つ参照点によって作られる判断の境界線のことです。

一般の方々は、いろいろなウイルスで重症になる年齢別の確率を知っているはずありません。私達も、ウイルスや細菌別に調べないと正確なところはわかりません。

「2割も重症化する」なんて専門家が深刻な顔で何回もテレビに出てきたら驚いて怖くなってしまいますよね。2割も!って。

前回お話したように、行動経済学で割合は一番危険なのです。
2割の母集団はだれでしょう?陽性者?発症者?入院した人のうち?

ね、脳内でなんとなく「うつれば全年齢が高率に具合が悪くなる病気!」って再生されてしまったでしょう。

私達が通常引くカゼはとても軽いものが多いです。それが、私達のいつもの「カゼの重症化の参考点」だったのです。コロナはそれを超えるものでした。

ウイルス感染症は死なないし軽度、っていう参照点ができていたわけです。それを遥かに超える割合がでてきてしまったので、「いつものやつとちがう。コワイ」になったわけです。

実は小児にはインフルより無害でした。

フレーミングは、コロナ人災のいろいろなところで使われました。「オーバーシュート」もその一つ。

流行は天井があるから頂上を超えて下降線になるまでがんばろう!って普通は思います。それがフレーミング。でも天井突破されるとか言われると、びっくりしちゃいます。

ええー!無限に増えるの?って。

実際はさざなみでしたが。それに陽性者数で発症者数ではありませんでした。

だけど事実なんてどうでも良いのです。最初に恐怖を起こさせれば、それで成功だったわけです。初印象のアンカリングと継続としてお書きしたとおりです。


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フレーミングが離脱するにはリフレーミング、フレーミングをやり直すことが解決になります。

脳の中の参照点をきちんと正しく補正すればよいわけです。

「また陽性者が微増している」と言う報道があったときには、「海外はどうなの?」って思って見に行けばいいわけです。

そうすると微増微減していても死亡者数が増えていないことがわかります。ブログに書きました。

「なんだ、海外と同じ波形だ。しかも数は死亡者数が増えていない海外にくらべても、さらに日本は格段に少ない」というふうにリフレーミングできるわけです。

これまで専門家とメディアは参照点をガラパゴスの国内に絞るよう誘導してきました。不安になったら海外を眺めるくせをつけることにしましょう。

未来に起きる確率の低いことを、必ず起きる未来みたいにビビらせることもあるかもしれません。


川を登れ(過去を参照しましょう)、海を渡れ(海外と比較しましょう)
を実行しましょう。

過去日本では5回も6回も流行波を無事超えてきました(川を登れ)。
被害の大きな海外でも、陽性者数と被害はリンク切れが続いています(海を渡れ)。


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地球上の世界の一員の日本もこのまま行くことでしょう。

次回は、「あなたが為政者だったら、次は何を発令しますか?」を考えて見ようと思っています。

行動経済学でコロナを語れる日がくるなんて、ホントウレシイです。

去年なんか非国民になってしまうところです。
同じことを話しても。そこが面白くても、少し不安なところです。
大衆心理や集団心理と呼ばれるもの。

いったん形成されてしまった共同主観の変更の難しさです。
日本は個々の人々の能力が高いから、まだ安心できます。

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