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Weekly Quest 2022年4月11日号<DPAとアメリカ・鉱山開発>

毎週月曜日にWeekly Questと称し旬な話題を深く掘り下げて投資のヒントにしていければと思います。


DPAとアメリカ・鉱山開発


先週はアメリカでの希少金属鉱山開発の必要性とDPA(国防生産法)の発動について見ていきました。バイデン大統領はバッテリーメタルの生産拡大についてDPAを発令しましたが、それに続いて4月6日には一部の議員と半導体の供給リスクについて会合を持ちました。これにはレモンド商務長官、ヒックス国防副長官、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)らが出席しまししたが、半導体についての話し合いで国防副長官や国家安全保障担当らが出席するのは異例です。

これはロシアのウクライナ侵攻が原因ですが、半導体の原料や希少金属類のロシアやウクライナ経由の供給が全てストップしてしまうことによりアメリカの経済を支えてきたIT産業にも大きな影響が出るばかりか、国の安全保障にも影響が出かねないと考えているのでしょう。アメリカ軍の兵器にも大量の半導体や電子部品が使われているからです。また、これを中国からの調達で輸入量を増やそうにも貿易制裁中ということもあり難しいばかりか、ロシアと中国との関係を考えるとそう簡単にはいきません。

それならば自給するしかないと言うことで今後は鉱山探索や開発を国を上げてやっていくしかないのではないかと思われます。”いまさら?” と言われるかもしれませんが、今始めないと本当に将来半導体や希少金属の供給が途絶えてしまうリスクがあり、それはアメリカにとって致命傷になりかねません。幸いアメリカはシェール油田など資源に恵まれているということもありますので希少金属についてもアメリカの技術を持って採掘すれば何かしら出るような気がします笑。


○鉱物資源の一般的な探査方法


鉱物資源の探査方法を簡単に見ていくことにします。まずは、上空から見ることになりますが、上空から見た地形精査を行います。空から見ただけで地中の鉱物が見れるのか?という疑問がおきますが、最新式の衛星を通していろいろな観点から地形や地中の予測が可能になります。特殊なフィルター処理をした画像で地中構造が把握できます。

最近では宇宙産業と聞くと ”宇宙旅行” を思い浮かべますが、大枚叩いて地球外の惑星に行く価値があるのかどうか?と個人的には疑問に思いますし、従業員を雇い会社として運営できる市場なのかを考えると、旅行産業としての位置づけは投資対象としてはどうなのかと思ってしまいますので、こういった探査業務の方がマネタイズという意味では大きな市場になるのではないかと思います。

ロシアがウクライナ侵攻を始めてからニュースなどで ”上空からの写真” が使われるケースが多いですが、最近ではアメリカのMaxar社(ティッカー:MAXR)の画像が数多く利用されています。鉱山を開発するためにはこういった衛星写真を特殊なソフトでフィルターにかけて地形をまず観察していくことになります。これはリモートセンシング技術と呼ばれています。

このリモートセンシング技術とは『「物を触らずに調べる」技術』(一般財団法人リモートセンシング技術センターですが、これには当然ですが衛星が必要になり、高解像のカメラや画像解析技術、特殊フィルターソフトなどが必要になってきますので、それらを総合的に提供している会社が恩恵を受けることになります。

こうして得たデータを解析し「どうもここに何かありそうだ」ということになると次は地上に降りて電磁波などを調べる地質調査が行われ、実際に発掘作業が行われることになります。実際に発掘を行うとなると莫大な時間や設備、機器の配置、運搬やデータ管理などの鉱山の運営管理も必要になってきますが、これらをワンパックにしたサービスを提供している会社もあります。さらに鉱山内での発掘運搬機器などでの必要な車両などを製造している企業も恩恵を受けることになりますが、最近ではこれに自動運転を利用する動きが出てきています。


また、こういったことを可能にするためには特殊な通信技術が必要になります。5Gはもちろんですが、鉱山内では思うように電波が届かないケースがあります。こういう特殊な通信を行うシステムを製造している企業も今後恩恵を受けるのではないかと思います。この分野ではアメリカのFluidmesh Networksという会社がありますが、Cisco Systemsが買収しています。


以上、簡単に鉱山開発方法や必要なものを見てきましたが、これらの企業は今後アメリカの鉱山開発政策の恩恵(資金的なこと)を受けるものと思われますので、投資対象としていまから研究しておくことが必要ではないでしょうか。

次回はそれぞれの工程で具体的に銘柄を考えていきたいと思います。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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