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あなたの役割はなんですか?


「あなたの人生の使命はなんですか?」
「あなたのこのPJTにおける役割はなんですか?」
「あなたはなんのプロフェッショナルなんですか?」

仕事を5年10年と続けている中でこんな質問をされて苦いなにかを飲み込むような思いをしたことがある方もいるのではないでしょうか。
私もそんな思いを持つ一人です。
自己卑下でも妬み僻みでもなく、何者でもない私から私を含む同志に向けて、エールを込めたメッセージ。

【私たちが住む日本の”働く”を取り巻く環境】

“お前聞いた? 大学時代クラス一緒だったxxが◯◯商事辞めてカタカナベンチャーに転職したらいいよ”
“最近週末も忙しいんだよね、副業始めちゃっていつ休もうか嫌になっちゃうよ”

 この5年ぐらいで周囲からこんな声が聞こえてもなにも驚かない時代になったなと感じている。私も2009年に新卒で入社した会社を6年勤めたタイミングで転職をした。父親は私と同じ企業勤め人だが、定年まで一社で勤めあげた。
 S&P500採用企業の平均寿命は20年というデータ結果。なるほど、それではお勤め人として過ごす間に所属している会社が解散する可能性もあるということか。それはそれで、自分の人生のハンドルを会社に委ねるのではなく、自分で握って運転できる環境で良いこともありそうだ。一方で外部環境の変化に突然襲われ昨日までの日常が失われる出来事も起きる。私も現職でリアル店舗事業に携わっていたが、コロナにより営業したくても店舗を開けられず、休業をやむなく受け入れる場面にも直面した。

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 一昔前はスーツをきた上に社章(もはや知らない世代や業界の方もいるかもしれない)を左胸につけ会社に出社する姿が多かった出勤風景も、2000年代移行ジーパンサンダル姿が通勤風景の中に見つけられるようになり、そしていまは、出社しない日もある働き方を過ごしている。日々会社に行き、同僚とたわいのない会話を繰り広げたり落ち込んだ日は帰りにご飯を食べて帰る、そんな繰り返しが醸成してきた”会社”組織への所属意識も薄れていく風向きなのではなかろうか。
共同体験・共通言語、所属意識や帰属意識を持つ場がコロナ発生前に戻ることはないんだろうなと感じている。

【所属×役割の4象限】

 働き方も自由に、どんな生き方・働き方も「それ、いいよね」となっていく中での所属概念と役割を分類してみる。

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 これを読まれてるあなたが当てはまる象限はあるだろうか。ジェネラリストなのかスペシャリストなのかは登る山の高さによっても自己認知・他者認知に違いがあることかと思うが、ここでは下記に捉えることとする。
 スペシャリスト:特定の分野に深い知識や優れた技術をもった人
 ジェネラリスト:分野を限定しない広範囲な知識・技術・経験を持つ人
私は④企業に所属するジェネラリストという働き方の道を進む者である。企業に所属しながらジェネラリストの道を歩むに必要な筋肉とはなにか、その考察を進める。
※①企業に所属するスペシャリストという働き方
"これまで培ってきた専門領域に関する知識・知恵・技術をベースに価値構築を行う方"
 野球チームだとスモールベースボールといわれるバントやヒットエンドラン、盗塁や固い守備をベースとするチームなのか、ビッグボールといわれる破壊的な攻撃力やホームランの一発攻勢なのかといった違いがあるように所属する組織文化への適合が活躍への肝
※②フリーランス等でのスペシャリストという働き方
"これまで培ってきた専門領域に関する知識・知恵・技術を自身の信念や価値観と合致するプロジェクトに参画し価値構築を行う"
 プロジェクトやタスクフォースの目的やゴールを実現するためのここ一番でのキーサクセスファクターとなる存在
※③フリーランス等でのジェネラリストという働き方
"プロジェクトやタスクフォースの中での推進役としてチームをゴールに導く"
 新卒総合職やコンサル会社への入社の道からたどり着く印象がある

【企業に所属するジェネラリスト】

企業に所属するジェネラリストとは何者なのか。

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 企業に所属するジェネラリストはどうその道を登っていくのか、カッツ・モデルを例に考えてみる。

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①テクニカルスキル(業務遂行能力)を積み上げる
 企業に所属するジェネラリストはとにもかくにもまずは、業務の経験量と経験の幅を広げていくことから始まる。
 新卒の頃は業界業種にもよるが飛び込みの営業やテレアポ、議事録担当など様々な経験機会が渡されることだろう。それらの経験の中で、
 ・スケジュール管理
 ・to do(実施アクション)管理
 ・プロジェクト関係者への連絡
 ・プロジェクトに関与する方との前提すり合わせ
 ・業務効率化や成果創出に向けたKPI(Key Performance Indicator)管理
などを身につけていく。
 これらはサッカーに例えるならば”ボールを足元に確実に止める” “パートナーの足元に正確なパスを蹴る”という止めて蹴る基礎動作とも言えるし、野球に例えるならば“ボールのミットの芯でキャッチする” “パートナーのクラブの構えたところにボールを投げる”キャッチボールとも捉えられる。スポーツでも仕事でも、基礎中の基礎ほど極めればプレー(役割)の幅や難易度が上がったとしても活用できるスキルとして大切なものはない。
 この基礎スキルが伸びていくと次第に、
 ・プロジェクト進行のプロジェクトマネジメント
 ・課題管理、課題解決スキル
へと役割が昇華していき、プロジェクトにいてくれると皆が助かる存在になっていくことだろう。


 私は今年で社会人13年目。基礎となる業務遂行能力はこれからも継続して身につけていく。新卒の頃や転職したての頃はまずミーティングで繰り広げられる会話のワード(3文字英語や業界専門用語)がちんぷんかんぷんで、ミーティング後にその言葉の意味を調べたり、調べてもわからずに優しい顔つきの同僚に教えを請いに声を掛けていた。自身の前提と相手の前提が整わずに60分の会議が開始5分で打ち切りになったことや、稟議書に記載する数字の足し算引き算があっておらず「小倉の作る資料は全部確認しろ!」と部長から言われた時は想像以上にへこんだ。そんな時に横の部署の先輩から「大丈夫。3年経てば、お前が部署のエースだから」その言葉に救われ、信じてこれまで歩んできた。
 奢らず、偉ぶらず。基礎はやればやるだけ、積み上がる。

②ヒューマンスキル(対人関係能力)の感性を研ぐ
 営業職のようにお客様との対話をメインにする仕事でも、多くの関係者がいるプロジェクトの仕事でも、他者との関わりの中で仕事をする機会に恵まれる。
 ・目の前にいるのは他でもない感情や体調変化のある人である
 ・人にはそれぞれのストロングポイント、ウィークポイントがある
 ・裁量が広く大きい方がモチベートされるタイプ、やることまでが明示されている方が推進しやすいタイプ
 ・途中で確認してもらえる方が安心するタイプ、なるべく口出しされたくないタイプ
 ・物事を悲観的 / 楽観的に捉えるタイプ、視覚 / 聴覚で情報認知するタイプ、結論から知りたい / 順を追って理解していきたいタイプなど、同じ人間は一人もいない
 ”①テクニカルスキル(業務遂行能力)を積み上げる”で例に挙げたサッカーでも、効き足が右足・左足の違いがあれば、相手がボールを受け取りたいポイントは変わるように、自身と他者のキャッチボールはなにも業務遂行だけでなく、心と心のキャッチボールであったりする。
 心の知能指数といわれるEQ(Emotional Intelligence Quotient)が高まっていくと未来を想像することだって出来るようになるはずだ。あなたも感じ取ったことがあるのではなかろうか。プロジェクトが成功に繋がっていく匂いがする場所と、プロジェクトが混迷を迎えていくことが予想される場所。天下分け目の合戦となった関ヶ原の戦いで小早川秀秋が豊臣軍から徳川軍寝返ったとされる歴史の一幕も、諸説あるがそれまでの豊臣秀吉の行い(実子である豊臣秀頼誕生後の養子たちへの不遇)が秀秋の寝返りの要因の一つとも言われる。
 突然出現する未来も生きている中で遭遇することもあるが、その想像した未来を現実に変えることもまた、他者との関係の中だからこそできることである。

 対人関係能力に関して、今年お声がけをいただいた輪読会で野中郁次郎さんの「ワイズカンパニー」との出会いがあった。その中に稲盛和夫さんの経営哲学の一部が記載されている。
"そして、その末に行き着いたのは、『原理原則』ということでした。すなわち『人間として何が正しいのか』というきわめてシンプルなポイントに判断基準を置き、それに従って正しいことを正しいままに貫いていこうと考えたのです。嘘をつくな、正直であれ、欲張るな、人に迷惑をかけるな、人には親切にせよ,,,そういう子供の頃に親や先生から教わったような人間として守るべき当然のルール、人生を生きるうえで先験的に知っているような、『当たり前』の規範に従って経営も行っていけばいい。"
 目の前にいる、一緒にチームを組んでくださる全てのメンバーに人生があり、考えがある。されて嬉しいこと、されて嬉しいから他者にできることは人それぞれ違いはあると思うが、道徳的に生きられるように過ごし行動すれば、信頼関係ができていくと信じている。

③コンセプチュアルスキル(概念化能力)で旗を掲げる
 自身と自身以外のメンバーがいるチームを率いた経験がある方であれば、チームのメンバーからこんなことを言われたことがあるのではないだろうか。
 ”この仕事をやることになんの意味があるんですか?”
 ”会社の歯車なんで、言われたとおりにやればいいってことですよね”
 ”悪いのはうちじゃなくて、横のあのチームじゃないですか”
そんな時になんて言葉をかけてきただろう。「そうだな、会社が悪いよな」とか「私だって上から言われたことをやってるだけだ」とかそんな思いを持つ時もあるかもしれない。
 歴史上の偉大なリーダーの言葉から学ぶことは多い。
 松下幸之助:売り手よし、買い手よし、世間よし。三方よし
 本田宗一郎:成功は99%の失敗に支えられた1%
 キング牧師:I Have a Dream(私には夢がある)
 オバマ大統領:Yes we can(やれば、できる)
彼らの言葉に、民衆は希望や勇気を自身の中に芽生えさせ明日の一歩を踏み出す活力を感じたことだろう。私たちが日々直面する働く上での出来事も「世のため、人のためになり、ひいては自分のためになる」という意義づけ・目的を掲げられると私たち自身、チームメンバーの心にある火種にも風が吹き込まれることになるだろう。

 私がいまコンセプチュアルになにかを掲げることや、メンバーに火種を焚べるような言葉を持っているわけではない。むしろ、変化が激しい時代とか、VUCAの時代とか言われる中で、なにを信じたらいいのか、時には正解を探してしまうことだってある。いま所属するアカツキ創業者の塩田さんが「大切なのは理想の状態にあることではなく、その理想を追おうとしていることである」と全社の集会で語られていた言葉を思い返す。コンセプチュアルスキルと書くとやや仰々しいが、共に過ごす仲間と火を焚べあう、そんな存在に少しでも近づくことを諦めない。

【虹色のような、無色のような私たちへ】

企業に勤めるジェネラリストにとってのスキルの解釈と私の体験や思いをここまで書いてきたが、改めてまとめてみると鍛える筋肉は下記図のように積み上がるのだろう。

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「あなたの人生の使命はなんですか?」
「あなたのこのPJTにおける役割はなんですか?」
「あなたはなんのプロフェッショナルなんですか?」

エースストライカーでも、エースピッチャーでも、四番打者でもありませんが、私がいることでチームが勇気づけられ、プロジェクトが成功していく匂いがする、一家に一台あると喜ばれる存在なんです。
踊る大捜査線でいえばいつまでも青島であり続けたいし(事件は現場で起きてるんだ!)、観客席からヤジを飛ばすのではなく、グランドで汗を書きながら動く主体者であり続けたい。ときに、便利屋さんだとか、器用貧乏だとか評する人もいるかもしれない。そんなときは、
"市場価値?わからないです、ないかもしれません。笑"
"役割?うーんなんでしょうね、お気持ち担当とかでしょうか。"

大丈夫、私もあなたも必要としてくれる人やプロジェクト、あなたの存在を見てくれている人がすぐ近くにいるから。気楽にいこうぜ!

今日も共に協働くださる仲間への感謝を込めて。
おしまい。

この記事は、この記事は、『アカツキ人事が自由気ままに書く Advent Calendar 2021』 の 3日目の記事です。 前回はhideさんの、「”ストレングスファインダー”アカツキ社員のトップ5の資質を大公開」でした。
【 クリスマス限定 】株式会社アカツキの人事に関わるメンバーが、思いのままに綴った記事を毎日リレー形式で連載しています。
記事を読んでアカツキが気になった方は、ぜひこちらのHPへ遊びにきてください。▶︎ https://aktsk.jp/recruit/