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夏色花梨のキャラクター・設定誕生まで その②

夏色花梨と花隈千冬のVOICEPEAKのクラウドファンディングを現在準備中です。
クラウドファンディングが始まる前にどんなことを考えて制作をしているのか知っていただく一つの材料となれば良いなと思っていたのですが、思いの外時間が確保できず遅くなってしまいました。言い訳です。。

お時間ありましたらキャラクターデザインについて記載させて頂いた前回と合わせてご覧頂けますと幸いです。
夏色花梨のキャラクター・設定誕生まで その①

今回は夏色花梨の「声」がテーマになります。
声を担当頂いている声優・高木美佑さんと初めてお仕事をさせて頂いたのは2015年4月4日に吉祥寺Club SEATAで開催した、「Voice For You」というイベントでした。

私はそのイベントに1スタッフとして参加していました。
スペシャルゲストとして高木美佑さんにご出演頂いたのですが、その際に音声合成の仕事に興味があると伺う機会がありました。

このイベントは朗読劇とバンド演奏による歌唱があったのですが、高木さんの声を聞いて、なんて音声合成に向いた声なのだろうと思ったのを覚えています。

当時主流の音声合成の形式だと、収録した音声(声優さんの声)とソフトからの出音の印象に乖離がある場合があり、幸い色々試す機会があったので、おそらくこの傾向があれば乖離が少ないんだなぁと解ってきた所でした。(正確な情報ではない可能性もあるので超ふんわり書きます)

朗読劇の収録やライブリハに立ち合わせて頂き、当時主流だった音声合成の形式とも凄いマッチする声だということ、それから高木さんの自然に発声される声が、かわいい声でありながらも、声に芯がある聞きやすい声だということにも気づきました。

普通はかわいい声だと音量も声の芯も薄くなりがちなのですが、本来相反しそうな「かわいい」と「声の芯の強さ」が両立していて、それでいて違和感が全く無いという唯一無二の声をお持ちだなぁというのと、高い音域も全く苦しくなく歌われている印象がずっと頭の片隅に残っていました。

これは歌の音声合成ソフトを担当して頂いた場合でもオケに負けない「かわいい」声、「高音も得意」な声を実現できるんじゃないかと。
なのでいつか自分が可愛いキャラクターを作る事があればオファー出来たら良いなぁなんて思っていたんですね。

それから何年も時が過ぎましたが、小春六花の次は可愛い方向性のキャラクターで高音が得意なキャラクターを作りたいと思っていまして、夏色花梨のプロットに高木美佑さんの声がバッチリ合いそうだったので、プロットには「声イメージとしては高木美佑さんになります」みたいな事を書いておりました。

そしてそのプロットを手島nari先生にお渡ししました。
そしたらもう、手島nari先生から帰ってきたキャラクターが、高木美佑さんにバッチリ適合していたんです。当たり前ですよね。。

諸々考えて声の印象としては以下の違いを出していくことにしました。
1人目(小春六花):聴きやすい声、中音域が得意
2人目(夏色花梨):可愛い声、高音域が得意
3人目(花隈千冬):落ち着いた声、低音域が得意

上記の違いを出せればトークの聞き分けがしやすく、歌のソフトでも3本持っていればどんな音域の曲も、どんなジャンルの曲も対応できる所を作ることが出来ると考えました。

また、これらの特徴を持つ声のキャラクターとして、容姿含む設定としても違いを出しやすいのも理由の1つです。

小春六花のキャラクター・設定誕生まで その①」より

「制服」「ツインテール」「かわいい」だけだと世の中に数多存在しています。ただ、そのうえで皆さんに覚えて貰える位のインパクトは残したい。

そこでまず考えたのが、本来低学年・1年生として描かれやすい、ちょっと生意気でかわいいツインテールのキャラクターが、最上級生・3年生の先輩キャラクターになったら?というギャップです。

「夏色花梨のキャラクター・設定誕生まで その①」より

また、小柄なキャラクターとして描かれる事の多い「かわいい&ツインテール」業界で、背が高くてスタイルもかなり良いキャラクターとして描かれています。それも更なるギャップになって良いなと思いました。

高身長にしようというアイデアは、声のイメージとして高木美佑さんを仮設定していたのもあり、高木さんから着想を頂いたのもあります。
夏色花梨も小春六花同様、CV担当の高木美佑さんとほぼ同じ身長の設定になっています。

「夏色花梨のキャラクター・設定誕生まで その①」より

一応、各社から頂いているサンプルや声優事務所のサイトのサンプルなどをキャラクターのラフ画像を見ながら聞いてみたんです。
かなり多くの方のサンプルを聞いたかと思います。

もう全然、夏色花梨が高木さんから微動だにせず。という感じでした。
声がお渡ししたプロットにも合っていたし、キャラクターにも合っている。
必然性のようなものを感じました。

また、弊社は1人社員の会社なので、生放送やステージにおいて経験が少ない人をフォロー出来る余裕がありません。
なので、小春六花の時同様、生放送やステージ経験がそれなりにあるということが大前提でした。
Wake Up, Girls!時代にその点も沢山経験を積まれていますし、もう、高木美佑さんしか居ないなとオファーさせて頂きました。

これでNGだったらどうしようかと思ったのですが、OKを頂けて正直本当に良かったです。

小春六花CV担当の青山吉能さんに続き、Wake Up, Girls!から連続してのオファーということになりますが、私が特定のコンテンツのファンで、そのメンバーで揃えたいということは全くありません。
実はWake Up, Girls!も、小春六花の候補として青山さんの声が気になったあたりでアニメやライブBDを見始めました。

完成した音声合成のライブラリも、高木さんの声の魅力だと私が思っている、「かわいい」と「芯のある声」が実現されていて、聴きやすく、オケに負けない声になっていました。

なので、ハードロック・メタルとかもマッチするのでは?と思い、ボカロ界隈でもハードロック・メタルの名曲を沢山書かれていて、BABYMETALなどにも楽曲提供をしている「ゆよゆっぺ」さんにもデモソングを書き下ろして頂きました。

前回書き忘れてしまったのですが、声とキャラクター全体のイメージとして「のぼる↑」さんの「白い雪のプリンセスは」を歌うのが似合うキャラクターをプロットの段階でイメージしています。

実はそんな理由もあり、「のぼる↑」さんにデモソングを書き下ろして頂いております。「白い雪のプリンセスは」は夏色花梨のクラウドファンディング限定ライブでもカバー曲として高木さんに歌って頂きました。

それから収録のときに驚いたのは、高木さんが高音が得意なのは存じ上げていたのですが、非常に高いキーまで聴く側が苦しさを感じない声で歌うことが出来るということです。
こんなキーを軽々と??と現場に居たエンジニア含めて全員驚きました。

その特徴もSynthesizer V AIのほうには現れているかと思います。

ただのかわいい声ではない。
高木美佑さんの声の沢山の魅力を学習した音源(CeVIO AI、VoiSona、Synthesizer V)が制作出来たと思います。
現在制作を進めているVOICEPEAKも非常に良い結果を出しつつあります。
是非こちらもご期待ください。

次回は「花隈千冬のキャラクター・設定誕生まで その①」の予定です。
いずれ夏色花梨について雑談みたいなトピックも作れたらと思います。
来年とかになってしまうと思いますが。。

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