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Weekly Quest 2021年9月13日号


毎週月曜日にWeekly Questと称し旬な話題を深く掘り下げて投資のヒントにしていければと思います。


今月のテーマ 〜「バイオテクノロジーと投資:認知症」〜


前回は認知症の中の ②脳血管性型認知症についてその原因となる脳卒中(脳出血・脳梗塞)の治療薬について現状を説明し Biogenとティムス が面白そうだと説明しました。ティムスは8月に上場申請をおこなっており何もなければ年末あたりに日本の市場に上場してくることになりそうです。今回はさらに補足として脳梗塞の開発中の治療について探ることにします。

それは治療薬ではなく治療方法として日本のサンバイオ(4592)という会社が開発しているSB623という幹細胞をつかった治療方法で、いわゆる再生医療と言われているものです。幹細胞とは自己複製能と分化能を持つ特殊化していない細胞と定義されています。 この幹細胞を神経の前駆細胞へと誘導し傷んだ神経細胞を再生しようというものです。

この治療法がすごいのは脳梗塞の慢性期の脳神経を再生しようとするところです。慢性期とは発症から大体6ヶ月から5年ぐらい経過した脳梗塞を対象としていることです。以前にも触れましたが脳梗塞は発症から4〜6時間がその後の麻痺など後遺症を左右するもので麻痺を最小限にするためにはできるだけ早く初期対応をすることが重要です。発症後6ヶ月というのは麻痺が発生し、可能な人はリハビリを行なっている時期です。それまでに嚥下障害などを起こし肺炎になれば生命に危機が及ぶケースもあります。

このSB623の治験状況ですがPhase2の段階に来ていますが、ここに来て開発承認申請がかなり遅れていたり、米国での治験で提携していた大日本製薬が提携解消をしたり(ただし5.4%株主としては変更なし)、良好な進展が見込まれていません。また当然ですが赤字が大幅に拡大しております。他にもパイプラインはありますが臨床していないものもあり業績についてはお世辞にも良好とは言えません。株価も大幅に下落しています。個人的には大日本製薬が資本提携をすべて解消すると会社として限りなくアウトになるのではないかと見ています(いまのところはそのようなことはないと思います)。


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(Trading View社より引用)

再生医療については日本が誇る最高の技術になりますが、いろいろな問題もありまだ道半ばという状況です。今回のケースでは患者数は国内だけでも100万人以上となっておりこの再生医療で治療がうまくいくなら多くの患者さんが救われることになります。また傷んだ箇所が再生されるなら認知症の発症も抑えられることになりますので、今後に期待したいところです。

投資の際は自己責任でお願いいたします。将来の値上がりを保証するものでは一切ありません。

最後までお読みいただきありがとうございます。