公園の跳ね石
公園の跳ね石
花の萼はそのためにあったから、スカートにシャツをねじ込む 花弁が広がる あなたはその限りでは、古くからのあなたでいられた 落花 そのための一言をあなたは見逃す うなずくための犠牲だった 公園は池を一周守るように道がある 進行方向とは逆にオールを動かす人 漕ぐたびに頭一つ先頭が進む 鯉が水面に口を寄せるといくつか白く浮かび上がった ぱちぱちと 拍手を 毛先に光が溜まるとあなたは飲み込むだけになったから 口を開けてまた閉じる 花には長花弁と短花弁がある 子房を覆い隠す花弁が主流な時代があった できるだけ中身は隠して あなたは短い方を選んだ ただ咲かせやすかったから 道では人がボールを肩で転がす 中心が呼吸する 息を吸って、吐いて 首元を過ぎる それだけの居場所 ぬるく 今日の気温はあなたと似ている 大きくのびをする前の水底に溜まった滓 ものとあなたとの間には厚い空気がある 前髪が翻る 長毛種 短髪 反射する できるだけ短い方を選ぶ それはわたしのものだったから 短い方を幹からこぼす 飛沫が広がる 薄く 撫で付けるように 波立ちたち 広がっていく
ユリイカ<今月の新人>2023年7月号佳作(大崎清夏さん選)
2023年5月後半投稿
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