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Weekly Quest 2021年8月9日号

毎週月曜日にWeekly Questと称し旬な話題を深く掘り下げて投資のヒントにしていければと思います。今月のテーマは「バイオテクノロジーと投資:認知症」についてです。


今月のテーマ 〜「バイオテクノロジーと投資:認知症」〜


バイオ株へ投資する際の注意点としては値動きがかなり大きいことがあげられます。上昇局面に乗れれば良いですが、逆方向に動き出すと会社が倒産する危機もあります。少なくとも投資の際には薬の中身もそれなりに知っておいた方が、リスクを減らすことになります。

さて、高齢化社会で増えてきている病気の一つに「認知症」があります。バイオジェン(BIIB)の薬はアルツハイマーの治療薬として承認されました。「認知症」と「アルツハイマー」とはどう違うのでしょうか?認知症の症状としてはおおまかに次の4つに分けられます。

①アルツハイマー型 ②脳血管性型 ③レビー小体型 ④前頭側頭型

これらを総称して「認知症」と呼んでいます。なので一言に「認知症の薬」と言っても型によって全然違う薬が使われていますので、そこをよく理解しないといけません。当然ですが開発している会社も違います。バイオジェンの場合はこの①アルツハイマー型の治療薬を開発したということになります。

さてこの「アルツハイマー型認知症」ですが、認知症全体の約67.6%を占めていると言われています。日本では85歳以上の4人に1人、65歳以上の7人に1人がこの病気にかかっているとも言われています。

原因としては神経細胞の活動の過程で「アミロイドβ」と言われるタンパク質が脳神経細胞質に過剰に蓄積することによると言われています。これが脳の「海馬」と言われる部分にたまることにより記憶のシステムが崩壊していくと言われています。若いうちはこの「アミロイドβ」がきちんと分解されるので問題はありませんが、だんだんと溜まる量が分解される量を上回るようになってしまうということだそうです。

現状の薬ではこれらの動きを阻害して溜まる量を減少させようとするものもありますが、体に必要な他のタンパク質を分解してしてしまう作用もあり、副作用が起きるという問題があります。ガランタミンやリバスチグミン、メマンチンなどの治療薬がすでに利用されていますが、副作用もありなかなか難しいというのが現状のようです。興味のある方はどこが開発したのか調べてみてください。

バイオジェンの「アデュカヌマブ」は余分に溜まったアミロイドβを70%分解すると言うもので、今までの薬とはアプローチの仕方が違うものです。

ちなみにこのアミロイドβの過剰蓄積は一説には糖尿病が関係しているとも言われています。糖尿病の人はそうでない人に比べてアルツハイマーになる可能性が2.5〜3倍高いという研究報告もあります。

バイオジェンが作った薬がどんなものなのかをざっくりと見ていきました。アルツハイマーを引き起こす根本的な原因はまだまだ不明なところがあります。病気はなんでもそうですが、何十年にもわたる生活の中で徐々に蓄積されたものが色々なきっかけで異常をきたすものです。時間をかけて発症した病気を一発で治療するというのは難しいものなのです。

ちなみにこのバイオジェンの「アデュカヌマブ」はモノクロナール抗体の一種です。アミロイドβだけに結合するモノクローナル抗体を利用して溜まったアミロイドβを分解するというものです。

モノクロール抗体というとコロナ治療薬でRegeneron社(REGN)の「REGN-COV2」というコロナ治療薬が有名です。トランプ元大統領が使用した薬です。この「〜〜MAB(マブ)」ですが、これは「Monoclonal Anti Body」の頭文字を取ってMABと呼ばれています。一般的には病原菌が侵入すると白血球が総出で攻撃して分解してくれますが、この白血球の中の成分で特にその症状に効く細胞を取り出し治療薬にしたものなのです。それを何種類か組み合わさると「混合モノクローナル抗体」になりますが、最近のAI技術の進歩とDNAやRNAの解析進んだおかげで可能になりました。コロナワクチンもこういったIT技術の進歩があったおかげで開発期間が早くなったというわけです。AIやITのおかげで医療の場も恩恵を受けているということを覚えておいてください。(医療機器への投資につながります)

次週も認知症について掘り下げ関連銘柄を探していきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。