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21歳での安楽死について思うこと

世界で初めて「安楽死」を合法化したオランダ

医師が「致死薬」を投与するといった方法で行われる「安楽死」は、日本では認められていないのですが、オランダでは2002年に世界で初めて国として「合法化」されたとのことです。「要請に基づく人生の終結と自殺ほう助(審査手続き)法」です。

一定の要件を満たした場合、医師が患者を死に導いても罰せられないことになっていて、「安楽死」の方法は、「医師が患者に致死薬を注射する」「医師が薬を渡し、患者が自ら服用する方法(自殺ほう助)」の2通りがあります。

私が「安楽死」という言葉を知ったのは、確か動物病院を取材した番組だったと記憶しています。治療を続けていたけれど、これ以上は難しいと獣医師は判断しました。

獣医師から説明を受けた飼い主は、「これ以上きつい思いをさせるよりも、安らかに眠らせて欲しい」と伝えた時、私はどれほど辛い決断だったのかと、ものすごく悲しい気持ちになったことを今でも覚えています。

人間と動物とでは、また違うとは思いますが、この時から「安楽死」という言葉は常に私の頭の片隅にありました。ずっと引っかかっているのです。
獣医師に「安楽死」を望んだ飼い主はどう決断したら良かったのか。何が正しいのか。

それから時が経ち、今、海外では「安楽死」が認められている国もあります。

日本では、「安楽死」を認めると、財政的な制約や優生思想から「高齢者」「障がい者」に対して「安楽死」した方がいいという空気が広がる可能性も排除できないとして、反対論が根強いとのことです。

しかし、日本人でスイスに渡り、実際に「安楽死」をされたということもあり、「安楽死」に対して賛否両論あるとは思いますが、私なりの考えを書きたいと思います。

21歳という若さで「安楽死」をした女性

オランダ北部フリースラント州に住む女性は、2021年に長女を21歳で「安楽死」で亡くしました。彼女によると、長女は「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」だったとのことです。

自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」ということで、周囲とコミュニケーションがうまく取れず、12歳頃から「パニック症状」が出始め、14歳で施設に入ることになります。

また、15歳の時には自殺を図った為、施設を変えるなどしたそうなのですが、不安定な精神状態が良くなることはなく、その後も自殺未遂を10回以上も繰り返したそうです。

そして、18歳の時には「安楽死」をしたいと、両親に手紙を書きます。両親は「貴女は貴女のままでいい」と何度も言ったのですが、本人はそれを受け入れられずに、苦しんでいたそうです。

彼女の苦しみは計り知れず、私には想像することしか出来ませんが、両親の言葉さえ受け入れられない程、追い詰められていたのではないかと思います。

オランダには「安楽死専門センター」という機関があり、「精神疾患」がある人など一部のケースを扱っているとのことです。

彼女はこのセンターに登録したそうなのですが、「精神疾患」の場合は、治療や介護で良くなることも多いため、オランダでも「安楽死」の審査は慎重に行われるといいます。

約10カ月間様子を見て、約1年半の審査の後「安楽死」が認められ、最後の2週間は自宅で過ごし、「安楽死」の前夜は母親と手を繋いで寝たとのことです。

当日「やっとこれで逝ける」とベッドに駆けていった彼女。医師から左手に「致死薬」を入れられ、家族に囲まれて笑顔で亡くなったと言います。

これは、映画やドラマではなく現実に起きたことだと考えると、私はやるせない気持ちになります。

肩に「決めつけないで」というタトゥーを入れていた彼女。

そこには、母親が話している通り、周りは色々言うけれど、彼女の苦しみや気持ちは本人にしか分からず、「安楽死はすべきではない」と決めつけず、「安楽死しない」という選択を含めてどちらも尊重して欲しい。という思いが込められている気がします。

最後に

2002年に施行されたオランダの「安楽死」の法律ですが、今年4月に、対象を12歳未満にも拡大する方針を発表したとのことです。耐えがたい苦痛があり、緩和ケアでも和らげられず、命が助かる期待は持てない場合が対象で、2024年にも施行される可能性があるそうです。

また、隣国ベルギーでは2014年から全ての未成年に「安楽死」を認めているとのことです。

実はオランダでも、1歳未満の子供に関しては、既に「安楽死」が認められていて、子供のため、本人の要請に基づくわけではないので、法的には「安楽死」ではなく、1歳未満に適用される別の仕組みを12歳まで広げる形が想定されていると言います。

これから先日本では「安楽死」について、どのようになって行くのでしょうか。私個人としては、家族のことを考えると躊躇しますが、自分の意思を尊重してもらえるという点では、「安楽死」という選択もあるのではないかと思います。

以下、参考サイトになります。

こちらでも記事を書いているので、よかったら読んでみて下さい!

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