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【小説】サフランライス君の華麗なる日常(仮の名前で出ています)

はい、みなさん、こんにちは。

サフランライスです。

作者です。

え?名前が違う?

まあ、そういうこともあります。

自分では、こういう人だよね、って、自分で思っていても、他人からみると、全然違っている人に思われてしまう。

自分では、サフランライスのつもりでも、他人は、別の名前で呼びたいと思って、別の名前で呼ぶ。

そういうものだよね?
だから、サフランライスは、あくまでも「自称」ってことで、まあ、作者の名前は、呼びたいように呼んで下さい。

さて、今回は、ソシラーヌ夫人の華麗なる日常のお話です。
さっそく、インタビューにレッツゴー!

「こんにちは、ソシラーヌ夫人ですか?」
「はい、そうですが、何か?」
「いや、今回は、ごく平凡な人の退屈な日常というテーマで記事を書くことになりまして」
「まあ、ごく平凡な私の退屈な日常!」

ソシラーヌ夫人、遠い目になる。
「そう、あれは、私が15歳の頃の話・・・」
「あ、今、コーヒー飲んでるんですね。インスタントコーヒーですか?」

ソシラーヌ夫人、インスタントコーヒーの瓶を取り出して、ラベルを読む。
「ええと、ソル、ソリユハブル、あ、間違えたわ、これ、何ていう名前なんでしょう?」

サフランライス君、サッと瓶を手に取り、
超絶難解なるカタカタ名称を、さらっ、と口にする。
「まあ! そんなに難しい名前を、お分かりなんですね。私、ちっとも名前がわからず、インスタントコーヒーという、仮の名前で呼んでいます」

「真実というのは、難解なものです。まあ、日常生活は、仮の名前で生活して良いと思います。真の名前とは?などと考えると、コーヒーも飲めなくなりますから。コーヒーと言えば・・・」
「そうね、やっぱり、100円のコーヒーが飲みたいわ」

ソシラーヌ夫人は立ち上がった。

コーヒーを買いに行かなくちゃ

ソシラーヌ夫人、財布の入ったバッグを持ち、マスクを着けると、家を出た。
鍵をかける。

家から出て、しばらく歩くと、自販機がある。
コーヒーが売ってある。
100円。

ソシラーヌ夫人は、100円玉を一枚、自販機に投入する。
大好きだけれど、ここ数年飲めなかったコーヒーのボタンを押す。
コーヒーが、ガチャンポンと転がってくる。
ソシラーヌ夫人は、コーヒーを取り出し、両手で包み込む。

ああ、コーヒー。
なんて素晴らしいのかしら。

思わず、人生に乾杯したいが、コーヒーを飲みたいので、乾杯は心のなかに、おかたずけ。

家に帰った、ソシラーヌ夫人は考えた。
あら?
私は今日、コーヒーを飲んだかしら?
1日に2回もコーヒーを飲んで、良かったかしら?

「サフランライスさん、私はコーヒーを飲んでいましたか? あなたは、現場を目撃していたはずです。どうか、証言して下さい」
「ふうむ、このインスタントコーヒーの瓶を見る限り、誰かがコーヒーを飲んだでしょうね」

インスタントコーヒーの瓶がアップで写る。

言葉でなんて説明不可能だ。
見よ、このインスタントコーヒーの瓶を。

なぜここで、インスタントコーヒーの瓶のショットが入ってくるのか?

「まあ、後世の研究家に、任せましょう」
「そうね、平凡な私は、平凡に日常生活する。それが大事よね」

誰がインスタントコーヒーを飲んだのか?
誰が缶コーヒーを飲んだのか?
真実は、藪の中。
ではなくて、

真実は、胃の中に存在しているが、誰もが見たくはないと、目を反らす。

「では、私はこれで失礼します」
「平凡で、ありふれた記事、楽しみにしてますね」

サフランライス君は、さわやかな笑みを残し、その場を立ち去る。

ソシラーヌ夫人は、夕ごはんの支度を始める。

大根を炊こう。
お金なんて、無いけれど、大根を炊こう。

テーブルの上に、郵便物がある。
ポストからテーブルの上に、誰かが運んだ郵便物。

感謝状が慎ましやかに、封筒のなかに入っている。
「10年間、ご寄付いただきありがとうございました。今後も、よろしくお願いします」

ソシラーヌ夫人は語らない。
大好きな缶コーヒー。
100円の缶コーヒー。
毎日飲みたい缶コーヒー。

ソシラーヌ夫人は大根を炊く。
お金が無いから。
お金なんて、無いから。

これ、どうぞ(コーヒー代)

平凡で、退屈で、
でも、きらきらしている。

そんな1日。

「あ、お砂糖を買うの、忘れたわ!」

ソシラーヌ夫人、スティックシュガーを鍋に投入する。

「ええと、トイレットペーパー、在庫よーし、ティッシュ、在庫よーし、洗剤、在庫あったかしら? ゴミ袋、切れてる!!」

ゴミ袋を買いに行かなくちゃ

食パンを買いに行かなくちゃ。
卵を買いに行かなくちゃ。

ああ、ゴミ捨て!!
ああ、排水口の掃除!!

大根が煮えている。

とりあえず、買い物は、明日にしよう。

「おだーいこんこん♪ おだーいこん♪」

ソシラーヌ夫人、おだーいこんこんの歌を歌う。
鍋をかき混ぜる。

平凡で退屈で、何か抜けている。
そんな1日。

は、まだ終わらないが、長くなるので、以下省略。

チャリーン♪ しあわせに、なーあれ(о´∀`о)