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Weekly Quest 2021年9月20日号

毎週月曜日にWeekly Questと称し旬な話題を深く掘り下げて投資のヒントにしていければと思います。


今月のテーマ 〜「バイオテクノロジーと投資:認知症」〜


今回は認知症の中のレビー小体型認知症と治療薬について考えたいと思います。

レビー小体型認知症とは脳の大脳皮質にレビー小体という異常なタンパク質が蓄積し脳の神経細胞が痛んで減少していく という病気です。このレビー小体がなぜ蓄積するのか原因はまだわかっていません。また、他のタンパク質と見分けがつきにくく異常発生の前兆をつかむことも難しいとされています。残念ながら根本治療薬はまだありません。

症状を改善し進行を遅らせる治療薬

このレービー小体型認知症の症状については他の認知症とは少し違っています。物忘れなどはほとんどなく記憶は比較的しっかりしていると言われていますが、顕著なのはせん妄や幻視です。部屋に他人がいるとか「可愛い猫だねえ」と存在しない猫を撫でるとか、なかには部屋いっぱいの顔があったなどありえないものが見えるという症状です。たまにTwitterなどで「オカルト現象」として紹介されていたりしますが、ほぼこのレービー小体型認知症だと思って良さそうです。遺伝する可能性もあり男性に多いと言われています。

現在では症状を改善し認知症の進行を遅らせるような薬が使われています。エーザイのドネペジル、ノバルティス/小野薬品工業のリパスチグミン、武田薬品工業のガランタミンなどです。 

このレービー小体が脳幹に蓄積されるとパーキンソン病を発症します。運動機能が損なわれ歩行に異常をきたしたり、夜中に家の中を徘徊したりする症状がでてきます。このパーキンソン病も根本的な治療薬というのはありませんが、開発途中の薬は何種類か存在しています。米国のアッビー(ABBV)のABBV-951は現在Phase3治験中です。他にはPhase2治験中なのがキッセイ薬品工業協和キリンサノフィーです。これらの薬が根本治療に役立つとなればレービー小体型認知症の治療薬としても朗報になるかもしれません。

このレービー小体型認知症も前兆ともとれる事象は10年〜20年まえから起きているとも言われていますが、なかなか兆候を掴むというのも難しい話です。脳の検査は大半が保険が効かなくて高額で、また専用機材を装備している病院が少ないというのも現状です。健康診断でメタボ検査ばかりやってないで頭の検査も是非やってほしいですね。ただ検査で発症の20年前に兆候が発見されると認知症保険とか加入できなくなるのでしょうか?笑 

最後までお読みいただきありがとうございました。