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閑話:Mission in:Hospital

私は今、ツイッター上でバズったマンガで好きなものがあり、それの単行本をせっせと買い集めている。
それは

令和のダラさん (ともつか治臣 
ともつか治臣@ダラさん三巻発売中(@TomotukaHaruomi

いびってこない義母と義姉 (おつじ
おつじ💅しれギャル①巻5/17👠いびこな⑥巻5/27発売!(@otj024

悪役令嬢転生おじさん(上山道郎
上山道郎(@ueyamamichiro

どれもツイッターでタイムラインに流れて来て、ふと読んだらドハマリした作品。まるで本屋のような出会い方をした好きな作品である。

さて、これが入院経験を書くnoteでどう関わってくるかと言うと、入院生活で荒み切った自分の行動を見直すきっかけをくれたマンガだ。
ダラさんはここでは外れるが、いびこなと転生おじさんは、自省と身の振り方を考え直すマンガだった。
私は数回読んだマンガや本は”興味があるうちは”内容をほぼ暗記できるという下手くそなクセがある。それは入院中においても変わらなかった。
いびって来ない義母と義姉は「地位や年齢産まれに関わらず人を思いやり慈しむとはどういう事か」を、悪役令嬢転生おじさんは「地位があるからこその人としての振る舞い」を教えてくれる。家族にしたい、上司にしたい人という理想をこれでもかとぶち込んでくれている。
マンガの中でどんな状況でどんな言葉をかけ、何を考えたか。
…私は覚えていたのである。

入院生活の初期は、母から見ても私は屍のようだったと言われるほどに心身が削れ荒んでいた。覚えていないだけで看護師さんや医師に当たって居たかも知れない。声に出さなかっただけで「動ける隣人」を妬ましく思っていたのも事実だ。
不穏の患者にも接する看護師さんだ、「また言ってるわ」くらいにしか思われなかったかも知れないが、私はこんな時に人に八つ当たりした所でこの激痛や状況が変わるわけではないと気付くのは少し遅かった。
病院にいる時、一番お世話になるのは看護師さんだ。
逆を言えば、看護師さんがいなければ私は排泄すら始末できない状態なのだ。
そんな人に、攻撃的な態度を取っていたなんて、ゾッとする。

「当たり前に「人」として接しよう」

そう思い直し、じゃぁどんな態度であるべきか、と思った時脳裏を過ぎったのがいびこなと転生おじさんだった。
私が憧れた てる様なら、グレイス様なら、こういう時何と言うだろう。

小さな処置にも、お礼をきちんと言う
ちゃんと相手の顔を見る
同じ相手に同じことを何度聞かれてもきっちり返事をする
相手の状況を鑑み思いやる
看護師さんのみならず、看護助手さんでもエイドさんでも、挨拶やお礼をしっかり言う
できない事ははっきり話し助けてもらう

要は、媚びを売ることにしたのであるw

挨拶しまくった
お礼を言いまくった
頭をさげまくった

この人たちに、私は助けられているんだ。
調理スタッフにも、名前を聞かれたら何回でもしっかり答えた。
環境整備でゴミを片付けてくれるエイドさん、掃除をしてくれる清掃員さんにも、お願いします、ありがとうございます、を毎回言った。
助手さんに外来まで送ってもらったら「帰りもお願いします」と頭を下げた。
自分でできる範囲は自分でやった。

しばらくすると、色んなスタッフさんから話しかけて貰ったり、名前を覚えてもらえて雑談したりした。
それが入院生活をどれだけ潤滑にしてくれたか。
同じ本人確認でも、笑って言えるのと、恐る恐る言うのでは心持ちが全然違う。笑って持って来てくれた食事はより美味しいし、楽しく話しながら受ける処置なら、多少の痛みなど気にもならなくなる。黙って掃除してもらうよりは、今日の天気やニュースを話しながらありがとうね~で終わった部屋は輝いて見える。
正直言うと名前も知らないけど、楽しく話した。
大きめのアパートに一人暮らしに入ったような、そんな感覚だった。
言葉遣いや態度は、てる様やグレイス様をコピーするように振る舞った。

退院する時は名残惜しんでまでくれた。
「帰ってきちゃダメだよ」
「またすぐ入院し直しに来ます(骨移植のため」
「wwwwwww」
そんな会話が、終盤にはできた。

あちらにとってはビジネスライクかも知れない。
でも私は、全力で媚びった。
だって助けてもらえないと、何もできない身なんだもんw
(今日はMさん担当か~手が掛からない患者さんでラッキー!)って思われるくらいで良いと思ったのだ。

書名は忘れたけど、福沢諭吉の本で「何かで文句を言いたいなら、相手と同じ立場に立って相手と同じ仕事をこなしてから言え」と説く一節があった。
カスハラとか、立場の差を使った態度による暴力が横行するこの世で、私は人としての当然の態度というのを思い出した。

10年以上前、ヴィレヴァンでバイトしてた頃「こんな下らない店のバイトなんか何言っても良い」という威圧的な態度の客にキレ散らかした事も、クレームにも必死に対応して、お礼の連絡をもらったのも思い出した。

相手は人なのである。
ちゃんと接すれば、ちゃんと接し返してくれるんだ。

ただの気休めや自己満足だったかも知れないが、私はこのやり方は間違ってなかったと今でも思っている。

おかげで二回目の入院の時も「あらお帰りwwwww」なんて言ってもらえたのである。

私の入院は、ポジティブなものでは無かったが
考え方の土台はどうとでも、作り変えることができたのである。

今では割と本気で、完治後仕事が見つからなかったら市民病院のエイドさん募集に応募しようと考えているw

我がミッション、今でも遂行中なり。


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