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Weekly Quest <今後の相場についての考え方>

(2022年9月12日号)


毎週月曜日にWeekly Questと称し旬な話題を深く掘り下げて投資のヒントにしていければと思います。

レイバー・デイがきっかけの暴落

今回は先週の<アメリカの将来>の続きではなく、巷で話題になっているレイバーー・デイ(2022年9月5日)以降の相場について書いてみたいと思います。


(年初からのNYダウの推移)


最近  ”レイバー・デイ以降は急落する可能性があるので注意!!” といった記事をよく見かけます。当日を過ぎてしまうとの字も出てきませんが、結論から言うとレイバー・デイというイベントと株価には明確な相関はありません。今回の下落相場は8月半ばからすでに始まっており(もっと言えば1月から下落)、下落トレンドは変わっていません。さらに過去の暴落と照らし合わせてみることにしましょう。

以下のチャートが過去に起きたNYダウの暴落時の月足チャートになります。

①ウォール街大暴落 1929年9月
②ブラックマンデー 1987年9月
③ITバブル崩壊 2000年3月
④サブプライム暴落 2007年11月

いずれも暴落時の第一波が観測された時期です。これをみる限りレイバー・デイが転換点となったとは言い難いです。コロナ暴落も第一波は2020年1月でした。さらに今回の下落(パウエル暴落)の第一波が観測されたのは2022年1月になります。

それに、レイバー・デイは毎年やってくるわけで上昇相場の時は、”レイバー・デイ以降要注意” などという注意喚起は見たことがありません。ただし、レイバーデイを無事通過しその後株価が上昇に転じたとしても楽観論は禁物です。

転換点といえば、去年の12月に当ブログで書きましたが、暴落への3要素というものがありました。それは ①金利の引き上げ、投機を可能にする新技術、投機の拡大 でしたが今回もこの条件に当てはまりました。① はまだまだ継続される可能性が大、② はいわゆるロビンフッドなどのアプリで簡単に証拠金取引ができる技術の拡大が見られ社会現象にもなり、③ はその結果、証拠金取引残高が異常に増加したとことでコロナ上昇相場に対して下落の可能性が高まっていたのです。

FRBのブログをみると今後の利上げ方針としてはCPIが現在の7.5%から2024年に2.5%まで、またPCEが現在の5.8%から2024年に2.3%への着地を目指すと書かれていますので、よほど何か起こらない限り(例えば政府による大幅な価格統制など)金利の引き上げが継続され、その間GDPや失業率の悪化がひどくなる可能性が大きく、その結果株価が大幅に下落するのではないかと思います。


FRBはインフレ率2%目標と言っていますので、CPIが 7%、6%に下がったからと言って金融引き締め姿勢が転換することはないと思います。また、インフレ率を2%に沈静化するためには失業率が6%以上にならないと沈静化できないなどとも言われています。

利上げは経済の過熱を冷ますために行われますが、失業率を6%にするためにはどのぐらいまで政策金利を引き上げなければならないかを考えると、末恐ろしいものがあります。


今月は9月22日にFOMCが開催され政策金利の見直しが行われますが、その前に再び「これで引き締めが終了するかも」といった楽観論が出て株価が上昇することになると、FRBは沈静化のためにさらなるゲンコツを市場にくらわせることになるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。


バックナンバー
Weekly Quest あとがき 2021年12月30日号
Weekly Quest まとめ ”米国株暴落の歴史を学ぶ”