射手座と水瓶座は似ているか(4)──支配星の違い

これまでは哲学に着目してとか言いながら、火の柔軟と風の不動という捉え方でもあったかもしれない、ということをあらかじめ補足しながら以下で前回までをまとめる。

火の柔軟たる射手の哲学は、「自発的にどこかに行くこと」であり、ヤスパースって人はこれこそを哲学としてみている(2)。一方風の不動たる水瓶はまあやはり、固定的な式があって、どこでも動くユニバーサルな思想を意味しており、実際コンピュータに代表される機械はいつでもどこでも動く(3)

そんなには似てないが、最後に一部だけ抜き出すと似ているという話をした。その一部とは、「どこかに向かっていること」だ。

でもこれだけだと私の解釈に過ぎないので、占星術における支配星概念からこの違いを捉え返して、解釈を補強してみたいと思う。

4.1. 木星──射手座の支配星

木星は「幸運の天体」とか言われるけど、本来は拡大を支配する天体だ。物資が不足している時代においては多いことは良いことだ。肥満もね。「考え」を主語に据えると、考えは拡大する、わけだ。

この惑星を支配星とする射手座は、だから出版や学問と関係することになる。高次元から与えられる知識とか、知恵。そう、ここでも一方向であることに着目してほしい。射手座は旅することだけ考えていて、帰ることは考えない。それ自体が哲学であり、哲学自体が彼らのホームならば、「帰る」必要はどこにもない。なぜなら常にホームにいるからだ。

4.2. 土星(天王星)──水瓶座の支配星

土星。これが効いていると不運とか言ったりするが、木星と逆の作用で、つまり縮小。まあミニマリズムがいいっていうのは現代の価値観だからね。考えを主語に据えると、考えは縮小する。もっと直截に言うと目的志向になる。

目的志向については、支配星を共有する山羊座のことを思い出してほしい。冬至に始まる星座で、資源の浪費を嫌い、意味のある・リターンのあることしかやりたくない山羊座。水瓶座もこの色彩を引き継いで効率的だ。

山羊座と違うのは(前回と一部説明が重複するようであるが)、ユニバーサルであるかどうか。水瓶が求めるのは、いつでもどこでも、誰が使っても、効率的であること。山羊座は自分と自分が属する集団のリターンを求めるため、ともすればローカルになりうる。それを打破して、いつでもどこでも性を実現しようとするのが水瓶座であり、天王星のはたらきである。

4.3. 違いをまとめる

それでは最後に違いをまとめよう。木星は拡大する天体であり、土星は縮小する天体である。なので、この違いがまずベースにある。

もちろん水瓶の思想が拡大することも、射手の思考が縮小することもありうるけれど、本来の思考のはたらきではないと思う。水瓶の思想が拡大するときはきっと、その先に目的を見ていてそのために情報収集をしているだろう(縮小のための拡大)。逆に射手の思考が縮小するときは、たくさんの選択肢から選び取ることを目指して、情報収集をしているだろう(拡大のための縮小)。

というわけで、拡大がベースにあって、拡大のために旅という名の哲学をする射手、縮小がベースにあって、縮小して最小限にして、何かをユニバーサルに使えることをめざす水瓶。自分が行く射手/自分はここにいて、機械や式、情報で遠くを見る水瓶。でもどこかに意識が向かっているのは同じ。こういう風にまとめることができる。

(射手座と水瓶座は似ているか──終)

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