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「鬼のように速い」の鬼ってなに?

鬼のように◯◯という表現

「鬼のように◯◯」という比喩があります。

例えば、「鬼のように速い」(早いもありますが、ここでは速いに統一)というと、めちゃくちゃ速い、びっくりするぐらい速い、というような意味になりますよね。でも、ちょっと待ってください。

鬼は速い?

さて、あなたに質問です。「鬼のように速い」の鬼ってなに?

桃太郎のラスボスである鬼に「速い」イメージはないですよね。そりゃ、鬼は桃太郎よりは速いとは思うのですが、確か猿よりは遅かったはず。でも、「猿のように速い」とは言いませんよね。

他の童話の鬼も…きっと徒競走をして優勝した鬼はいなかったでしょう。

つまり、速い鬼はいないのに、「鬼のように速い」という言葉が使われる。日本語って不思議ですね。

「鬼のように忙しい」とは言いますが、桃太郎の鬼は忙しくはなかったですよね、きっと(もしかすると、鬼ヶ島では、部下のマネジメントで忙しかったかもしれませんが…)。

鬼のように◯◯とは

なぜ、このような表現になるかというと、鬼のように◯◯とは、一般的には「非常に」「すごく」「超」を越えた表現。「鬼のように忙しい」とは、すごく忙しい、非常に忙しいよりも、さらに忙しい状態のことを言います。

「鬼のように速い」というのは、鬼自体が速いというわけではなくて、「びっくりするぐらい」+「速い」で、「鬼のように速い」という言葉になります。

あなたも「鬼のように◯◯」という表現を一度は使ったことがあるでしょう。

という話を20代以上の方は理解してもらえると思います。しかし、今後の日本を担う10代以下の新世代人には「鬼」は違うように捉えられるのではないか、という話を書きます。

鬼滅の刃の鬼

「鬼滅の刃」、大ヒットしてます。これは単なるブームではなくて、文化、生活に根ざしていくと思います。おそらく今の子供には必修科目になっているでしょう。

僕が子供の頃に必修科目だったドラゴンボールは主に男子が熱狂。女子には通じにくい存在でした。(もちろん通じる女子もいます)

一方、鬼滅の刃については、男女の境目はないように思います。どちらかというと、女子のほうが熱狂しているようにも思います。若い人の中には「大正時代に鬼殺隊が活躍したおかげで、鬼が絶滅した」と実際に思い込んでる人もいるのではないかと思います。

そのような状況を考えると、新世代の人たちにとって「鬼」は桃太郎の鬼ではなくて、鬼滅の刃の「鬼」になるのではないでしょうか。鬼滅の刃の「鬼」であれば次の言葉は納得いくでしょう。

「鬼のように速い」

鬼滅の刃の鬼は速いですよね。炭治郎はやっつけるのにいつも苦労してます。また、次の言葉もしっくりくるのではないのでしょうか。

「鬼のように強い」

鬼滅の刃の鬼は強いですよね。柱の方たちも鬼を倒すのに相当、苦労してます。(もしかすると、「柱のように強い」という言葉も生まれるかもしれませんが…)

言葉は鬼のように変わっていく

僕らにとっての鬼は、桃太郎などの童話の中の鬼、または親から言われる「いい子にしないと鬼がやってくるよ」という見たことはないけど、どこかにいるのではないかと思われる畏怖としての鬼です。

だけど、新世代にとっての鬼は、鬼滅の刃の鬼。そして「鬼のように◯◯」のイメージも、鬼滅の刃の鬼に変わっていくのではないでしょうか。それが良いとか、悪いとかではなくて、言葉のイメージが変わっていくのではないか、というお話でした。

言葉が変わる転換点に立っているのではないか。その事実に気づいた私は鬼の首を取ったように、このnoteに宣言しておくのです。

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