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発達障害の彼と付き合って心が壊れた話(カサンドラ症候群)

Q.えーん、彼氏と話が通じないよ〜
A.待って!その彼氏、発達障害かも!?

社会人1年目に発達障害(疑い)の彼氏と付き合い、カサンドラ症候群になりかけた話をします。

◆出会い

彼氏は1歳上の大学3年生、バイト先の和食居酒屋で出会った人でした。

柔らかい物腰に淡々と仕事をする姿は大学生とは思えず、その上、細身の体に整った顔をしていました。(わたしの好きな塩顔で色白で鼻が高くて横顔が綺麗なタイプ)

バイト先はBarスペースを併設した雰囲気の良い居酒屋で、彼はそこでお酒を作る担当でした。一度だけそのポジションをお手伝いしたのですが、穏やかに仕事を教えてくれた彼のことをわたしはすぐに好きになりました。飲み会でお皿に食べ物を取り分けてくれる彼のことを、長女(妹あり)として20年間生きてきたわたしはもう、簡単に、すーぐ好きになりました。

お兄ちゃんみたい!付き合いたい!!って

当時わたしは大学2年生、女子大通いだったこともあり、なんとか彼と距離を縮めたかった。でも、結論からいうと付き合ったのは2年後でした。当時はわたしが奥手すぎて何も誘えず、彼もまた後輩以上の気持ちも持っていなさそうで(個人LINEすらしたことなかったです)、そうこうしているうちにあっさり卒業されてしまいました。同期の女の子が彼に明らかな好意を抱いていて、バイトの支配人や店長も彼らの外堀を埋めようとしている環境では、勝ち目がないなと思った部分もあります。

しかし、時が流れて2年後、大学4年生で就活中のわたしに、社会人1年目の彼から個人LINEが来ました。

久しぶりー^^元気?よかったら今度ご飯行こ!

全く連絡をとっていなかった最愛の推しから連絡が来て、心の底から嬉しくてドキドキしました。
そしてご飯や遠出を何回か繰り返すうちに付き合うことになりました。はじめて自分を愛してくれる人がいる!抱きしめてくれる人がいる!もともと家族愛に飢えていたわたしは、彼の愛情に心の底から安堵しました。

ここからが本題。

◆立ち込める暗雲、やばやばエピソード

最初は順調に付き合っていたものの、少しずつ彼に違和感を覚えることが増えていきます。

複数あるので箇条書きで。

①「2週間も会えないなんて、わたし寂しくなっちゃうな…」と女心満載のLINEに対して
→“へい”と呟いている馬のスタンプで返してくる。

②「あなたの発言(※後述)に傷ついた!謝って欲しい!」と言うと
→「俺は別に悪気があって言ったわけじゃない。傷つくお前が悪いから謝らない」

③ドライブ中にSAに到着。お昼に何を食べようかと考えていると
→「天気ええわー!」と言ってひとりでベンチに座り、おもむろに持参したおにぎりを食べ始める。わたし、突っ立ったまま、ぽかん。そのあとひとりで屋台で焼きそばを購入し、彼に分ける。

④別れるのを覚悟でわたしの家族に関する重たい打ち明け話をする。別れ話には発展せず安堵したが、後日ケロッとしている彼に、「あんな話しちゃって嫌じゃなかった?」と聞くと
→「え、なんで?別に俺にはなんの関係もない話やろ?ただのお前の家族の問題やろ?」

⑤彼の車にピックアップしてもらうため外で待っていたが、待ち合わせ時間になっても一向に来ない。結局来たのは15分後、待ち合わせ場所近くのコンビニでお菓子を買っていたらしい。「普通遅れるって連絡するもんじゃないの?」ととがめると
→「ちょうどコンビニあるやんと思って入っただけやし。コンビニから出ても何時に着くか正確に分からんから連絡せんやろ」(謝罪なし)


書いてるうちに頭が痛くなってきました。
あと、鳥肌も。特におにぎりのくだり、一瞬でベンチに座ってむしゃむしゃ食べ始めた、あの周りが見えていない動物的な行動が今でも脳裏から離れません。わたしのことまったく同行者として認識してないんだなあと。

②の「発言」について掘り下げて書くと、彼には「俺は家族が死んだら悲しくて泣くけど、お前が死んでも泣かない」と言われました。
それまでどれだけ違和感を感じても一途に思い続けてきましたが、この一言で、彼は本当にどこか人としておかしい、と気付きました。
きちんとした謝罪の言葉が欲しいと思い、彼にどのように傷ついたか、なぜ傷ついたか、どういう言葉をかけて欲しいかを懇切丁寧に説明しました。それに対しての返事は、いや俺は悪気なかったし、別に本心なんだから謝る必要ってなくね?てか、傷つく方が悪くね?というもの。(最終的には、明日早いから寝させてくれと言われ電話を切られました)
もうこの発言には頭がクラクラしました。なんで、人が傷ついているのに謝れないんだろう、わたしがおかしいのかな、と。

◆確信 発達障害の可能性

ひどいことを言われてモヤモヤして、傷ついた気持ちへの理解も謝罪もないことに号泣する。このルーティンを何回か繰り返しました。いつしか検索履歴は「彼氏 傷つくことを言ってくる」、「彼氏 謝れない」、「彼氏 話が通じない」といったキーワードで溢れていました。ネットに解決策や同じような体験をした人がいないか求める中で、「発達障害(アスペルガー)」という言葉にいきつきました。

アスペルガーの特性で人の感情の機微が読み取れない、共感ができない、それゆえ対人トラブルを起こす。夫婦間において夫がアスペルガーの場合、妻は気持ちの分かち合いができないことでカサンドラ症候群に陥る。
すべて彼とわたしに当てはまっていました。診断を受けてもらっていないので言い切ることはできませんが、限りなく黒に近いと感じました。

また、会社の同期や大学の恩師に相談する中でも、複数の方に同様のことを指摘されました。(みなさん一様に、言いにくいけど彼ってもしかして…という文脈で指摘してくれました)

◆別れの決意まで

脳の特性だから仕方ない、彼が悪いわけではないのだし、楽しい思い出もある。もしかしたら変わってくれるかもしれない。はじめての彼氏でなかなか離れがたく、別れる決心がつきませんでした。当時わたしは会社の関係で彼の元を離れて遠距離恋愛中、別れるにしても遠距離が終わってから言い出そうと思っていました。
ですが、別れの日は唐突に訪れました。久しぶりに地元に帰省したわたしは、彼とファミレスでランチをしていました。そこで彼が「もう少しで遠距離も終わって帰って来れるね」とつぶやきました。その発言を聞いた途端、わたしはハンバーグを食べながらぽろぽろと泣いてしまったのです。
自分でも予想外でしたが、おそらく心の底から、帰ってきて彼と過ごしても幸せになれないだろうと感じたのだと思います。

そのまま別れ話になり、彼との交際は7ヶ月で終了しました。

◆振り返って。なぜすぐに別れられなかったか。愛情への根源的な飢え。

別れたのは6月でしたが、1月の時点で彼に違和感を感じていたし、周りからも別れるように何回か忠告されました。
それでもすぐに別れられずに傷を深くしてしまったのは、わたしの見捨てられ不安からきていたと今ならわかります。幼い頃に両親が離婚し、母に引き取られ、義理の父ができて…という生い立ちの中では家族の愛情を感じにくく、ずっと人の温もりに飢えていました。そんな中ではじめて手に入れた彼氏という存在。その人にどれだけ傷つけられても、わたしなんかを好きになってくれる人は二度と現れないと思い、切り捨てることがなかなかできませんでした。
愛に飢えていると本当にあらゆることに支障をきたします。人の優しい言葉が信じられなかったり、酷いことをされても許してしまったり。今ではだいぶ飢餓感も回復しましたが、それでも根源的な寂しさに涙する夜もあります。
苦しみを伴う愛情に執着せず、自分で自分を満たせるようになりたい。苦い思い出を振り返る中で改めて思いました。

※これはあくまでわたしが体験した一例で、すべての発達障害(アスペルガー)の方にこのような特性が当てはまるわけではありません。また、特性を持っている方の中にも、自分でその特性を自覚して、相手を不愉快にさせないコミュニケーションをとっている方もいらっしゃるようです。


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