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違う色をした「好き」 - OSTER project / “フレンドシップ” -

 今回紹介する曲は、OSTER projectさんの“フレンドシップ”です。

 本作の特に好きなところは、3つあります。

①歌詞
②まるでドラマのワンシーンのような山場
③ぐっとくる調声

 まず、歌詞から見ていきましょう。
※以下の歌詞は動画から書き起こし、引用しました。

*好きという気持ち

 歌詞の中では、主人公が大切に想っている好きの気持ち、そして想い人(友達)との距離感が色鮮やかに、そして繊細に描かれています。

 「どうしてあなたのくれる好きは/違う色をしているの?」
 「触れることの出来ない気持ちが欲しかったの」

 特別で大切な気持ちを「違う色」や「触れることの出来ない気持ち」と表現しています。 

*苦しい片思い

「二人重ねてきた楽しい想い出も/全部 裏返って胸 締め付ける」

 楽しくてキラキラした想い出たちが主人公を苦しめていることが伝わってきます。

「丁寧なオシャレも言葉も温もりも/他の誰でもないあなたにだけ/響いて欲しかったの」

 また、「他の誰でもないあなただけ」ときて、「響いて欲しかったの」と続くところも切実さを感じさせます。「届いて欲しかった」ではなく「響いて欲しかった」という言い回しが、大事に想っている気持ちが音のように響いてきます。

*悔しい恋の終わり

 「苦しいよ 悔しいんだよ」

 ラストのサビの前に、吐き出された想いは「辛い」でも「しんどい」でも「悲しい」でもなく、「悔しんだよ」でした。それは歌詞でいう「お揃いになれなかった心」になれないことへの悔しさが現れています。
 個人的には、この「お揃いになれなかった心」というワンフレーズが歌詞の中で一番印象的でした。

 次に、②まるでドラマのワンシーンのような山場 を見ていきます。

*まるでドラマのワンシーン

「別れ迫る夕暮れの駅のホーム/一番近くて遠い横顔 眺めてた/揺れるまつ毛 髪のにおい 砕けた恋/ねえ 側にいたいよ」

 この部分は、曲の山場といえるでしょう。ドラマチックでたたみかけてくるようなメロディーが印象的です。また、歌詞も主人公の気持ちの糸が張りつめていくのと相まって、まるでドラマのワンシーンのようです。

 最後に、③ぐっとくる調声 を見ていきます。

*息苦しそうな歌声

 本作の鏡音リンの歌声は、聞きやすくて可愛い声をしています。ですが、ここぞというときに息苦しそうに歌っていて、心を揺さぶられました。

 「息も出来ないくらいに 苦しかった」「くらいに」が本当に息苦しそうで、主人公の叫び出したい気持ちで溢れていて、ハッとさせられました。

*まとめ

 “フレンドシップ”は、大切な友達を好きなってしまった切ない恋模様を鮮やかに、それでいて繊細に描いているところが、魅力だと思います。聴いていて心が躍ったり、楽しくなったりする作品ではありませんが、心に残る素敵な作品です。

 2021年には、この曲の続編“コンフェッション”が投稿されました。こちらも合わせて、ぜひ聴いてみてください。

 ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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