宇宙人はどんな音楽を作るのか?
音楽は国境を越える、なんて言葉をどこかで聞いたことがありますが、宇宙ではどうなんだろう。
宇宙人がいたらどんな音楽を作るのだろう。
独学で作曲をしている人間のちょっとした空想話です。
拍子やリズム
リズムは簡単な数学で作られているので、宇宙人とも共通していそうです。
仮に拍子がなくても、そういう音楽も地球上にありますから私たちに理解できる範囲でしょう。
数学にとても強い宇宙人だとしたらとんでもない変拍子になる可能性もありますが、それも地球上にあります。変わった音楽だと感じるかもしれませんが、理解不能な音楽にはならなそうです。
ただ、とても寿命が長い宇宙人だとしたら、ものすごく遅いテンポの曲を書くでしょうから、それは私たちに理解できない可能性はあります。また逆に短命な場合は速くなります。
私たちと極端に異なる寿命でなければ感覚が共有できて、私たちと大きく異なるリズムの音楽ではなさそうです。
美しいとされる和音
和音の美しさは「比率」です。
ドの音がなる長さの弦を2本用意して、片方を三分の二の長さにします。短くしたほうは、ソの音が鳴ります。
この二つは「5度」という間隔で、きれいに調和する音です。
比率であれば、言葉や感じ方が多少違っても聴覚が同じ仕組みなら、美しい和音はある程度宇宙共通なのではないでしょうか。
どこまでを協和音とするか差はありそうですね。
それは地球上でもそうで、昔は不協和音とされていた音でも現在は好まれて使われているものもあります。
和音……コードともいいます。コード単体の美しさは宇宙人とも共有できそうですね。
宇宙人も明らかな不協和音は使わないのではないでしょうか。
1オクターブの音の数
日本のポピュラー音楽は、西洋音楽の音楽理論がベースになっています。
ピアノの鍵盤をド、ドのシャープ、レ……と数えていって、ドで一周。この通り、音の種類は12個。1オクターブを均等に12個に割ったものです。これを12平均律と呼びます。
なぜ12平均律が一般的かというと、5度のハーモニーがうまい具合に演奏できることと、音の並びを平均にすることで転調をできるようになることと、また、人間の体の構造上演奏しやすい数だから定着したのだと思います(たぶん……)。
ただ地球にも非12平均律と呼ばれる、12個ではない平均律があります。
さらに宇宙となったら、異なる平均律が一般的な星があってもおかしくないのではないでしょうか。
もしとんでもなく長くて器用な指がいっぱいあったら、64平均律も自在に演奏できてしまうかもしれません。鍵盤が1オクターブあたり64個の楽器があったりするのかも。
もし仮に64平均律だとしたら、音の種類が多いわけですから、扱えるコードや転調できる調の種類も多くなるはずです。音楽理論も私たちよりずっと複雑かもしれません。
そうなったらその音楽を私たちは理解できるのでしょうか……?
ちょっと怪しくなってきましたね。
コード進行の「あの感じ」
幼稚園のお遊戯会でお辞儀するときのピアノ といってイメージできるでしょうか。じゃーん、じゃーん、じゃーん、と3回和音を弾くアレです。
この和音の2回目の音で止まったとしたら、え、続きは?となると思います。多くの人が、終わった感じがしないよ!体を曲げたまま終わっちゃったよ!と思うのではないでしょうか。
この感じについてです。
このお辞儀のピアノのコード進行、「ドミナントモーション」と日本では呼ばれています。
この感じを難しい言葉で表すと「ドミナントの次にトニックが来てほしい」となり、これは西洋音楽圏の多くの人が(そう説明できなくても)同じように感じるということになります。
この感覚は宇宙では共通なのでしょうか。
このコード進行の2番目のコードであるドミナントは、白い鍵盤の「シ」「ファ」を含んでいて、増4度、不協和音なので、すっきりした音のトニックに進みたいから、というのがドミナントモーションの説明で見かけますが……。
これの「ファ」を省略してもドミナントモーションの効果はあるように聞こえます。きっと聞いてみれば、あなたも理屈はわからなくてもそう聞こえると思います。
これはもう不協和音を含んでいないはずなのに。
理由が説明できないとしたら、これはもしかしたら宇宙では共通ではないのでは?
もう少し複雑なコード進行となると、日本人が好きな「王道進行」というコード進行。確かに日本的な、ちょっと曖昧で切ない響きがして、感想には個人差あれど、なんとなく同じ雰囲気を感じていると思います。
特定のコード進行に私たちは似た感想を抱くから、音楽は感情や空気感の共有ができるわけですね。
こういったコード進行から感じる「あの感じ」は、宇宙ではどうなのでしょう。
なぜコード進行から雰囲気を感じるか調べてみたのですが、はっきりした説明は出てきませんでした。なぜ花は美しいか……レベルの謎かもしれません。
だとしたら、花を美しいと思わない宇宙人がいる可能性と同じくらいに、コード進行の感じ方が違う宇宙人がいる可能性もあるかもしれません。
そういう宇宙人は私たちとは違ったコード進行を組み立て、そのコード進行は私たちとは異なる意図なのかもしれません。
違和感を感じるコード進行を大量に含む可能性もあります。
コード進行の感じ方が異なるとしたら、調性、キーの概念も私たちと違う可能性がありますね。
宇宙人の作る音楽
宇宙人の作る音楽は。
リズムやコードそのものの美しさは大きく変わらなそうです。
不協和音だらけの音楽になる可能性は低いと思います。
ピアノをめちゃくちゃに鳴らすような音楽ではなさそうです。
ただ、平均律やコード進行、キーの概念は異なる可能性があります。
そうなると「非12平均律の無調音楽」のようになるのではないでしょうか。
本当の意味の無調ではなく、私たちには無調に聞こえるだけで宇宙人には法則と意図があるような。
知らない外国語のような音楽になるのかもしれません。法則があるのはわかりますが、意味は理解できない音楽。
逆に宇宙人も、私たちの明るい音楽を「明るい」とは理解できないのかもしれません。
今回西洋音楽を中心に考えてみましたが、昔の日本人が西洋音楽を初めて聴いたときも、私たちと同じように感じていなかった可能性だってあります。
このように、宇宙まで行かなくても、地球上でも時代や地域によっては本当に音楽が同じように感じているとはいえない場合もあると思います。
そもそも、個人の経験によって音楽の理解の仕方も一人一人違いがあってもおかしくありません。同じ音楽でも感想が異なることは普通です。
もっと掘り下げれば、哲学だとクオリアという概念もありますよね。
例えばピアノの音を思い浮かべたときの「ピアノの音のあの感じ」は本当に私とあなたで同じなのか、同じ風に聞こえているのか、という話です。
時と場合、定義によっては、音楽って地球でも実は世界共通語とはいえないのかもしれません。
私たちが同じ星同じ時代で、ある美しい音楽を一緒に美しいと言い合えること、もしかしたらそれがとても奇跡的なことなのかもしれませんね。
王道進行の話をしたので、今日の曲は「名残の夏空」。
サビの「遥かな空を流れる風は」の部分が王道進行です。
この曲を書いたころはあえて定番のコード進行を調べていなかったのですが、あとからコード進行を調べてみれば王道進行を選んでいたのですよね。
王道進行という名前を知らなくても、無意識に王道進行を他人から感じ取り再現していたわけです。音楽って不思議ですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?