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今、まさにその感じだよ

なんで夏休みがあるんだ。
そう感じたのは、高校生になってからだったと思う。
それまで、夏休みは大好きだったと思う。「習わされる毎日」じゃなく、「好きなことを学んでいい毎日」だった。
漢字ドリルとか計算ドリルは確かにあったけど、それさえ終われば、感想文も、ポスターも、まさに研究も「自由」!
私は大好きだった「赤毛のアン」の作者について調べて、まとめて製本したり、自分で初めてスカートやバックをミシンで作ったり(ちゃんと私服で使えるやつ!)、読書感想文も必要以上の冊数を読んで、全て感想文にして提出した。ポスターも同じテーマで何枚か違うデザインのものを描いて、そのうちの1枚は優秀賞に選ばれて、区役所に張り出されたりした。

おそらく、好きなことを学ぶ、もしくは、与えられたテーマが、たまたま自分の好きなことだったりしたら、母親に「あんたさっきからMステ見てるけど、宿題やったの?」なんて言われなくてもやる。
私の中学までの夏休みは、自分の好きなことを学ぶ期間を学校がくれたんだと思っていたし、歴代の校長先生も、終業式の舞台の上から言っていたように思う。
「思う存分、好きなことを学び、新学期にはそれを披露して下さい。先生は楽しみにしています」

お噂はかねがね聞いてはいたが、こんなに違うのかい。と、高校1年の夏休み前に思った。
数学の辞書みたいに分厚い問題集の約半分が宿題。他の主要教科もだいたい同じだった。
「先生たちは、担当教科の宿題の量しか知らないの?全部の宿題を並べてみたことある?」と聞いたら、
先生たちは「やれる人がいるんだから、みんなやるんだよ」と言った。
それ、おかしいでしょ。ブラック企業と変わらんじゃないか。と、今なら言える。
そりゃやれる人はやれるさ。やれるからね!
そういうと先生は「じゃあお前はなんでこの高校に入ったんだ?そんなに宿題がいやなら、宿題の出ないレベルの高校を受験すればよかっただろ?」と言う。

ちゃうがな。

私たちは高校受験を通して、だいたい同じ学力レベルに振り分けられたよ。だからといって、この膨大な量の宿題をソツなくこなすスキルがみんなに同じレベルで備わってると思えないんですけど!

と、今なら言える。あのパンチパーマの担任に。でも、言えなかった。 
結局、私はどうしたかというと、今までと同じように、好きなものを研究した。
家庭科の「なんでもいいから料理か栄養について調べて、まとめて提出」という課題は気合をいれて「日本のどんぶり文化」について調べて提出したが、数学は問題集を開くことさえできなかった。
当時は、休み明けすぐに「実力テスト」というものがあり、出された宿題がそのままテスト範囲になっていた。
私は高一の実力テストで初めて0点をとった。
言わずもがな、数学で。どんぶりに関するテストなら高得点を狙えたのに。

それから、長期の休みが嫌いになった。こんな大量の宿題、できるわけないじゃん!と学校のせいにする自分と、宿題さえすれば0点なんてとらないのに、宿題をやれない自分。どっちもいやだった。
やれる人がいるんだから、私がやれないのはおかしい。先生達は教育のプロなんだから、やれる量を出しているはずだ。
そう思っても進まなくて、その度になんて自分はバカなんだ!って落ち込んだ。始業式に行きたくなかった。

そうなると、人間はどうなるのか。
欠席する正当な理由を探し出す。体調が悪い、部活の大会がある、おばあちゃんが危篤。なんでもいいから、「それなら仕方ないね」と言ってもらえそうな理由を作ろうとする。
私は体温計を勉強机の蛍光灯に当てて、38.5度の熱を計測することに成功した。

そして、今、三十路を過ぎたおばちゃんだけど、絶賛パート行きたくない。
さすがに、蛍光灯作戦を使おうとは思わないが、実際に夏風邪がちっとも治らず、お盆休みを理由に1週間パートを休んだが、まだ元気にならない。ひょっとしたら、体の拒否反応なんじゃないかな、と思ったりもする。
おばちゃんは、「気管支炎なんであともう2日休みください」と言った。
けど、本音では「気管支炎なんでパート辞めさせてください」って言いたい。

ごめんね、こんな大人で。こんなのは大人とは言わないかな?

君はどうする?学校、行く?行くか、行かないか、決められる?

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一日経ちました。

おばちゃんは行くことにしたよ。

学校じゃないから、10代と違う部分があるけど、
いちようだけど、おばちゃんが行かないと、店長は困るみたいなの。
いちようだけど、おばちゃんが行かないと、お店回らないみたいなの。
いちようだけど、こんな大人だけど、必要とされてるみたいなの。

そういう場所は、なかなか見つかるもんじゃないから、行こうと思う。

もし、学校には行きたくない。居場所がない。って感じたら、
とりあえず、休んで、自分を必要としてくれる場所を探してみるのはどうだろう。ネットやSNSの中でもいいと思う。何かのコミュニティを覗いてみるのもいいと思う。バイトしてみるのもいいと思う。やったことないことをやってみるのもいいと思う。そんな大それたことじゃなくて、今までとちょっと違うことね。いつもマックだけど、違うお店に行くとかね。
学校のパズルのピースにはなれなくても、違うパズルのピースになら、なれるかもしれないよ。自分を変える必要はないよ。場所を変えるだけ。

よかったら、やってみてね。


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