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新説ドラえもん

藤子不二雄先生の真骨頂がブラックユーモアにある(かも)というのは割りと有名な話。

A先生とF先生の区別はあんまりついてないけど、まぁ「笑ゥせぇるすまん」「怪物くん」などがA先生の、「ドラえもん」「キテレツ大百科」などがF先生の単独執筆っぽい。

今回はF先生の方に触れようと思う。彼の代表作といえば、前述した通り「ドラえもん」「キテレツ大百科」、他に「パーマン」「エスパー魔美」などか。どれも「児童向けSF日常漫画にニリヒズムをひとつまみ。」て感じがする。エスパー魔美はあまりにも読んだこと無さすぎるので知らない。

長編作品だと彼のニヒリストっぷりは「ひとつまみ」に留まっている、まぁ児童向けにあえて留めてるんだろうけど。でも短編だともうむっちゃスゴい。「ミノタウロスの皿」「間引き」「どことなくなんとなく」らへんが個人的には痺れる。

「ミノタウロスの皿」は結構有名っぽいので読んだことある人も多いかも知れない。なるたけ短く言うと

🔴ネタバレ↓



とある惑星に不時着した男がむっちゃ可愛い女の子に出会って一目惚れする。ところがその惑星では、牛が人間のように振る舞い、人間が牛のように食われる食文化が常識とされていて、彼女はもうじき食われるという。主人公は必死こいて彼女を助けようとするが、相手の規模がデカ過ぎるし、なにより彼女自身が「食われるコト」を「幸せ」としているので、救出は失敗に終わる。主人公、帰りの宇宙船で大好きなビフテキを頬張りながら泣く。



🔴ネタバレ終わり

あと「間引き」っていう、人口増加に伴って命(あるいは愛)の価値がしこたま下がった世界の短編もむっちゃおもろい。「また家の前に煙草ポイ捨てされてる!」的な感じで「またロッカーに赤ちゃん捨ててある!」みたいな台詞があった気がする。あと長年連れ添った女房が飯食い足りないって理由で旦那に毒入りおむすび食わせて殺して「ふぅ重たい、まったくもう」とか言って死体の処理する、みたいな。

F先生の短編は「ひょっとしたら有り得るかもよ?」っていう恐さが不気味で、魅力的だと思う。

じゃあドラえもんはどうなんだろう、ていう話。言わずと知れた大大大傑作なわけだけど、ぶっちゃけ短編の方が面白いよなぁとか思ってしまう。

まぁ「どくさいスイッチ」とか「かげがり」とか、片鱗は見えるけど全然物足りない。こんなん言っていいのか分からんけど。

「子どもに合わせたんでしょ」「ドラえもんで出来ないコトを短編でやっただけ」と言えばまぁそこまでだし、正解なのかも知れないけど、せっかくだからドラえもんをフルマックスで楽しむ方法を見つけよう!!

「ドラえもんは人類史の縮図」ていう読み方はどーでしょうか皆さん。

ドラえもんは、基本的に一話完結の形をとってる。でその一話の構成は大体次の通り。

のび太がジャイアンにイジめられる。ドラえもんに泣きついて道具を出して貰う。その道具を用いて、のび太は見事ジャイアンを退けるが、調子に乗って道具を乱用し、のび太再び困る。最後はドラえもんが腕組んで「やれやれのび太くんは…」。

これに「人間」「環境・戦争」「科学」を代入してみよう!

のび太(人間)が、ジャイアン(環境・戦争)に困る。ドラえもん(科学)に頼り、道具(原発・核とか)を出して貰う。道具を用いて、のび太(人間)はジャイアン(戦争)を退ける。のび太(人間)調子に乗り、道具(核)に振り回される。ドラえもん(科学)「やれやれのび太くん(人間)は…」。

これむっちゃ人類史っぽいよな。ミノタウロスや間引きを書いた人らしい作品に見えるね!!

となると「キテレツ大百科」でもいけますこの読み方は。キテレツ大百科はロボットのコロ助がポンコツで、人間のキテレツがむっちゃ賢い発明家っていう設定。つまりドラえもんとテレコの関係になってるだけで、やってるコトはあんまり変わらない。

「じゃあなんでわざわざ別作品にしたんだろう」てなりませんか、僕はなりました。そこでさっきの読み方。

のび太やキテレツを「人間」、ドラえもんやコロ助を「科学」とすると、ドラえもんとキテレツ大百科の間にある単純なテレコの関係に強烈な意味が生まれる。

まぁもう気付いてるかもだけど、「ドラえもん」が「人間が科学を使役してる話」なのに対して、「キテレツ大百科」は「科学が人間を使役してる話」てコトになる。

「キテレツ大百科」とは「シンギュラリティ後のドラえもん」だ!!

考えてみれば我々にしたって部屋に電気灯すために、コンロに火つけるために働いてるし、ひいては電車動かしたり都市を活動させるためにヒトは働いてるわけだから、すでに人間は科学に使役されつつあるのかも知れない。花が受粉のために虫動かしてんのと似てる。どっちが利用してんのか分からん。


まぁこんなんはむちゃくちゃ穿った読み方に過ぎないのかもだけど、僕は面白いと思いますこーいうの。明白に親父の影響、晩飯の時こーいう雑談をずっとしてもらってたから。今後も気が向いたらこーいう感じで何かしらノート書こうと思うので、お時間ありお気が向かれましたらチェックしてみてください。

あと終始「科学」て言葉の使い方あってたか気になる。化け学じゃくてよかったか、ドラえもんて。

あと漫画家の名前に先生ってつけてすいませんでした。鼻についた人いるかもしれません。普段はもちろんつけてないです。鳥山明は鳥山明って呼びます。尊敬はむちゃくちゃしてるけど。

ここまでこのノート書いて、キテレツ大百科ほぼ観たことないから一応どんな話か確認しようと思って調べたら全然ドラえもんとテレコじゃなかった。むちゃくちゃ腹立つ。キテレツが助手のコロ助と一緒に半端な道具作って最初うまいこといって最後困るっていう話みたいです大体。ドラえもんと変わらん!!ぴええぇぇ。

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