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夏色花梨のキャラクター・設定誕生まで その①

キャラクターが少ない設定とイラストだけの状態でも、無限に想像を膨らまして創作を楽しめる方、沢山いらっしゃるかと思います。
たとえ脳内妄想だって立派な創作ですよね。

しかし、キャラクターを"イラスト"として見ている人もいらっしゃるかと思います。

ではその”イラスト”が、より親しみのあるキャラクターとして肉感、立体感が生まれた状態で認知されるには、いったい何が必要なのでしょうか?

『それは「物語」だ』 と私は思っています。

そのキャラクターがどう動き、どういう感情を持ち、どう喜び、どう悩み、どう哀しみ、どう苦しみ、どう生きているのか。

キャラクターがどういったバックグラウンドを持っているのかが解ると、急に輪郭が生まれてくる感覚は、創作をしている方なら誰しもが感じたことがある感覚なのではないでしょうか。

弊社が公式による二次創作設定を作り、公式から発信している理由の1つであり、また、オーディオドラマという物語を作っている理由の1つであり、小樽というリアルな場所を舞台にしている理由でもあります。

ちなみに『それは「物語」だ』は、中世欧風ファンタジードラマの名作「ゲーム・オブ・スローンズ」の最終話で、ドラマの主要人物であるティリオン・ラニスターが演説中に放ったセリフです。

人々を信頼させ、納得させる一番の材料は何か?と自問しながらの演説の中で答えとして出てきたセリフでした。

ストーリーがあると話に輪郭や説得力が生まれるというのは、ぼんやりと頭では解っていたものの、言語化されたものを聞いて「なるほどな。」と、えらく感動した覚えがあります。

結月ゆかりが生まれたとき、まだトークの音声合成界隈にはキャラクターが少なく、また、少ない設定にもかかわらず沢山の「物語」が生まれました。

その「物語」はユーザー毎にそれぞれ違って良いもので、それぞれの家のゆかりさんがどんどん生まれていくダイナミックな波のようなものをキャラクターを作った一人として観測していました。

では界隈がそれほどは大きくなっていない中、近年は無料のソフトも良いものが生まれ、キャラクターがどんどん生まれる続けるレッドオーシャン上で、設定がとても少ない状態でもどんどん沢山の物語・設定が生まれていく同じようなダイナミズムが六花達にもう一度生まれ得るのか?というと、正直なところ、どんなに思考をめぐらせてもその絵を私には描けませんでした。

以前も書かせて頂いた通り、複数のキャラクターの掛け合いが多い時代の中で、ある程度ライトに使いたいという需要を多く感じています。

そこで、参考にしても良い、しなくても良い、一部だけ参考にするのもOKな、公式が勝手に言っているだけのものを作るのを主目的として、「公式二次創作設定」を創りました。

ただ、ユーザーさん、ファンのみなさんが作った世界観を歓迎します。
その意思表示のためにも公式設定は敢えて3つにしています。
※この3つも守って頂く必要もありません。

ここで語られるのはその「公式二次創作設定」についてと、キャラクター誕生時のプロット、中の人はどう選んでオファーしたか?というものです。

50が見えてきた高血圧のオッサンが思い出したり、間違いに気づいたら追記・修正されるnoteです。
ゆるりとご覧ください。

小春六花のキャラクター・設定誕生まで その①
小春六花のキャラクター・設定誕生まで その②
小春六花のキャラクター・設定誕生まで その③

①夏色花梨の発表
夏色花梨・花隈千冬の発表は2021年の5月22日の第一回TOKYO6公式生放送で行いました。
この放送で発表された、「小春六花と小樽コラボ」の企画上で登場するキャラクターとしてデビューしています。

その際の映像はこちらです。

上記の映像の音声収録は、花梨と千冬の方向性決め等を行うテスト収録・サンプル収録をさせて頂いた際に一緒に収録したものなので、六花だけセリフが無かったりします。

裏話小咄

②キャラクターとしての工夫
ここから先はどういうキャラクターを想定して作ったか?という所になります。プロット上ではどういうキャラクターだったのか?を記載します。
みなさんの家の夏色花梨と大きく違う可能性もあります。
余分な情報を入れたくない方は読まれないほうが良いかと思います。



小春六花の方向性が決まった時点でベースとなる世界観がある程度完成していたので、夏色花梨・花隈千冬に関してはある程度順調に制作が進んだように思います。

3人の声のバランス的に、2人目は可愛い声・高音が得意な声、3人目は低音が豊かで落ち着いた声にしたいというのもあり、2人目は「かわいいキャラクター」として描く事を小春六花誕生時にはすでに決めていました。

小春六花は敢えて普通の制服の子として、衣装を盛る方向だった当時の音声合成界隈で、ある程度のインパクトを残せたと思っています。
手島nari先生により、デザイン性の良さと萌えを兼ね備えたキャラクターが生まれました。

ただ、同じ制服の子の2人目となると、やはりインパクトは薄れてしまいます。

特に「かわいい&ツインテール」業界という激戦区への殴り込みとなるとハードルも高めです。
そこで、その激戦区をどう生き抜くのかを考えました。

・キャラクター設定
以下はキャラクター使用時に書いていたプロットです。

公式二次創作設定と被る部分もありますが、公式設定の類ではありません

「制服」「ツインテール」「かわいい」だけだと世の中に数多存在しています。ただ、そのうえで皆さんに覚えて貰える位のインパクトは残したい。

そこでまず考えたのが、本来低学年・1年生として描かれやすい、ちょっと生意気でかわいいツインテールのキャラクターが、最上級生・3年生の先輩キャラクターになったら?というギャップです。

そのキャラクターが1年生の時は良い先輩達に恵まれ、良い青春を送り、本来の性根はめんどくさがりなのに自身が先輩となった時に、先輩として孤軍奮闘しつつ頑張ろうとしていたら…?。というのを思いつきます。

夏色花梨が入学して軽音部に入った時、2年生は在籍しておらず、3年生のみ4名が在籍していました。
1人はベース担当の六花の兄、1人はギターボーカルの百花秋乃になります。
(+キーボード、ドラムという未発表のメンバーになります)

彼らは中学の時からバンドを組んでいる仲間であり、コンテストでも実績のあるようなバンドでしたが、百花秋乃は伸び悩んで居ると感じていました。
そこに入ってきた新星が夏色花梨です。

バンドの新たなギターボーカルに迎えられ、少し生意気な所も気に入られてとにかく可愛がられ、充実した時間を過ごします。
そして、バンドコンテストで全国優勝、優勝の特典として石狩湾新港で行われる巨大フェスへの出場権も得て、大きなステージを経験しています。

最近話題になった「葬送のフリーレン」は魔王を倒した後のお話でしたが、夏色花梨は1年生で全国を制覇した後の世界線に存在しています。
※キャラクターを制作した際のプロットのお話です。

散々可愛がってくれていた先輩たちが卒業すると、たった1人の部員になり、そこに入ってきた天真爛漫な後輩が小春六花です。

先輩たちが卒業して六花が入ってきたあたりはオーディオドラマとして描いていますのでもしよろしければお聞き下さい。
私の拙いプロットを、渡辺浩彰さんに素晴らしい脚本として落とし込んで頂きました。

自分に対してはめんどうくさがりな部分もありつつ、他人が絡むと不器用に真面目でもある。
自分が後輩として充実した時間を過ごせたことを、今度は先輩として後輩にも経験させてあげたい。少しだけ背伸びしている存在として描きたいと思いました。

弊社は基本的に”サブ”キャラクターを創りません。
発表したキャラクターはそれぞれが主役であると考えているからです。
なので、夏色花梨は小春六花のサブキャラクターではありません。
夏色花梨もまた、主人公の1人です。

・キャラクターデザイン
以上のことをある程度要約したものをプロットとして手島nari先生にお渡ししました。
あまり細かすぎると創りにくいかなと思いましたので。

ただ、プロットして文面に書かれている事以外も、結局は早口であれこれ語ってしまいました。かなり意を汲んでいただけたのではと思います。

手島nari先生に1点相談していたことがあります。
それはやはり、同じ世界観の制服キャラクターとしては小春六花が既に出ているので、「デザイン的に」どうインパクトを残すか?という所です。

花梨・千冬については同じコンセプトで作られた六花の後ということで、印象をどう残すか悩んでいたのですが、手島nari先生から皆さんが好きな要素を盛り盛りにするご提案を頂きました。

アイテムを足すのではなく、好きなフェチ要素を盛り盛りにしたあたり、界隈でも新しかったのでは無いでしょうか。手島nari先生おそるべし。

(中略)

ラインを多用しつつ、フェチ要素を盛り盛りにしてもパッと見はそれを意識させない「さりげない」範囲で収めているのは手島nari先生のキャラデザの凄みだと思います。

小春六花のキャラクター・設定誕生まで その①
夏色花梨キャラクターデザイン

すでに書いていました。いつも長くなってすみません。

また、小柄なキャラクターとして描かれる事の多い「かわいい&ツインテール」業界で、背が高くてスタイルもかなり良いキャラクターとして描かれています。

高身長にしようというアイデアは、声のイメージとして高木美佑さんを仮設定していたのもあり、高木さんから着想を頂いたのもあります。
夏色花梨も小春六花同様、CV担当の高木美佑さんとほぼ同じ身長の設定になっています。

・ツインテ後輩キャラが先輩になった(ギャップ)
・ツインテ後輩キャラだけど背が高い&スタイルが良い(ギャップ)
・ローファー
・ニーハイ
・絶対領域
・サスペンダー

というみんなが好きな要素モリモリのキャラクターデザインがこうして誕生しました。
スタイルが良いキャラ&サスペンダーは先生からの提案ですが、新しいというような反応を多く頂いたのを覚えています。

手島nari先生から花梨の初期案を頂いた際、6案のラフイラストが描かれて送られて来ました。
そこに”一押し”ですと書いてあった案が、私にとってもイメージ通りで(というと偉そうで恐縮ですが)現在の花梨になりました。

六花のときは何度かラフをご提出頂いて少しづつ世界観をすり合わせていった作業がありましたが、花梨と千冬に関してある程度世界観を共有出来ていたことと、作りたいものがより明確化出来てたので、わりとすんなりとキャラデザが決まりました。

夏色花梨のキャラクター・設定誕生まで その②に続きます。


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