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Word互換ソフトは小説書きにとって、Wordの代わりになるのか?

ノベルアッププラスさんに投稿する作品は、Googleドキュメントで下書きをして、投稿前に一太郎の校正機能でチェック+細部を詰めるやり方で定着しています。

小説投稿を始める前からワープロは一太郎、POPや素材作りなどはInkscapeやAffinity Designerを使っており、会社では文書をExcelで無理矢理作らされてきたので、今までの人生でWordをじっくり触る機会に恵まれておりませんでした。

Wordはいつか使えたらいいなとは思っていたのですが、LibreOfficeの互換性で困らない用途しかなかったので、やはり導入の機会に恵まれず。

読み上げ機能に惹かれてWord、もといMicrosoft 365を導入する前に

「互換ソフトで良くない?」

という悪魔の囁きが聞こえましたので、小説書きの末席として、その辺りどうなのかを自分なりに検証してみました。

あくまでOffice互換ソフト同士の比較ですので、Wordの競合製品になる一太郎やegword Universal 2は省きます。
PC利用者の実態から、Windows用のソフトでのみ検証しています。
また、競合製品であっても意外と利用者が多いLibreOfficeとApache OpenOfficeは、無料ソフトの代表として公正な比較検討に欠かせないので、掲載することにします。

・小説書きの《Word代替ソフト》とは?


Officeの互換ソフトは多いのですが、定義としては

・縦書きモードがある
・半角と全角を文字種変換できる
・日本語の禁則処理ができる
・文字数と行数を指定できる

の四点を重視します。
半角と全角の相互変換機能はあまり考慮されていません。

縦書きはPC/Mac向けでも実装されていない事がよくあります。

日本語の禁則処理は句読点などが行頭に来ないようにする機能で、無いと困ります。

文字数と行数はプロ作家の原稿提出や、小説同人誌を作る上で非常に重要な要素なので、加えました。

そのため、規模の大きいコミュニティを抱えるオープンソースのLibreOfficeや、その派生元の後継であるApache OpenOfficeを除いた場合、中国や韓国の会社が作る有名なOffice互換ソフトが、Word代替ソフトとして検証に値するといえます。

・縦書きモードがある互換ソフト

・LibreOffice
・Apache OpenOffice
・WPS Office2(※全角記号が横向きになる)
・Thinkfree Office Neo(※全角英数が横向きになる)
・Polaris Office

・半角全角の文字種変換がある互換ソフト

・LibreOffice(※半角カタカナ→全角カタカナのみ正しく動作しない)
・Apache OpenOffice
・WPS Office2
・Thinkfree Office Neo(※非常に探しにくい)
・Polaris Office

・禁則処理ができる互換ソフト

・LibreOffice
・Apache OpenOffice
・WPS Office2
・Thinkfree Office Neo(※設定が上手く保存、反映されない)
・Polaris Office

・文字数と行数を指定できる互換ソフト

・LibreOffice
・Apache OpenOffice
・WPS Office2
・Thinkfree Office Neo

上記の事から、機能的に充分使えるWord代替ソフトといえるのは

・LibreOffice
・Apache OpenOffice

の二本となります。
文字数と行数が指定できない点を除けばPolaris Officeは非常に優秀な
Word代替ソフトと言えますし、横書きしか使わないならWPS Office2は充分役に立つと思います。

・ファイルの相互運用性は?


全てが執筆者個人の環境で完結するなら、気にするものではないのですが。
メールに添付したりクラウドで共有したりする場合は安全性を考慮して、Wordのdocx形式が最適解になります。
次点で旧来のdoc形式かと思います。

試した範囲では小説のレイアウト程度なら、デザイン重視のチラシ、表やグラフを差し込む書類ほど神経を使う必要はありません。

ですが問題は、読み込める形式の差です。
これはODFというISO認定のファイル形式がその対象になります。
特にODFを標準としているLibreOfficeとApache OpenOfficeを使っている方は、注意が必要になります。

ODFはバージョン1.2と1.3がISO認定をとなっており、Apache OpenOfficeは正式対応が1.2まで、LibreOfficeは1.3まで対応しているなど、対応しているOffice互換ソフトでも差があります。
WPS Officeに至っては、Microsoft Officeただひとつとの互換性という割り切りなのか、対応していません。

各個人の環境で個別に保存したファイルを持ち寄る際は、docx形式以外で保存してしまわぬよう気をつけましょう。

・Word代替ソフトの価格


Microsoft 365の価格はPersonalで月額1,280円、一年分一括なら12,800円、Word 2021の公式ストアで17,904円(2023年3月現在)となっています。
Office互換ソフトはそれらより安い価格が設定されていますが、買い切り版は値段がまちまちなので、最下位エディションの参考価格を書いておきます

・WPS Office2 Personal版(3,000円~、公式ストアだと4,140円)
・Thinkfree Office Neo(3,990円)
・Polaris Office(3,300円~)

因みにLibreOfficeとApache OpenOfficeは無料ですが、寄付を受け付けています。
このうち、WPS Office 2 PersonalのみPowerPoint互換ソフトが体験版となっており、必要であれば別途ライセンスを買うか、PersonalではなくStandardを買う必要がありますので、購入を検討されている方は注意が必要です。

・色々試して分かったこと


実はLibreOfficeとApache OpenOfficeが一番実用的だったのは意外でした。
あくまで小説を書く前提での検証ですから、会社や役所などで作成する文書や資料を開く際の互換性では他のソフトの方が優秀かもしれません。

最後に、操作性についてです。
LibreOfficeとApache OpenOfficeは外観が独特または古くさいので、Microsoft Officeから乗り換える場合は注意が必要とよく言われています。

しかし、Microsoft Officeの外観にかなり寄せている他の三本も、どれも機能の配置や並びが微妙に違うので、やっぱり注意が必要です。


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