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米国経済の状態を確認する 〜賃金〜


8月入りして米国株は堅調に推移しています。しかし10年米国債の金利はまたもや1.2%を割り込んできており金利の上では景気悪化懸念を示していますが、株高というような状況が起きています。

前回は失業率を確認しました。失業率からみるとまだコロナ前の完全雇用の水準には戻っていませんのでFRBは景気は回復していないという判断のようです。政府の給付金が手厚く株式投資をした人たちはそれなりに儲かっていますから、株価が上昇している間は雇用は元には戻らないのではないかと思います。

景気を考える上で賃金の動きも重要な指標になりますが、米国ではここにきて働き手不足による賃金の上昇という現象が起きています。ワクチン接種による経済活動再開で人手が足りない状況になっています。


参考記事:コロナ明けの珍現象、高失業率なのに人手不足の米企業


失業率で完全雇用水準と言われている3%と現状の5%の差が埋まらないので賃金を上げてでも人をかき集めようということになります。ただ政府の手厚い給付金と株価上昇でこの2%の労働力はもう戻らないのではないかと私は思います。完全雇用に固執しすぎるとインフレが予想以上に進んでしまい、あわてて金利を上げるとマーケットは崩壊してしまうのではないかと私は心配しています。

それではまずコロナ前から現在までの賃金額の推移を見て見ます。

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(TRADING ECONOMICSサイトより引用・時間あたり最高賃金額)


コロナ禍で経済は一時的に大打撃を受けましたが、これを見る限り賃金額はコロナ禍にあってもおおむね上昇しています。「巣ごもり産業」の拡大の影響かもしれません。これを賃金の上昇率で見てみると次のような推移になっています。


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(TRADING ECONOMICSサイトより引用)


以上の推移からコロナ禍にあっても米国では「賃金は上昇している」ということになり「今のところ米国の景気は良い」ということになります。「巣ごもり産業」が「非巣ごもり産業」を補って経済が動いているということになるのでしょうか?

賃金の上昇があると次に発生するのは「物価上昇・インフレ」です。次回はここに注目して見たいと思います。

ところで日本は長くデフレ状態が続いており景気はお世辞にも良いとはいえませんが、賃金が上昇していませんから当然といえば当然の結果なんですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。