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凡人の駄文


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能のある人のところへは、能のある人が自ずと集まる。
今のところ僕には何も無い。
一生「今のところ」のままで死ぬ人が大半なのだろうなあ。
天才になる予約だけをして、ずっとすっぽかしてしまっている。歯医者みたいだ。歯くらいなら、歯磨きでどうにかなる。天才にならなくとも、凡人らしく生きればなんとかなる。
でも、こうして生まれたんだから、ちょっとは自己顕示欲あってもいいんじゃない?

有名になったらなったで楽しいと思うし、ならなかったらならなかったで、それなりに人生は楽しいのだと思う。

元々表に出たいタイプじゃないし、音楽の裏方でいようと決めたのは16歳の自分自身だから、肯定してあげるために多少の諦めはついている。50歳にもなって夢を捨てきれないのは、夢を大層なものと勘違いしているのか、縋りすぎていて苦手だ。一生懸命に突き進むのはもちろん素敵だけれどね。


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こんなにおだてられていいのかってくらい、みんなによしよしされた。頭を撫でられていたほうが生きやすい。今が人生のピークかもしれない。常に人生ピーク!失敗はしてもいいけれど、後悔だけはしたくないな。

この「おだてられてる」っていうのも、本気で言ってくれてた人がいるかもしれないから、ちょっと失礼だよね。自分をsageると、相手のこともsageちゃうんだよな。謙虚って難しいねぇ。デカい態度でのさばってこう。自信がある女のが好きよ。


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「歌が上手い」とか初めて言われちゃったから、なんて返信したらいいかわからなくて、ずっとトークを開き眺めてはニヤニヤしている。冗談でも嘘でもいいのよ、嬉しいから。


1年前、知り合いのバンドマンが新しく作るバンドに誘われた時、「お前の今の技術と歌唱力だと無理だわ」って断られた。それもまたなんて返信すればいいかわからずに既読無視してしまった。
『誘っといて断るなよ!』とか、『勝手に僕がギターボーカルって決めてたのそっちじゃん!』とか、『歌うの苦手なジャンルの曲だし!』とか、いろいろ思うところはあるけれどな。


まあでも、1年で自分は何も変わっていないはずだったのに、真逆のことを言われて驚いてしまったのである。

嬉しかった。

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世間はコロちゃんに抗おうと頑張っているのにも関わらず、自分は何もせずにのうのうと過ごしていて少々嫌になっていた。
次々に中止や延期になるイベント予定を見て、心のどこかで安堵した。

もともと何かをやろうとすると自分を追い詰めてしまうタイプで、過去にも何度か爆発してしまったことがある。一般的な人間の容量が100だとしたら、僕は3でパンクしてしまうと感じている。

これは免罪符みたいな、そういうものじゃなくて、ただただ周りの人間と比べて自分の出来ることが少なすぎると思うからだ。

周りのみんなはキラキラしてて、舞台に立って、知名度もあって、なんだか憧れるな。だからこそ、リスペクトの気持ちで裏方にいれるのだけれども。

もちろん、他人と比べても何にもならないことはわかっている。しかし、他人よりちょっとだけ優位に立っていたいとか、有能だと示したいだとか、そういうものは少なからず持っている。きっとみんなそうなのだろうな。


まあ比べても、僕はビリーアイリッシュにはなれないけれども。


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小さい頃から褒められたことがなかった。なかったというか、最近そのことに気が付いたのだ。
何かのきっかけでDV毒親に育てられた人の漫画を読んでいたら、『DVする父親は自分のことを「さすが俺の息子!」と、周りへの自慢話としてしか言ってくれなかった』という描写があった。
いや、僕だってママに褒められる時は「さすがママの子供!」って褒められるし……と思ったのだが、それは周りに『出来のいい子供の母親』ということを誇示したいママの気持ちの現れであって、僕を褒めるなんてひとつも考えていなかったんだなあ、と、ちょっと悲しくなった。
もしかしたら、ママは褒めているつもりなのかもしれない。可哀想。
でも、もし本当に褒めていたならば、こんなに卑屈になっていないし、自己肯定感も低くはなっていないはずだ。


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ママからは「ブス」「ナルシスト」「可愛くない」そう言われて育ってきた。
だから自分で言うようにした。毎朝、可愛いね、素敵だね、最高だね!道重さゆみにはなれないけれど、自分が可愛いならそれでいい。

あとママは、私が化粧をして着飾ると「誰も見ていないのに、どこ行く格好なの?」と言う。履き古したスニーカーを履くと「オシャレは足元からでしょ?」と言う。

この刃物は、同じ家庭内にいるとどうしても避けられない。自分で耐え忍ぶしかないのだ。


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実家が苦手な理由もこれに起因する。
家族や地元のことは大好きだけれど、ママといるのは苦痛だ。
例えママに親不孝だと言われても、最期の生活は東京でしたいなあ。
多少は改善された自己肯定感がだだ下がるなんて、もう嫌だ。


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「早くいっぱい稼いでお家建ててよ」とよく言われる。子供は親の家を建てるために生まれたものなのかな。
僕のことを数千万かけた、株か何かだと思ってるのだろうか。
期待だけでしんどいよな。のびのびと生きたいね。僕はママの所有物じゃないから。

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今のところ地獄みたいな家庭環境だけれど、僕が天才になれば変わるかな。認めて欲しいな。褒められたいな。

こういう時に男に縋ってはダメ!抹殺!殺しなさい!

今度ひとり暮らしする時はペットを飼う。
寂しい、と正直に言える相手が欲しい。


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おわり。



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