ジグソーパズル

ジグソーパズル

ピースを集める。
ジグソーパズルのピース。
1000ピース?いやもっとだろうか?
そのピースをひとつひとつ選んで、よく観察して、
最後に一枚の絵になったとき、
私は人生という旅を終え、死を静かに迎えるだろう。

それまではジグソーパズルのピースを探す。
毎日毎日。
飽きることなく、ずっと。
こつこつこつこつ、集め続ける。
わたしはどんな絵になるのだろうか?

空の絵かな?
街の様子かしら?
今はまだぼやけてしまっているけど、
なんとなくピースは集まってきているし、
事細かくみていけば、実に細部にわたって絵が描かれている。

一部だけ黒いところ。
高校生の時についた嘘。

果てしなく広がる空。
友達と飲んだコーヒーを表している。

若葉のにおいは、家族と過ごした5月のハナミズキをイメージしている。

まだ若いのに、もう若くない。

どうしたらよいのかわからない、
もどかしい記憶の片隅に眠る羊の羊毛のように温かい毛布。

イメージだけがどんどん映像として広がる。
まるで誰かのインスタグラムをみているようなのに、
そこには感情が湧いてくる。
喜びも怒りもどっちも。
そしてそれは涙になって、わたしの目から流れ落ちた。

涙が流れ落ちた時、急に胸の奥を締め付ける何かが走った。

祝福だ。

大切にされているのだと思った。
体で感じたのだ。
世界中からお祝いされていると。
それが涙となって表れた。

体で感じる。
拍手の音が耳元で鳴る。

涙はわたしのパズルのピースの一つだ。


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