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「個性がない」という「呪い」を解く/後編

お待たせしました、後編です!

「早く事務所に所属したい!」
「仕事をゲットしなければ!」
「個性を見つけ(磨か)なければ!」

そんな思いを抱いて私のスタジオレッスンに参加したM.Tさん。
そこで、私はM.Tさんが持参したセリフ原稿を一旦脇に置いて、全く違う別の原稿をお渡ししてみました。
(これは、M.Tさんの「個性の核」を見つける作業の一部です)

樋口「ちょっとこれを演じてみてもらえますか?」

さて、その時のM.Tさんはどう思ったのでしょうか?
以下、M.TさんからのDMの続きです。

「個性がない」という「呪い」を解く/前編 はこちら

※ 太字部分は私が編集/追記した箇所です(伏字)

そんな中、樋口さんのワークショップを受けて、声を聞いてくださった後、
一番最初に樋口さんは「ドジっ子ないい人、頑張り屋さん」の台本をくださいました。
今思うと「あの台本私にピッタリじゃん!」と思うのですが、当時の私は「こういう自分でありたい(≒それが私の強みであって欲しい)」という考えに囚われていて、スっと受け止めることが出来ませんでした。

恐らく樋口さんはそれを見抜いていらして、その次に「上司に自分も戦地に連れて行って欲しいと懇願する女指揮官?」の台本をくださいました。
その時私が内心びっくりしていたのは、20代でと言われたことでした。

実はそれまで強みを見つけたいモンスターになっていた私は、レッスンなどで役をやる時30代40代の役に積極的にトライしていたんです。
当時24~26とかでクラスにいた他の若い子との強みの差別化をしたいと思っていたのが原因だったと思います。(確かに大人っぽい役は私の強みの1つだと思いますし、今でも親など「大人の役」を振られることは多いですが、大人テンプレートで満足していた当時の私は、何か「大人」の捉え方が間違っていたんだなと思います。)

だから、私が20代の役をやって強みになるんだろうか、、?と、とても不安になりながらマイク前に立ちました。
でも樋口さんがそのセリフの状況のブラッシュアップなどをしてくださって、とてもセリフが喋りやすくて、収録が楽しかったのを覚えています。

そして音源(自分の声)を聞いた時にとてもびっくりしました。
肩肘張らない自分の声が、とても個性的だったからです。
「個性がない今の自分じゃだめだ」と焦っていた当時の私にとって、それは衝撃的なことでした。

帰宅してその音源を聞いたり、同期の友達の「飾らないのにとっても個性的で素敵なお芝居」を聞いたりしているうちに、「自分が今していることは何か間違っているんじゃないか」「今のままだと大好きなお芝居を生涯出来ないかもしれない」という考えに至り「基礎をしっかりやり直そう」と、○○( とある老舗劇団)の受験を決めました。

まだ、特にマイク前に立つとどうしてもテンプレートを取り出したくなるのですが
○○( とある老舗劇団)での学びの中で、そうじゃないんだと一層強く感じるようになりました!

恐らく、お芝居をしていく中で、テンプレートとは全く違うお芝居への取り組み方をする必要が生まれ、徐々に「ドジっ子な頑張り屋さん」な自分など、その時認めたくなかった自分の自己受容ができるようになったんだと思います。
メンタル的にも安定して、今は以前よりも落ち着いてお芝居に正面から取り組めるようになったと感じています。

お芝居歴の浅かった私に「キャラクターのテンプレートのクオリティ上げ」を求めた当時のマネージャーの気持ちも、色々な焦りの中でねじ曲がっていった私の思考も、今となってはとてもよく分かるのですが、
私としては、お芝居を始めたばかりの頃に「自分はこのままで十分魅力的なんだ。その個性を生かせる芝居をしよう」と大前提を理解させてあげたかったなと、今になって思います。
まあ、私自身のメンタルが、お芝居を始める前からそもそもあまり安定していなかったので、それを言われたところで納得出来ていたのかは不明なのですが 笑

長くなってしまいましたが
そんな私のねじ曲がった考え方を解きほぐしてくださった樋口さんには本当に感謝しています。
ストレングスファインダーも、私の中の歪みを解消する大きな助けになってくれました!
本当に本当にありがとうございます!

M.Tさんからの DM


如何でしたでしょうか?

このM.Tさんの文章から、「思考」と「行動」の大きな変化が伺えましたね。
そして、私自身も同じような変化の道を辿ってきたなぁと、自分の軌跡を振り返るきっかけにもなりました。

特に強く共感したのは、

「こういう自分でありたい( ≒ それが私の強みであって欲しい) 」という考えに囚われていて、スっと受け止めることが出来ませんでした。」

こ  こ  で  す   。

これはね、ほんとにもう死ぬほど分かる!!(笑)
私も全く同じ経験がありました。

まだデビューしたての頃、私は自分を強い人間だと思っていて。
「私は強い役が得意だ」ということで、せっせとイメージ作りに励んでいました。
でも、そこから数年経ったとある現場で「控えめでか弱い(けど実は芯が強い)女性の役」を任された時、周囲から賞賛の声をたくさん頂きました。

「この役、ほんとにピッタリだね!素敵だよ!」

たくさんの方から何度もそう言われました。

もうね、めちゃくちゃ意外でした。
「か弱い」とか「控えめ」なんて要素は、自分には無いと思ってましたから。

でもね、今思えば「そういうことにしておきたかった」んだと思う(笑

それは私の「なりたい姿」じゃなかったから。

ちなみに、この役とは約2年ほどお付き合いすることになります。(←長いシリーズものだった)
その2年の間に、他の演者さん達ともたくさん交流させて頂き、お芝居についてたくさんのことを学びながら、「自分自身の個性」についても大きなヒントを頂きました。

あぁ、私って強くなかったんだ…
弱かったんだ…(ていうか実は心の底では知ってた/見たくなかった)
そうか、これ、受け入れるしかないのか…

最初のうちはそんな感じで落胆?というか諦め?のような状態に近かったんですが、役として生きる時間が少しずつ蓄積されていくうちに、それも悪くないなと思えるようになりました。
なぜなら、

本 当 の 強 さ と は、
弱 さ を 受 け 入 れ る こ と 。

これを、その役の人物に教わったからです。

この時のことをきっかけに、私は一気に2〜3段くらいレベルアップできたんじゃないかなと。
振り返ってみてそう思います。
今は、「強さと弱さを併せ持つ役」が得意と言えるのかな?と思っています。

M.Tさんと全く同じではないですが、私は自分で自分に呪いをかけていたんでしょうね。

「強くなければならない」と。

この呪い=思い込みが、演者としてのレベルアップを妨げ、可能性も閉ざしていたのだと思います。

うーん。このテーマ(呪い)のお話、
このまま続けたいところなんですがキリがないので(笑)、
また別の機会に改めて掘り下げてみようかなと思っています!


◾️ M.Tさんの文面の最後にあった「ストレングスファインダー」についても、近いうちに詳しくご紹介したいですね。

このストレングスファインダーは、自分の強みを発見するツールです。
ちなみに私が持つ強み(個性)は、俳優(声優)には直接的に向かない資質ばかりでした(笑)

でも、こうして演じる仕事をしていますからね。
不思議なものです。
なぜ、適した資質を持たない私がこうしてプロの声優として仕事を続けることができているのか。
その辺の掘り下げ/分析もシェアしてみたいですね!






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