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大人になるということ

 大人になるということは、我慢できる人間になるということだと思っていた。

 だから、一生懸命我慢した。頑張った。感情を無視して、するべきことを行おうと努力した。

 年齢があがるにつれ、そのするべきことの数はどんどん増えていった。だから、感情を無視する回数もどんどん増えた。

 なにかおかしいと思った頃にはもう遅かった。私は、気づかないうちに自分を虐待していた。

 心も体も悲鳴をあげていた。

 動かなくなった。ただ、涙だけ溢れて、ただ、そこにいて、何1つするべきことができなくなった。

 それから、取り返さなきゃと思った。

 本当の自分を。

 少しずつ、少しずつ、私は私に優しくなっていった。そういう努力をした。失くしてしまった感覚を取り戻そうと、必死になった。

 努力の方向が正しい場合、心に生命はちゃんと蘇る。

 ♡

 大人になるということが、自分の心を大切にすることだということ。

 大人になるということは、自分の大きさと性質を把握して、うまく自分と付き合うということ。

 大人になるということは、自分の中の子供の部分を愛してあげて、幸せエネルギーを溢れさせるということ。

 大人というのは、その心のコップから溢れた分の幸せエネルギーを分け与えることができる人だということ。

 大人とは、「幸せのおすそ分けができる人」だということを、子どもの頃に、大人に教わりたかった。

 

 


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