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夕日は静かに影を作った 15/20

夕焼けが眩しい時間に散歩をした。風が私の背中を押すが、歩く速度はいつもより遅い。どの道も知っているのに、私の心は迷子だった。頭の中で絡み合った言葉。一直線にならない進む道。歩くことで気を紛らわせた。ふと顔をあげると、子供達とすれ違った。上る坂道の途中で。おもちゃを片手に無邪気に走る子供。その姿を振り向きながら見続けた。離れていく無邪気な声が、私を遠い記憶にいざなう。あの頃知らなかった大人の心。無計画のままに走った自転車。感情のままに叫んだ言葉。全部、未来と引き換えに奪われていった。時間が私を子供で居続けることを許してくれなかった。いつかあの子達も私と同じ歳になり、同じように悩むのだろうか。気がつくと、揺れ動く子供達の影はどこかに消えていった。