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代替不可な6人と花束

「裏切らないもの」って何だろうか。
幼い頃からの友人、家族、お世話になった先生……。いろいろなものが浮かんでは、頭の隅へぼやけて消えていった。妙にしっくり来なかったのだ。彼らが歌う「裏切らないもの」の正体が。
ある日、ラジオでこの曲を聴いていた母から、1つの答えが出された。「裏切らないもの」というのは、自分の中にあるものではないかと言うのだ。なるほど。ドラマに映画、舞台にバラエティ、その他いろいろ。歌やダンスだけでなく、それぞれの強みをいかして活躍している彼らのことを考えると、努力して手に入れた技術やキャラクターが「裏切らないもの」なのではないかというのは納得だ。

SixTONES 5枚目のシングル、「マスカラ」のフラゲ日だった8月10日。カップリング曲の「フィギュア」を初めて聴いた時から心を掴まれてしまったフレーズがある。それが、ジェシーくんのパート「あなたまだ十分こどもでいいんだよ」だ。聴いた瞬間、完全に涙のダムが決壊した。そんな真っ直ぐな声で歌わないでくれ。ぼろぼろ落ちる涙が止まらなくなってしまう。しかも、この歌詞を彼が歌うことの意味といったら。もう。ねえ。この曲を聴いた人なら、ここで急に語彙力が低下するのも無理はないと分かると思う。こどもみたいな無邪気な笑顔で周囲を明るく照らせる人がこう歌っているのだ。説得力とデトックス効果が半端じゃない。コンプレックスや悩んでることなど、日々の中で重りになっていく荷物をヒョイっと軽々持ち上げてくれるジェシーくんが見えた。さすがに幻覚すぎるけど、それくらい気持ちが軽くなるのだ。まだ十分こどもでいいなら、泣きながらでも走ってみようかな。

もう1つ(どころじゃないけど)好きな歌詞がある。
「どこかへ行こう、そのための花束を」の部分だ。
ここから先は、この歌詞を聴いて感じたことを書いていこうと思う。
私は、誰かを応援することは、花を贈るようなものだと思っている。その花は、お金を使うことであったり、声援であったり、ラジオに送るメールであったりと様々だ。「それは良くない」と誠実に批判することだって、好きな人に贈れる花だと思う。そして、ファンというのは、精一杯の愛を込めて花を贈り続ける立場なんだ。そう思っていた。でも、それだけじゃなかった。ファンの皆が贈った花は、いつしか大きな花束になって返ってきていた。その1つが、今回のシングルに収録されている曲「フィギュア」だ。この曲は、6人のこれまでと、これからに重なる部分が多くあると思う。しかしそれと同時に、私たちがどこかへ行くための花束でもある。思い切り背中を押すわけでもなく、前方で手を引く訳でもない。隣にいて、「行こうか」と手を繋いでくれるようなこの歌を、あんなにも可愛らしく魅せるなんて。6人ともずるいなあ。溢れた涙は止まらないけど、どこまででも走れそうな気がしてくる。
こんなにも心を揺さぶられまくっている私だけれど、SixTONESの曲をしっかり聴き始めたのは最近の話だ。だから私は、今まで6人を支えてきた人たちによって作られた花束を享受していることになる。なんかもう、ありがとうの気持ちで一杯になった。ここまで歩んできた6人に対しても、それを支えてきた人たちに対しても。私もこれから、もっともっと花を贈らせて欲しい。どんなことがあっても、誠実な気持ちで贈るから。

そしてここまで読んでくれた人は薄々感じているかもしれないが、この文章には「涙」という文字が多すぎる。聴いていると泣いてしまうから、この有様になるのだけれど、泣いているばかりではない。気づいた時には、笑顔になれている楽曲でもあるのだ。カラフルで可愛らしい世界観を先導するMVと、それを背景にキラキラと歌う6人の、ふんわりとした笑顔。それらが頭の中に浮かんできて、「大丈夫だから笑え」と励まされているような気持ちになる。たった3分40秒。されど3分40秒。これから先、この時間に何度救われるだろうか。

好きな人が舞台に立つことが、それを自らの目で見つめられることが、当たり前ではないと実感させられた2度目の夏。華やかに世に出た5枚目のシングルは、日本中に散りばめられた花束だ。

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