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ジョジョの奇妙な冒険ミュージカル「ファントムブラッド」を見に行った

ジョジョ何部好き?わたしは4部。

そんなわけで冒頭から1部が関係なくて恐縮だが、ジョジョ1部のファントムブラッドがミュージカルになったらしいので見に行った。

そもそも人生で2.5次元舞台に興味を持ったことがない。2.5と聞くと「刀剣乱舞がなんかやってるよね?」ぐらいの認識しかなく、過去にハマった作品が何回かミュージカルになったことがあるが(コードギアスなど)そのたび「そうなんだ〜」ぐらいの低温で特に見に行ったこともない。

そいで何故今更ファントムブラッドになって見に行く気になったかというと、ディオが宮野真守のキャスティングに尽きるよね。

私の人生で宮野真守の存在がインサートされたのは桜蘭高校ホスト部の環、そして「この人めちゃくちゃ歌上手いな????」という印象が付与されたのがガンダム00の刹那・F・セイエイのキャラソン。

わたしのAppleIDにいる最古の購入情報(時代を感じる)

マジLOVE1000%の「土器☆土器☆デコ割れそう 先輩 全裸♪」という空耳でヾ(*´∀`*)ノキャッキャしてたタイプの、宮野に関してはだいぶ弱火のアラサー女オタクである。

ジョジョに関してはここ数年でハマった人間だが、ジョジョ原画展が開催されると聞けば金沢に飛び、『岸辺露伴、ルーブルへ行く』が映画化されればフランスに飛んだ、強火のオタク。パリに一週間ぐらいいたんだけど、良かったよ〜。

そんなわけで宮野真守とジョジョで弱火×強火が合わさった結果、家の人と合わせて2名分のチケットを取った。34,000円。たっけーよ。
でもあのときニコニコで空耳見てたアラサー女オタク「宮野真守が生で見れるよ」「しかも歌うよ」って聞いたら全員そわッ…てするでしょ。するでしょ???覚悟はいいか?俺はできてる。

ジョジョの実写と聞くと多くのファンが心配するのは「スタンドどうする?」だと思うのだけれど、ファントムブラッドではスタンドは存在しないし(存在しないだけで難しいシーンはあるけれど)ちょうど岸辺露伴の実写大ヒットの余韻が残ってる中の舞台化だった。
公演中止とか返金とか色々メディアを騒がせたけれど、好奇心がツンツン刺激されて「リアリティ」をというエンターテイメントを感じたくなったので色々悩んだけど当日まで楽しみに待つことにした。

「1部のミュージカルなのにあまりにも3部」と言われた当日の格好

自分語り終了。感想は以下(ここからネタバレ注意)





帝国劇場で舞台を見るのは初めてで、何故かブザーが鳴ってから公演開始するもんだと思ってたんだけど(恐らくガラスの仮面の刷り込み)暗転したらいきなり始まった。

そわそわしていた客席の雰囲気が、スピードワゴンの登場でざっと集中し静かに変わるのを感じ「舞台って空間を共有するものなんだなあ」と思った。

物語は石仮面のメキシコのシーンから始まるが、特徴的な「オーサッ!オーサッ!」という掛け声が上手いこと歌に回収されており、もともと歌だったかもしれないな。と錯覚するぐらいには違和感がなく溶け込んでいた。ミュージカルで突然キャラクターが歌い出すのが苦手、という方も一定数聞くが、ジョジョミュに関しては原作の特徴的なセリフや擬音がメロディに溶け込んでいて、それがめちゃくちゃ味になっており良い。ミュージカル調に正直馴染めるかドキドキしていたので、オーサッ!の扱いで「なるほど、こんな感じね」と正直私は安心した。

その後に登場する19世紀のイギリスを表現するために登場するモブ、町民役がすごくて「19世紀!それは産業と貿易の発展が人びとの思想と生活を変えた時代(中略)それは嵐のようなすさまじい渇きだったッ!」という1部冒頭のナレーションにふさわしい、まさに嵐のようにパワーのある合唱ですごく良かった。メインキャストしか見てなかったけれど、ミュージカルというからには大勢の役も当然あるんだよな、と改めて思った。

その後緊張しすぎてディオの初登場シーンで宮野ディオがなんて喋ったか覚えてない。宮野ディオが階段を登っていたと思ったらいつのまにか降りていた(舞台演出の話)何を言ってるのかわからねーと思うので、気になる人は恐らく発売されるであろう(されてほしい)円盤を見てね。プロジェクションマッピングで照らされた星の中に宮野ディオがいて、歌声の端々に私が人生で聞いてきた宮野の声色を感じながら、美しすぎて泣いた。

なんて悲しいディオ。宮野真守のディオには悲哀がある。
アニメの子安さんのラスボスイメージと、あまりにインターネット弄りが激しいので忘れていたけど、ディオはすごく悲しいキャラクターだった。

ところでディオの登場シーンって言ったら
バン!
ドザァ!
シャン!
スタッ
っていう特徴的な効果音で、人の登場シーンで「シャン!てなんだよ」という話だと思うんだけど、そこが完璧に表現されていて客席が笑いでちょっと揺れた。ジョジョミュは舞台左右にバンドボックスがあり、そこで歌うときの曲だったりBGMだったりを生演奏してくれるなんとも贅沢な仕組みなのだけれど、ジョジョの特徴的な効果音を全て楽器で表現している。すごすぎる。宮野ディオの膝立てと同時にシャン!って鳴るシンバルの音。面白すぎるだろ。スタッていう着地は多分スネアドラム。もうこれだけで満足〜見に来たかいがあった〜っ。

有澤樟太郎さんの演じるジョナサンはとっても好青年でびっくりする。ディオがジョースター邸に到着してからジョースター卿の歌唱が始まるが、別所哲也さんの歌声が太くてとても良い。貴族の風格を感じる。
歌唱中にくるくる変わる複雑な舞台セットからも目が離せなくて、途中のジョナサンとディオの対比がすごく良い。そこは言及してる人がいっぱいいるので詳細省くけど、とにかくディオはとても優雅〜♪(ジョースター卿もそう歌ってた)背筋がずっと伸びてて美しかった。ここのシーンは笑えるシーンだけど、改めて見て考えると悲しいシーンだなと思った。
ジョナサンの貴族マナーは少年時代は未完成だけど、青年期には貴族マナーも当然身につく。ディオの貴族マナーは少年時代から青年期まで完璧だけど、ジョナサンが少年時代から得られていた「貴族の紳士たる精神性」というところは最後まで身につかなかった。「無実の騎士は星を見たか、地を見たか」というジョースター卿の問いかけに「地を見たと思います、生きていかなければならないから」と答えたディオの悲哀よ。そこで「僕は星を見たと思います」と語れるジョナサンの純真さよ。ボクシングのシーンでも、原作になかった「僕の指が彼(ジョナサン)の目に入ってしまったようだ、興を削いですまない」というセリフが追加されており、全体的にディオのキャラクターにはミュージカル映えする悲しさが振りかけられているなとも思った。

あと原作で「そこに痺れるッ!憧れるッ!」の名シーンで登場するしびあこモブは2名だけど、ミュージカルでは8人に増えてて、エリナの周りで8人が飛び跳ねる動きがうっとおしすぎて笑ってしまったのだけれど、その後のキスシーンからの宮野ディオ、


「ジョジョとのキスはまだか…?(吐息)」


ま だ で す ッッッッッッッ♡♡♡♡♡♡♡♡


「ズキュウウウンッ」って私のハートがぶち抜かれるかと思った。

旦那の横にいて他の男にメロったのは初めてだ。かっこよすぎ、のどちんこがハートになった。私がエリナ・ペンドルトンだったら泥水じゃなくてよだれ啜っとる。ちなみにギターの音で「ズキュウウウン」もしっかり表現されていた。
宮野ディオには色気がある。ああ〜こんなええ声の男初めて見たんじゃ〜。見に行って1週間以上経つ今も「ジョジョとのキスはまだか…?」を脳内で鮮明に再生可能なぐらい刺さった。

ところでエリナ・ペンドルトンの役の方、歌い出した瞬間に「わぁ…♡」ってなる綺麗なお姫様ボイス。キャストがほとんど男性陣で低めの曲調なので、ソプラノが目立ってとっても良い。私はラブコメが苦手なので、ジョナサンとエリナのバカップルシーンってどうなるんやろ…って不安だったけど、めちゃくちゃに愛らしかったです。有澤さんと清水さんの合唱がグレートでスゲ〜さわやかな気分。キャッキャウフフしてる二人が可愛すぎてこの二人一生応援してられるなって思った。清水さんのエリナの歌唱シーンはジョナサンが旅立ったときのソロ歌唱がダントツで美しくて、めちゃくちゃに拍手した。

んで青年期なんだけど、有澤ジョナサンがラグビーの服着て出てきた瞬間「成長した?」って思った。なんて脚長。なんて等身。スラッとしてすごく身体が大きく見えた。好青年ディオの胡散臭いこと半端ない。

ここまでで4000文字書いたので色々省くけど、この後は基本的に原作通りのストーリーをなぞっている。戦闘シーンの演出が本当にすさまじいのと、「息子が逮捕されるところは見たくないからな」って言うジョースター卿のセリフや動作がひとつひとつ悲しい。「そういえばいたな」ってぐらいの印象しかなかった警部補の回想シーンで光るジョースター卿の歌よ。とにかく別所さんの歌が響いてた。
「人間をやめるぞ」ってディオが歌ってからのディオ、声色がぜんぜん違う。人間ディオのときはわずかに悪さが滲む声だったけど、吸血鬼になってからは極悪。

ジョースター邸に火が放たれ、ディオが慈愛の女神像に刺さって死ぬところで第一幕終了。人間の身体にぶっ刺さるシーンってどうやってやるんやろなと思ってたけど、ワイヤーに釣られて横になった宮野の後ろに像を配置し、プロジェクションマッピングで背景を回すという演出で本当に刺さっているように見えた。
「一回切るならやっぱここだよな」っていうところで幕切りになって関心した。

第一幕が終わった瞬間汗をかいてる自分に気がついた。会場全体が暑かった。あとめちゃくちゃお腹が空いた。見てる方もエネルギーを使う舞台だった。ちなみに帝国劇場のお手洗いはコミケ最大手?ってぐらい混んでた。女性客の方は地下お手洗いのほうが早く入れると思います。

で、2幕になるとツェペリさんが登場するけど、イタリア人!って感じの陽気な曲調でたのし〜〜〜!!ここでもパゥ!とメメタァ!が違和感なく歌に組み込まれており、もともと歌だったかもしれない(錯覚)
波紋の役の人々
が出てきたとき全てを理解した。実は当日見に行くまでに「1部がヒットしたら3部もやってほしい」「でもスタンドどうする?」というジョジョ実写・定型文のやりとりをしていたのだが、波紋役の人がいるなら問題ないなと。むしろヒトガタのスタンドのほうが表現しやすいまであるなと。頼むよ帝劇。私はスタープラチナのオラオラッシュが観たいです。
ところでワンチェンってこんなにかっこいい役でしたっけ?ってなってしまった。原作でも全然かっこよくないというか奇妙な東洋人という立ち位置だと思うんだけど、舞台を異次元めいた動きで駆け回るワンチェンかっこよすぎた。

宮野真守のジョ〜〜〜〜〜↑ジョ〜〜〜〜〜〜〜↓とか無駄無駄無駄無駄ァ!を聞くたびにニヤけてしまう。二幕も無駄のない脚本でした。細かく書くとキリがないので色々省くけど(2回目)エリナが物語最後で説明なく赤ん坊を抱いて出てきたのがすごく上手い演出だなあと思った。原作を知ってると客船の中で助けた赤ちゃんを抱いているのだけれど、説明がないとエリナがジョナサンの子供を妊娠したと取れるし、両方取れるのが上手い。次回作に活かせる(切望)
原作よりもジョナサンとディオの奇妙な友情を感じる演出になってた。

特殊な舞台装置が漫画のコマのように1シーン1シーンを美しくわかりやすく見せていて、これは稽古も設置も難しい。
こんなに良質なエンターテイメントなのに、7公演も中止してしまったのは本当にもったいない。その日に合わせて様々なことを調整していた見に行く予定だった方にとって残念でならないし、私も今気軽に外出できない身体状況なので、当日見に行くまで色々とコンディションの調整が必要だった(直前まで悩んだ)

大ヒットしてロングラン公演になってほしいと思ったけれど、こんな素晴らしい俳優陣でもう一度なんてもう無い、もう二度と見られないだろうなとカーテンコールで思った。舞台は生モノ。
カーテンコールでマントを翻してディオとして去っていく宮野真守、喋りだした途端に宮野真守になる宮野真守。いっぱいちゅき。3回もカテコで出てきてくれてすげ〜グレートな気分。「これでも巷では有名な声優なんです」そりゃそうよ!
家の人とぼんやりしながら家に帰って、ご飯を食べながら「ジョジョミュの公演期間中、宮野真守が美味しくご飯食べてよく眠れますように」と強く願った。あまりにも凄まじい役どころだったので。翌日起きて昼ご飯を食べながら「もう宮野真守次のディオやってる!?!?」って思った(病気)

すっかり宮野のことばっかり書いてしまったけど、ミュージカルならではの見せ方がいっぱいあった。特に名前のないモブキャストのダンサーが私は好き。席を替え時間を替え(実は昼公演も行きたかった)3回は見たい舞台だった。見に行ってから一ヶ月経ったけれど、未だ興奮冷めやらぬ
円盤が出たら欲しいし、追加公演もやってほしい。

ジョジョファンにとってすごく贅沢な舞台でした。

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