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エルフ人類雇用機会均等法

 白金に輝く長い髪をかきあげエルフの面接官は口を開いた。

「まずお名前をお願いします」
「はい、ジョージ・ウィリアムズです」

 面接官はちらりとこちらの顔を確認した。俺が本当に白人かを確認しているんだ。他の人種だったらこの面接すら受けることはできなかっただろう。彼らに比較的近い外見をもつ者でなければ正社員になるのは難しい。

「大学は四十年制ウェストミンスターの卒業だとか」
「ええ」

 ここまではいつも通り順調だ。俺は人類にしては尊大に頷いた。人類には過酷な卒業条件を満たし、ようやく俺はエルフ並みの就職ができると思っていた。

「ご両親は健在ですか?」
「いえ、去年亡くなりました」

 口の中が乾いていく。

「はぁ、そうですか。おいくつでしたか?」
「八十四と七十九です」

 エルフの目が興味を失ったように閉じられた。きちんと自己管理のできる人類は百歳まで生きることができる時代、八十代で死ぬ者は短命の役立たずだ。

「面接はこれで終わりです。早く帰りなさい」

 冷たい言い回しに、顔を顰めそうになるのを堪えた。

【つづく】