香水のにおい

香水のにおい

ふわっ。と香る香水の匂いが好きだ。
「いってらっしゃい。」というと、
「なるべくはやく帰ってくるからね。」
そういって頭をそっとポンポンされた。
いくつになっても頭ポンポンはうれしい。

ふわふわの髪をそっと撫でてくれる。
「ふふふ、かわいいねぇ。」
わたしがほしい言葉を一つ一つ丁寧にくれる。
からだのすみずみまでが触られて喜んでいるのがわかる。
ここにいつまでもいたかったけど、彼は仕事に行く時間で、
早く帰ってくるからの言葉がうれしくて、私はもう一回ソファで寝ることにした。

ネイルを新しくしたいといえば、
「かわいくしてもらってね。」
って言ってくれるし、
「花束をおみやげに買ってきて。」
ってlineすれば、そのとおり白とピンクの大きな花束をもって帰ってきてくれる。

いつだってわたしを一番にしてくれて、
ずっと好き。って言ってくれていた。
なんもできないのに、それがいいんだよ。って笑ってくれて、
いつもそばにいてくれる。
おとぎ話みたいだけど、わたしの毎日はこんな風にできている。

わたしはこうなりたい。って彼にお願いしたし、
自分自身も心の底から私に許してあげた。
こうすることでわたしもちゃんと自分のやることを果たしているわ。
ただあまあまのグズグズで過ごしていい。って。
彼は喜んで、わたしにいっぱいそういう時間を作ってくれて、
二人で毎日を過ごしている。
こんな毎日がただうれしい。
安心してふわふわの香水のにおいをかいで、また眠れる。
わたしはなにもできないグズグズのまま、猫のようにとろとろに甘く満たされた。


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