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ITZY 新譜「GUESS WHO」レビュー Kpopが世界で売れる理由を考察

記念すべき一発目の考察記事はKpopダンスユニットのITZYについて。

知らないよって方はwikiへどうぞ。

日本人ではNiziU、TWICEとかが所属しているJYPエンターテインメント所属の5人組ダンスユニットです。みんな年下だ、恐ろしい。
まだ新人枠だとは思うんですが、何よりその完成度がすごい。
百聞は一見に如かず。MVを見てください。

こちらはデビュー曲の「DALLA DALLA」日本語では「違う」という意味。
リリックを要約すると「あなたと私は違うよ、あなたの価値観を押し付けないで」みたいな。まさに個性が重視されるこのご時世にぴったりの曲。


特に筆者のお気に入りの曲「WANNABE」こちらも自分のアイデンティティや個性を主張する歌詞。ポストコーラスのこちらのリリック
「I don't wanna be somebody. Just wanna be me , be me.」
10代の女の子が歌えばどれだけ説得力のあることでしょう。
グループの方針、強みをフルに活かした楽曲です。
センターのリュジンさんがMV中に髪を切りイメチェンします。

CLCの「BLACK DRESS」でも髪を切ってイメチェンするシーンありましたね。流行ってんのかな。インパクト効果大。


そして注目して頂きたいのが、字幕機能をフルに活用した歌詞表示システム。「WANNABE」では11ヶ国の言語で翻訳されており、曲と同時に歌詞が翻訳された状態で表示されます。
もうこの時点で世界を相手に売り出している。恐るべしJYP。
後述する新譜「In the morning」ではなんと51ヶ国語翻訳。翻訳者雇うのにすごい金かかってそう。
歌詞の意味を理解できると言うことはその曲を鑑賞する上で非常に大きな割合を占めます。


推測ですがJYPエンターテインメントが狙っているユーザー層は

個性が重要視される社会に生きる(コンプレックスを持った)全世界の10代から20代の人間。

性別は断定しません。なぜならLGBTであることも個性だから。個性を武器に売り出していくITZYには性別なんてどうってことないのです。

Kpopだから女性向けなんじゃ、、、女の子を応援するのは男性でしょ、、、といった偏見を抜きにして、あらゆる要素をコンプレックスではなく個性として表現している。
まさに2020年代的な発想だと思います。だからこそ若者に刺さる。
歌詞の意味が理解できるのでユーザーは韓国人である必要はないのです。
でも彼女たちは韓国人という個性があるので韓国語という武器で戦いますし、ユーザーもそれを受け入れているのでしょう。
人種さえ個性なんでしょう。世界で売れる理由の一つであることは間違い無いです。

ITZY第二章? EP「GUESS WHO」

そして2021年4月30日、日本時間13時にお披露目されたEP「GUESS WHO」明らかに今までと路線を変えてきたなという印象。まずはお聴きください。

マフィアなんて怖いワードが出てきています。厳密にいうと路線変わったなと思ったのは前作のミニアルバム「Not Shy」からなんですが、今回は一気に従来のKpopを強く押し出している感じ。どことなく2NE1感ありますよね。

歌詞もアイデンティティと言うよりも恋の駆け引きのような内容。
正直に言うと今までの路線の方が好き。ただ新しいファンを獲得するには十分すぎるクオリティですね。
ダンスがすごい、上下運動すごい、僕が見よう見まねでやったら間違いなく膝が逝ってしまう。

作家陣は今までプッシュ曲を担当していなかったチームで作られているそう。
プッシュ曲の「In the morning」ではミニアルバム「IT'z ME」にて「THAT'S A NO NO」を担当したKASS氏や「YOU MAKE ME」で参加しているearattack氏などが名を連ねています。

最近の音楽業界では作詞も作曲も編曲も一人でやるのではなく複数人がチームになって分業することが多いそうです。
僕はコードトラック打ち込んだからリードシンセは君が打ち込んでね、君はこのパートから後のエフェクト足しといて的な。ギャラやばそう。

そして注目したいのがプローモーション。
カムバック1週間前から各メンバーのイメージティーザー映像が順に公開され、「GUESS WHO」のために打たれたティーザー映像は全部で14つ(もちろんインスタやTwitterでも)。
しつこいくらいに焦らされたユーザーはそりゃ公開と同時にMVに飛びつくわけです。Kpopよくやりますねこの手法。めっちゃ金かかってそう。
MVの再生回数はJYPの思惑通りに鰻登り。

それに加えて公開された「GUESS WHO SHOWCASE」がこちら

新曲を発表する音楽番組を独占して作っちゃう。どんだけ予算あるんだ。
冒頭で披露された「Sorry Not Sorry」ギターのリフが癖になる曲ですね、こちらもアルバムの2曲目に収録されています。

番組の後半(32:40〜)にはそれぞれの作家が発表されメンバーの口からどのような曲かインタビュー形式で答えていく構成になってます。

おそらく今後数ヶ月にわたって「GUESS WHO」のコンテンツの裏側やドキュメンタリーを小分けにしながらアップロードされると思います。
この裏側のコンテンツは見ているだけでメンバー、グループ、楽曲にも愛着が湧いてきます。こうやってコアなファンを獲得しているわけですよ。

新しい曲調やスタイルで新規のファンをどんどん獲得、ドキュメンタリーでそのファンを沼へと引き込んでいく。ITZYの強みの一つですね。

Kpopダンスユニットのサウンドのトレンド

ここ数年のKpopダンスユニットのサウンドクオリティは間違いなく上がっていると思います。
洗練されたリズムトラック、本格的なEDM、音数も最小限に留めてありますよね。

一昔前のキラキラサウンドを引き継いでいるグループはあまり名を馳せていないような気がします。
もはやアイドルではなく別のジャンルと言った方が正しいかも。

世界に通用するサウンドは聴感上でリズムトラックと歌だけで十分成り立つようなもの、それくらい土台がしっかりしてる楽曲は強いです。

ほとんど生楽器が使われていないのはたぶんコスト削減か、使わないほうがダンスとマッチするからか、そんな理由だと思います。これライブでバックバンドついたら最強になっちゃうんじゃないか、、、

と言ってもKpopダンスグループでバンドついてるのがBTSやYGエンターテインメント所属のBlackPinkやBIGBANGくらいじゃないでしょうか。
ちょっと前だとA-Pinkとか。
YGは事務所がバンドを抱えてるらしいのでそりゃ強いわけですよ。金かかってんな。

バンドつけない理由もわかります。
ダンスユニットなので歌はほとんどシーケンス、いわゆる同期の中に入っている、被せっていう手法ですね。
生歌が安定していなくてもそれなりに聴こえるし。
ダンスユニットとしてのクオリティを保つためにはあまり凝った演出ができないんですよね。毎回、同じような演出になりがち。
IZ*ONEとか見ててそう思ってしまった。
そう言った意味でもBlackPinkがバンドを導入していることでライブでの差別化ができていると思います。

すみません脱線しました。2020年代Kpopの強みまとめます。

なぜ強いITZY

大きく3点

1. 初めから世界をターゲットにしたマーケティング、それにあったグループ構成とテーマ、その魅力を表現するハイポテンシャルなメンバー

2. 本格的なEDM楽曲。楽曲構成からチョイスされる音色。もはやアイドルソングではない。

3.  莫大な予算

ちょっとづつ仄かしていましたが3つ目のこれ一番デカイと思います。
この子達は中学生くらいからダンスや歌だけでなく教育、礼儀、生活を徹底的に訓練されます。練習じゃないです、訓練です。
事務所が教育するんですよ、もちろん学校にも行くけど、わざわざそこにお金をかけてプロ意識を持たせるわけです。
特にJYPは性教育にも力を入れているそう。
もちろんスキャンダルを防ぐのもあるかもしれないが、そんなプロ意識をもったメンバーの歌う「I wanna be me」ほど強烈なものはない。

本人たちもそれについて行く根性があり、意識が高いです。

そこからデビューに向けて一発目から楽曲の準備、豪華なMV、衣装、カムバックのためのテレビ出演、プロモーション。
しかもこれだけ配信が台頭している時代でもCD作るんですよ。

ちなみに今回の「GUESS WHO」のCDパッケージ仕様がこちら

・フォトブック(3種/72P/210x297mm)
・CD(5種のうちランダム1種/ヴァージョン共通)
・フォトカード(20種のうちランダム2種//ヴァージョン共通/55x85mm)
・折り畳みミニポスター(5種のうちランダム1種//ヴァージョン共通/210x297mm)
・ステッカーパック(2種のうちランダム1種/ヴァージョン共通/120x180mm)
・ニュースペーパー(リリックペーパー/2種のうちランダム1種/297x420mm)


豪華すぎます。金のかけ方が違います。でも世界中がこのコンテンツを視聴しちゃうんだもの。予算回収できちゃうんだからすごい。

これだけCDとか作っときながら新曲全部フル尺でYouTubeにあげちゃうんだもの。無料で聞けちゃうんですよ。でも回収できちゃうんだろうなぁ。
ここまでくると王者の余裕すら感じる。


という韓国の音楽業界、間違いなく世界でも頭ひとつ抜けてます。
かといって日本の音楽業界がこれを真似したら間違いなく破産します。

リズムトラックと同じくまず土台をしっかり作りましょう。

今回は一回目なのでダラダラと長くなりましたが、今後はスッキリ要点だけまとめていく所存でございます。凡人でした。


5/1 追加

これを見て下さい。

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ニューヨークタイムズの電光掲示板をジャックしてます。
期間は分かりませんが小さな電光掲示板でも1ヶ月で30万ドルはかかると言われているので、このサイズだと間違いなく、とんでもない額に。

このグループ、もしかするとBlackPinkと同じ土俵まで上り詰める可能性ありそうです。

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