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未聴アルバム開拓#01 "月の兎はヴァーチュアルの夢をみる" by月ノ美兎

!前置き!
まだ聴いたことのない音楽アルバムの感想をつらつら書くだけ。
吹奏楽部、軽音部、合唱部などの部活、習い事も全く経験なし。
音楽を聴くことは好きだけど、音楽を学んだことはない素人の文章です。


月の兎はヴァーチュアルの夢をみる/月ノ美兎 1stアルバム(2021.08.18発売)

私はVTuberには明るくないんですが、ある動画で海外の音楽レビューサイトでこの作品が上位にランクインしているということを知り、コメント欄でも「良かった!」と言っている方が多かったので聞いてみようかなと思ったのがきっかけです。

こちらのアルバム、とにかく制作陣が濃い。
音楽をまだまだしっかりと語れない私でも知ってる名前がたくさんあって驚きました。
所謂メジャーで活躍されている方たちがこのがっつりサブカル文化の中でどんな楽曲を提供されているのかわくわくしながら聞きました。


1.月の兎はヴァーチュアルの夢をみる

作詞:月ノ美兎 作曲:ASA-CHANG&巡礼 編曲:ASA-CHANG

オーバーチュア的な1曲目。
「月の兎はヴァーチュアルの夢をみる」の1ワードで進む楽曲で、
浮遊感ある無機質なサウンドがとても好み。
この先何が起こるんだというわくわく感を煽ってきます。
こういう曲はどういったジャンルになるんでしょうか?


2.それゆけ!学級委員長

作詞・作曲:ササキトモコ 編曲:ササキトモコ、蓑部雄崇

私はアイマスPゆえ、ササキトモコさんの楽曲にはとてもほれ込んでいまして…
可愛らしいポップな曲で懐かしいアニメのOPテーマ感ありますね。
歌詞はメタっぽいものも織り交ぜてあってふふっと笑えるものに。こういうの大好きです。ファンの方なら尚更楽しめるんでしょうね。
個人的にはピチカート・ファイヴぽさも感じました。サビ前のブレイクとかコーラスの入り方などなど。


3.ウラノミト

作詞:只野菜摘 作曲・編曲:広川恵一(MONACA)

シティポップそして、ディスコっぽさもある踊れる曲ですね。
ささやくような歌い方が楽曲に合っていてとってもおしゃれ。
歌詞も抽象的なフレーズが多くてアンニュイな雰囲気もあるの好きだなあと思ったら、シンデレラガールズで”不埒なCANVAS”や”躍るFLAGSHIP”の作詞をされている只野さんと知り納得!
フックになる部分がたくさんあってリピートしたくなります。


4.光る地図

作詞・作曲・編曲:長谷川白紙

出だしから「なんじゃこれ!」と言いたくなる衝撃。
リズムが一定なのか、揺れているのか不思議な感覚に陥ります。
色んな音が混ざり合っていい意味でカオス、歌詞も一発で解読するのは難しい…。
長谷川白紙さん、お名前は知っていたのですが楽曲は聴いたことがなく、こんな挑戦的なサウンドを作る方だと初めて知りました。


5.浮遊感UFO

作詞:大槻ケンヂ 作曲・編曲:NARASAKI

「オーケンだ!どんなぶっ飛んだ楽曲なんだ?」と思ったら、想像していたものよりすごく柔らかい楽曲でした。
少し切ないメロウなサウンドが刺さりました。オーケン&NARASAKI楽曲で女性が歌っているのを聞くと絶望少女達のことが頭をよぎります。
歌詞にある「浮かぶ白い球体」って3Dモデリングソフトにあるオブジェクトを指しているのかなと思ったり思わなかったり。


6.みとらじギャラクティカ

作詞:七条レタス(IOSYS) & まろん(IOSYS)
作曲・編曲:ARM(IOSYS)

こういうラジオをテーマにした楽曲とても好きです!名曲多くないですか?
ここまで割とフラットな歌声で歌っていたのが、この曲で月ノさんのパーソナリティが見える表情豊かな歌声になっているのがいいですね。
歌詞には表記がないですが「三倍アイスクリーム!」みたいな空耳ネタ入っていたり、ネット文化もりもりって感じでなんだか聞いてて居心地の良さ半端ないです。IOSYS産なので大納得!


7.部屋とジャングル

作詞・作曲:堀込泰行 編曲:矢野博康

一定のリズムとそこまで大きく動かないメロディがループしているのが癖になります。変わらない毎日から抜け出したい的な歌詞なので、その要素を音で表現するとこんな感じなのなんとなくわかります。
アイドルがツーステップで横に揺れながら歌っている映像が頭に浮かぶのは、歌謡ぽさもあるからでしょうか。


8.ウエルカムトゥザ現世

作詞:TAKUYA、MEG.ME 作曲:TAKUYA 
作曲・編曲:TAKUYA、Keisuke Iizuka

このアルバムで1・2を争うレベルで好きです!
サビのキャッチーさ、ここの音に行ってほしい!って所にぴったしハマるのが気持ちいいし、ロックなギターサウンドも最高に上がりますね。
ライブでとっても盛り上がりそう。
TAKUYAさんは元JUDY AND MARYのギタリストと知ってめちゃくちゃ合点がいきました。


9.NOWを

作詞:Seiko Ito 
作曲:Watusi / Shigekazu Aida / Ippei Tatsuyama / Ken Kobayashi / SAKI 
編曲:SEIKO ITO is the poet

この楽曲は先ほどのウエルカムトゥザ現世と並ぶほどお気に入りの曲!
個人的にアルバムの中で一番異質な曲でこれを歌いこなす(語りこなす?)月ノさんすごいです。
いとうせいこうさんは私にとって天才ビットくんの人、フリースタイルダンジョンのジャッジの人って感じでアーティストと知りつつもその面に触れたことがなかったのでこんな感じなんだ!ととても新鮮でした。
ユーモアとメタを織り交ぜつつ、委員長らしからぬフランクな言い回しのラップは聴いていてしびれます。トラックも最高です。


10.Moon!!(Avec Avec Moonlight Power Pop Re-Arrange)

作詞・作曲:iru 編曲:Avec Avec

もともとファンの方が作られた楽曲がご本人のもとに届いて、アルバム最後の曲として収録されているのとてもエモいですね…。
ファンならではの歌詞も愛にあふれていて素敵です。
「目指すは一流 夢のバーチャルアイドルへ」という歌詞で締めくくられるのがアルバムタイトルとまたつながる感じがして完璧な曲順構成だなと思います。


まとめ

個人的にVTuberという存在は、見た目は完全な二次元なのに喋りは三次元の一般人と同じようにナチュラルに話すのが違和感というか、夢を壊すようなたとえをするとミッ〇ーを演じてる着ぐるみの中の人がいきなり普通に喋りだす的な感覚があったんです。
なので何となく敬遠していた節があるのですが(VTuberファンの方ごめんなさい)、今回このアルバムは音楽的にすごくクオリティが高くて、制作に関わっているクリエイターの皆さんがいろいろと模索しながら「月ノ美兎を表す音楽」を構築しているのが面白いなあと思いました。

私の中でヴァーチャルアイドルと言えば初音ミクを始めとするVOCALOIDでした。
彼女彼らの場合、公式で提供されている情報としては年齢や身長体重の簡単なプロフィールと、楽器として使える得意なジャンルとテンポ、音域ぐらいしか提示されていません。
その少ない情報量からクリエイターや視聴者が創作的にいろんな要素を肉付けしていって、どんどんキャラクターが育っていきました。
ネギが好きな設定とか元々どこにも書いてありませんから。

けれど月ノ美兎さんのようなVTuberの場合、既に彼女からパーソナルな情報はふんだんに提供されていて、ファンがキャラクターの肉付けをするというのはほぼないのではないかと思います。
でもヴァーチャルで確定的な存在ではない。3次元にはない謎めいた部分もたくさん秘めている。人なんだけど人じゃない、事務所名の「にじさんじ」もシンプルなんだけどうまく核心を突いてるネーミングですよね。
どれだけカオティックに振っても成立してしまうような、そんな存在なんだと思います。VOCALOIDとはまた形態が違う、「ヴァーチャルアイドル」として相違ないのでしょう。
そういう不思議なギャップが作用してこのようなジャンルに富んだチャレンジングなアルバムになったのかな思いました。
触れそうで触れてこなかったジャンルを少し知れた気がします。

アルバムの総合的な感想としてはネットのサブカル文化と音楽のプロフェッショナルたちの混ざり合いってこんなに面白いんだ!ということ。
今までにもあったでしょうがこれが一番最新に近いもので、今の日本の多種多様な音楽と文化を堪能できる良い1枚です。
もしかしたら海外から見た日本ってこんな感じなのかもしれません。
ジャケットもKawaiiデフォルメされたキャラクターデザインでvaporwave的な要素もありますし、最近海外でも流行っているシティポップの影響も大きくてレビューサイトにランクインしたというのもありそうですね。


#01と表しているのでちまちま感想シリーズはやりたいんですが、毎回この分量書いてたらちょっとやばいですね…。
次からはもう少し簡潔に話をまとめられるよう努力します!
今回はここまで。

あかりたずな

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