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解離性同一性障害の話をします。


私は解離性同一性障害です。
精神科通院歴は14年、8年の誤診を経て、引っ越して転院しこの病名になりました。

今日は、解離性同一性障害とはどんな病気なのか、私の症状はどうなのかを書いていきます。



解離性同一性障害とは?

これを読むあなたが同じ病気ではないとしたら。過去の自分と今の自分は、どちらも同一人物の「私」である、と感じていると思います。幼稚園の頃の自分、学生の頃の自分、昨日の自分、1時間前の自分、そして今これを読む自分はすべて「私」ですよね?

解離性同一性障害(DID)というのは、この「私は生まれてから今までずっと私である」という感覚が失われる精神障害です。

仮に1時間前の私をなんらかの理由で「私ではない」と感じても、体は眠っているわけではないので、目が覚めた状態で何か活動はしています。そうすると「私ではない誰か」が同じ体で活動しているように「私」は感じます。その「私ではない誰か」にとってから見ても、現在のこの「私」は「わたしではない誰か」だと感じます。その結果、「私」と「わたし」、同じ体に二つの人格(自己同一性)が存在するかのようになっていきます。そうやってさらに三つ、四つ……と異なる人格が増えていき、日々が過ぎていくにつれて、それぞれの人格が異なる記憶と性格、思考を持つようになっていきます。

「私ではない」と思うきっかけになるのは、トラウマなどのつらい体験であることが多いです。例としては、虐待がつらすぎて思い出せなくなる、表現することを禁じられた感情を押し殺すことで自分の感情だと認識できなくなるなどがイメージしやすいでしょう。そして「私ではない」と思うことは無意識で行われるため、日常生活している「私」からすると「知らないあいだに別人格が現れて行動しているらしい」というように感じます。

異なる人格のあいだでは記憶の共有もされない場合も多く、考え方も好きなものも異なり、精神年齢も異なります。とある一人の友達をそれぞれ好きだったり嫌いだったりするし、筆跡さえも変わります。

また分かれた人格はそれぞれ、行動や性格が極端なことが多いです(個人差もあります)。たとえば、あなたが健康な人なら「おかしが食べたいけど太ってしまうから今はがまんしよう」と考えるとして。人格がばらばらになると「おかしを食べたくて仕方がない」人格が過食に走り、「太るのがいやだ」と思う人格は吐き戻したり食事を取らなくなるのが理由ではと考えています。「私は今○○に対して××と思っている」ということが認識できなくなります。

私の場合、知らないあいだに別人格によって人間関係が壊れていたこともあるし、別人格にお金を使い込まれたり、過食嘔吐もあったし、記憶にない自傷行為で気がつくと血まみれだったことも何度もあります。そして多くの場合、人格交代は自分では制御することはできません。生活に大きな支障をきたします。

世間一般的には、多重人格という表現のほうがよく知られていますね。

(※専門家ではない一当事者が勉強した上での説明ですので、より正確な情報はご自身でお調べください)


今の私の症状

今は人格統合が進み、以前と比べればかなり落ち着いています。

2017年までは人格交代により色々なトラブルがあったのですが、その記憶は今の主人格(一番長時間体を支配する人格)である私にとっては曖昧です。前の主人格はなにやら大変だったらしい、という感覚。
でも、最近は私ではないわたしたちについても色々と思い出すことはできるようになってきました、時間はかかるけれど。


別人格がいます

別人格は減ったと思うけれど、知っている限りまだ何人かいて現れたり見失ったり。
日常的に意識の中で声が聞こえます。
あなたも心の中で声を出すことができると思いますが、別人格も同じく心の中で声を出せて、会話ができます。
医学的には異常なのかもしれませんが、昔からそうだったから特に困ってはいません。

平和なルームシェアみたいですね。今も、ついにその話ネットに書くんだー?とか、そんなこと言われながら書いています。

たまに記憶がなくなるけれど、何か危険な人格になって暴れているわけではないみたいで、とりあえずは問題起こさず暮らせています。


記憶障害

記憶については、メモを取れば普通に暮らせます。
たまにうっかり忘れるけれど、ちょっとボーッとしてる人の範囲だと思います。た、たぶん。

というのも、解離のない人の記憶の感覚を知らないので、自分が忘れているのかそうじゃないのかも正直自信がありません。私の主観では普通に生活できているように感じていますがどうなんだろう? 健康な人の頭の中を確認してみたいですね。

スキルや知識の記憶には問題がないみたい。ここ1年で新たにプログラミングを勉強しているのですが、とりあえず本を読み進めることはできています。作曲の技術も新たに覚えることができています。
忘れるのは、日常生活で、何を話したとか何をしたとか、そういったことです。

人と会ったり連絡するときに、この病気で迷惑かけたり違和感を感じさせたりは、ないはず、ないようにかなり気をつけています……。でももし何か忘れて不快にさせていたらごめんなさい。


不安が強い

困っているのは人格交代より不安障害のような症状ですね。

きっかけとなった理由は覚えていないのですが、ここ最近一人で外出するのに強い不安を感じるようになって。外出中に何か重大なトラブルが起きてしまったらどうしよう、具合が悪くなってしまったらどうしよう、などとそう滅多に起こらないことに不安を感じます。

一時期良くなったのですが、今はまたコンビニまでも出かけられなくなっています、困った。

しかし不安を感じるようになったのは解離が良くなってきているからでもあると精神科では言われています。人格がばらばらになり、「私は外出に不安を感じている」ということが認識できなかった頃よりは良くなっているらしい。

こういう不安を今までの私は知らなかったとしたら、私の不安耐性がまだ子供レベルなのかな、だとしたら不安なのも仕方がないですよね。いずれ慣れていけば良くなるのでは、と踏んでいます。

外出しなければ不安にはなりませんし、旦那と一緒なら外出は問題なくできるので、生活はできています。


人格統合を目指しています

今後、私たちはできる限り人格統合をして、一人の安定した人間になることを目指しています。

かなり長いこと私たちは解離性同一性障害である自覚がなく、何かおかしいな?と思いつつ一人の人間として振る舞ってきました。
また、大きな人格統合が自然発生したときに、劇的に鬱症状と解離症状が良くなる体験をしたので、できるだけ統合したほうが楽に幸福に生活できると考えています。

なので今後も、別人格の記憶や行動もできるだけ自分の体験として語るつもりです。

接し方も、普通の一人の人として扱ってもらえると助かります。この人たまに雰囲気が変わるなー、そして忘れっぽいなー、くらいに考えていただければ!


ずっと誰かに話したかった

本当は最初の人格統合が起きた6年前にどこかに書きたかったのだけれど、当時は混乱しすぎてまともな説明ができず。解離していると文字を読んだり書いたりが上手くいかないんですよね。
その後は、今度は解離について考えるだけで具合が悪くなるようになり、また書けずに日々は過ぎて。解離自体がどうやら私たちにとって恐怖だったみたいです。

やっと頭の中でまとまってきたので書きました。

配慮してほしい、わかってほしい、などということではなく、もっともっとシンプルに、なんだか無性に誰かにこの体験を聞いてほしかったのです。へえー、不思議な病気があるものだな!という感じでね。

他にも解離で話したいことが色々あるので、また記事にするつもりです。


最後に楽曲紹介

6年前、別人格の統制が効かなくなって、その後統合が起きたときに作ったアルバム「赤の世界」です。

サウンドは一旦置いておいて、このアルバムは本当に歌詞が解離しまくっている!と思っていて!
解離が悪化すると歌詞や詩がふわふわになります。意味の曖昧さというか、言葉の連なり方というかが、ふわふわと。
前の主人格と私が混じり合ってできた曲たちです。

よかったら聴いてね。
興味があれば歌詞もどうぞ!

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