地獄に住む

 正直な話をしましょう。
 地元が嫌いです。嫌いな特定の個人がいるのも否めないけれど、かれこれ18年目になる地元が大嫌いです。部活の強豪校でもなければスポーツ特待生でもなかったのにわざわざ遠い遠い高校へ進学した理由も思い出しました。結局なによりも嫌いだったのは『退屈』だった、そんなお話。

陸のアズカバン

 ハリポタ履修してる人は3作目を思い出してほしい。シリウス・ブラックがアズカバンから脱獄してハリーの命を狙ってるらしいってやつ。あの中でアズカバンはどんな場所だったでしょうか?長い間読んでいないので記憶が定かではないけれど、確か『吸魂鬼が看守を務める孤島の監獄』じゃなかったっけ。プラスの気持ちを吸われ、逃げることも叶わず死んでいく、地元はそんな場所に近い。 代々長くその地に住んでいる家の親世代という看守に見られ、どこか行くにも遠い駅まで1時間に1本、終バスに乗るためには上野を19時台に出て間に合うかどうか、UberEATSどころか宅配ピザのデリバリーも来やしません。こんな陸のアズカバンは正直もうこりごりです。仲良いと思ってる人も出てしまったし、一軒家で実家暮らしできる以外のメリットは正直1つも思い浮かびません。

なぜ今更こんな話をしたかと言えば


 今までは良かったんですよ。高校に入ってからの6年間、つい先月までは。今となっては往復4時間の通学があって、毎日睡眠と時間が足りないと言っていたつい先月までは。
 高校に入ってから初めて(正確に言うと不登校だった頃を除いて)定期を切らしている今、やる事がないわけではないけれど、正直時間を持て余してます。学校もなければ、片道1時間のバイトも入らずに地元で過ごすというのは正直想像以上にしんどかったり。都会の人には、いいえ、すぐに電車に乗れる人には分からないでしょう。娯楽もなく、知り合いも話相手もいない、何も面白くない陸の孤島の辛さが。

きっと悪いのは


 ええ、僕自身でしょうね。普通に過ごしていれば『看守』なんて気にしないでしょう。地元に知り合いがいないのは自ら進んで地元を出、連絡を絶ったから。
 やることがないことはないって言ったけれど、本当はやることはたくさんある。国家試験もやる気の有無とか関係なしにやらなければいけないし、免許だってさっさと取りたい。
 そして定期を更新しなかった理由に「多分元取るほど使わないから」「我慢できるから」があるけれど、やっぱり1番はお金の問題。ああ、お金ないってしんどいなって久々に痛感。そりゃバイトしてなくても定期的に出ていくお金もあるし、免許だって安いもんじゃない。
 今なんでこんなに苦しい思いしてるかといえば、優先順位つけられないのやら「なんとかなるでしょ」意識やら財布の紐の緩さやらだと思っているし、それは決して間違ってないはず。お金に余裕があればもう少し心にもゆとりがあっただろうし、気軽に遊びに行けたかもしれない。

地獄に住む

 イナカへの憧れ?どうぞお持ちください。僕だってイナカ自体は嫌いじゃあない。都会の人がみんな驚く暗さであったり人の少なさ、夜の静けさ、逆に虫やカエルの煩さというものは僕にとっては慣れ親しんだもので、所謂『閑静な住宅街』の交差点で人影を見てビックリしたり、向かいのマンションの外階段の踊り場の灯りでさえ眩しいと感じる僕にはお似合いなのかもしれないな。
 ああ、それと会話のネタにはなってくれる。「最寄り駅が最寄ってない」「最寄り駅徒歩90分のヒルズ(山)」「複数駅利用可(歩いて行けるとは言ってない)」「実質グンマー帝国」あたりはよくお世話になっております。
 でも、実際に住んでみれば分かると思います。こんな話のネタになるだけじゃ、あまりにも割に合わないじゃないですか?なんとか電波は普通に入りはするけれど、集合住宅より密なお隣さんとのお付き合いや、交通や買い物の便の悪さ。車なし、Amazon不可だったらみんな秒で詰むでしょ?僕は自転車で動けるし、ボタン1つで頼みたいものも来る。でも雨の日は?荷物が多い時は?実物を見たり相談してから買いたい時は?こんなにも簡単に足が奪われてしまう世の中なわけです。話は戻って、1/3くらいは僕の身体が動けば事は済むんだろうけどね。

 イナカは遠距離通勤通学してまで住むところじゃないよ。体験しに行くところです。今でこそ地元も森を切り倒して家を建てているけど、人口(少なくとも子どもの数)減少に歯止めはかかっていないし、気がつけば店はシャッターが降りているようなところです。たとえ人が増えようとも、デカいショッピングモールやらアクティビティ施設が建ったりしない限り、地元は都会にはなり得ない。少しずつ三途の川を渡っているこの舟に乗ってはならない。

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