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THE・超絶初心者のための歌い手講座その2

録音です。

頭出しなどそういったことについては

こちらをご覧ください。

しかし、DAWの使い方などは私が書かなくてもネットの海に無限に落ちているのでそちらを参照していただきます。
というか、「説明書読めばわかること」は説明しません。無料で書いててそこまで面倒みきれません。

というわけで早速音を録ってみたのだ!

画像1

こんな感じになりました。
今回のセッティング

インターフェイス RME/FIREFACE UCX内蔵プリ
マイク      RODE/NT1A  SHURE/SM58
曲        なんか20分で作ったやつ

です。


オケ打ち込みっぱ。
これ、SM58の音なんですよ。ぜんぜん使えるよね。

で、案外録るだけならできるよって人は多いんです。なので当たり前だけど意外とできてないよねって話をします。

まず音を録るにあたって

ですが、上記のように「DAW」というものが必要です。
よく「サウンドエンジン」だとか「ラジオライン」だか、そういうのを歌録り用に使ってらっしゃる方がたくさんいますが、




やめてください。

なぜかというとの部分をつらつらと書かれてもチンプンカンプンだと思うので、とにかくダメなもんはダメだくらいに思ってください。
ガンコ親父だからではありません。
一応読む気力が残っている方のために書いておくと、上記のようなソフトはフリーで魅力的ですが、これらは単一のトラックを編集するためのソフトであったり、ポッドキャストやラジオ音声の編集に使うもので、基本的に音楽用途としては設計されていないからです。
加えて、音楽に重要な「音質」の面で致命的に問題があります。
興味がある方は「32bitfloart」で検索検索。

無い方は本記事を読み進めつつ、「他人にファイルを渡すときは必ずこれを思い出す」ということだけ覚えてください。

マイクのセッティング

これができなきゃ始まらない。というか、お話にすらなりません。

どうしてもこういったtipsというのはデジタルの技術的な面を説明しがちなのですが、そんなものは資料がいくらでも転がっています。小学生だってパソコンくらいわかる時代です。
というわけで何気に最重要なマイクの立て方を説明します。

まず、歌を録る場合は所謂「オンマイク」というセッティングになりますね。マイクにできるだけ近付いて歌う。

はじめて触る機材では、その塩梅を探します。
参考までに今回のセッティングです。

画像2

NT1Aはポップガードから15㎝の位置にダイアフラムがくるように配置。

画像3

SM58は7㎝くらいですね。

カメラの角度で正確に見えませんが、肉眼ではそのような感じです。

さてこのセッティングについてですが、本当ならもうすこしNT1を近づけたほうが音像が揃う・・・音像?

ご説明します。
録音される音というのには音像というものが重要になってきます。
たとえば15cmの距離で録られた音は「15cmの距離で録られた音」という輪郭、そう、音には輪郭があるのです。
そしてそれは録られた状態で写真のように固定されます。
なので被写体が近ければ被写体が大きく写り、遠ければ小さく写る。
音量を揃えればいいのではないのか?と思うかもしれませんが、「遠い音」は近くはなりません。
現実世界には空気が充満しており、録音する対象が遠ざかれば遠ざかるほどにマイクとの間に層ができ、芯がぼやけていくと考えていただくとわかりやすいと思います。

つまり、顔を近づけたり遠ざけたりして歌うのはそのあたりがちぐはぐになるので音量が揃う気がしてもNGです。
故に、「ちょうどいい輪郭」にするためにこうして距離を測るのです。
そして、マイクの距離はポップガードで固定します。
そう、たまにマイクにポップガードを近づけて録っている方や、かぶせるタイプのポプガードを使用している方が居ますが、あれはNGです。
画像のようにポップガードで「これ以上近づけない」ようにしてしまえば、ポップガードにキスをする手前程度で歌うと丁度いいという距離を安定して作り出すことができます。
加えて、このほうがダイアフラムに対する吹かれや唾のブロック効率も向上します。
マイクにガードが近いセッティングだと、ダイアフラムまで距離が無いので、それらの推進力が衰えず結局意味が薄いといったことになりがちなこと、マイクに近付きすぎて「このマイクは篭るな」「このマイクは耐圧が弱いな」といった間違ったインプレッションにもつながります。

といったことを踏まえれば、画像の距離の違いはもうすこし調整が要りますが、今回は簡易的なセッティングに付きご了承ください。
このセッティングだと

そこまでひどい差もないかなといった印象ですが、やはりSM58のほうがしっかり「近い」印象です。
コンデンサーのほうがやはりダイナミックに比べて「空気」をしっかりとらえている印象ですが、ダイナミックマイクもセッティング次第では冒頭やこの音声のように籠って使い物にならない、というわけでもないのです。

ちなみに、SM58のようにグリルやウィンドスクリーンがついているものはなるべく外して使用しましょう。二重ポップガードになってしまうので。

このように、データが云々ミックスが云々の前に、しっかりとしたセッティングを身につけましょう。

録音時のゲイン設定

これも間違った使い方をしている方が多いです。

すべてを検証しているわけではないので確かなことは言えませんが、基本的に廉価帯(UCXはミドルクラスですが)のインターフェイスはインプットゲイン=プリアンプの増幅具合で音の良し悪しが変わるとか、そういうやり込み要素みたいなものは無く、「音が割れないようにしっかりとやる」くらいしかやることがないと思います。

そこで、音が割れないようにインプットを調整していくのですが

画像4

こちらはUCXのプリアンプ制御画面です。
mic1はNT1A=コンデンサが繋がっているのでファンタム電源
mic2はSM58=ダイナミックが繋がっているのでファンタムは無し
そしてゲインは1が10、2が32と、かなりゲイン差があります。
しかし、上記のファイルは録って出しのままで、かつ「使える音」で録音されていると思います。

つまり、マイクそのもののゲインがかなり異なるのです。
廉価帯の機器が低いゲインのマイクを十分にドライブさせられないということは、それだけで安かろう悪かろうの一端を見せているという事です。
マイクが悪いわけではない。という小話でした。

続いて、このインプットを決めたら、「返し」が小さくて困ったという経験をされる方は少なくないと思います。
そしてインプットを上げすぎて返しは聴こえるようになったが音が割れてしまうという事になった方も大勢いると思います。

これに関しては機材が悪いのではなく使い方が間違っています。
要するに、オケと声のバランスを取れればいいわけなので、
録っている間だけ、DAWのマスターフェーダーで音量を下げてしまえばいいのです。
DAWから聴こえてくる音と、インターフェイスでモニターしている自分の声は独立している場合がほとんどなので、マスターフェーダーを下げてDAW上の音は小さくなっても声は小さくならず、「相対的に大きく」なります。

画像5

cubaseの場合はここですね。ほかのDAWでもほぼ同じだと思いますが、ここを下げます。
そして、インターフェイス本体の音量ノブをグイっと上げます。
するとどうでしょう、ほとんどの場合、これで「聴く側」の声が持ち上げられ、オケもいっしょに持ち上げられるので、ちょうどいい音量を探すだけです。

こうすることで、「インプットを変化させずに、モニターだけを大きくする」ことができるわけです。
どうだすごいだろうというわけでもなく、当たり前のことなんですが意外とだれも教えてくれないのでぜひ覚えてください。

録音される波形の音量

これも様々なことが書かれていますが、


32bitfloatで録音、書き出しすればすべて解決する話

です。とはいえそれでは乱暴なので

画像6

この画像の上、「ボリューム」の項目をご覧ください。
これは波形の一部ですが、6db増幅するとピークに達しました。つまり、元は6dbのピークマージンがあるということなんですね。
いまだにノーマライズして波形をMAXにしてしまったり、
「割れない ”ギリギリ” を狙って録りましょう」
などと寝言を書いている記事もありますが、そんなことは必要ありません。というか、絶対にやめてください。
正確には「ぜったいに割れないように録る」です。
割れた音も最近はRXホニャララで治せます!って言う人もおりますが、治せません。嘘はいけない。
このくらいのピークではなくマージンを目指して録れば、まず「事故」は防げます。
難しく考えずに、マシンスペックに寄るのでサンプリングレートは任意ながら、32bitfloatだけは徹底してプロジェクトファイルを作り、それで録音しすれば「事故らない」とだけ覚えてください。
深く理解したい方は膨大な資料が転がっているのでお調べください。

分け録りの統合

これがなぜかできないという人が圧倒的に多いです。

画像7

特に被ったりしていない連続しているフレーズで、
画像の矢印部分から次のメロディが始まるのに、ダラっと語尾が伸びてしまっていて「重なってしまったので分けました」というケース。
これは重なってしまったのではなく、「ミステイク」です。
ただ歌い方を間違えているだけ。歌いなおしましょう。
こういったメロディのつなぎ目には、必ずブレス=息継ぎがあるので、分けて録りたい場合は息継ぎまでを録り、次の録音も同じ位置で息継ぎをしながら歌い始めると整合性が取れます。テイクが違うとマイクの位置もズレがちなので前項の「音像」に気を遣うのもお忘れなく。

音源の書き出し

これがなぜかできないという人が圧倒的に多いです。(デジャヴ

オケデータ以外の音声データの書き出しは基本

32bitfloat
モノラル
wav形式

です。モノラル。32bitfloatモノラルです。モノラル32bitfloat。

サンプリングレートは高いに越したことはありませんが、私はマシンスペックとの兼ね合いで48khzを採用しています。

これだけ。これだけ?と思うかもしれませんが、ほんとうにこれだけ。

まとめ

録音から書き出しまでを完了するのに必要なことは

・DAWの使い方を覚える。各自取説なりググるなりする。ここから。
・マイクをちゃんとセットする。ポップガードの使い方を間違えない。
・インプットゲインは必要以上に上げない。
・DAWのマスターフェーダーを活用する。
・32bitfloatで録音して、同レートで書き出す。
・とにかく「事故らない」を心がける

これだけ。ほんとこれだけ。
ほかにもいろいろあんだろう~と思うかもしれませんが、これだけ。
逆に言えば、たったこれだけのことが既にやっている人でも出来ないということです。
言ってしまえば、これが出来たらほとんどの先輩を出し抜けるという事ですよ初心者諸君。
まだまだ家に居なきゃいけないようなご時世が続くので、家で歌える皆さんはいっちょ出し抜いてみましょう。家族と戦争しながら。


おわり。

あ、気に入ったらコーヒー奢ってください。

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