見出し画像

舞台から落ちて骨折入院しても最高のことが起こってる⑨

一歩、外へ
ヘトヘト感のあった昨夜から、今朝はスッキリしている。大暴れするここちゃんをなだめつつ、時々布団に入って来てくれるのも嬉しくて。電動ベッドがあるから寝る時も起きるのも楽だし、照明のリモコンがあるから、入院時とほぼ変わらず眠りにつける(今回初めて使った)。心配だった夜中のトイレだけど、松葉杖はややしんどいけど、ゆっくりグラウンディング意識すれば大丈夫。トイレの壁はちょうどいい距離にあり、手すりなしでもうまく体重を支えられる。
昨日はうまくいかなかったコロ付きの椅子もだんだん乗りこなせるようになって、台所の中はかなり動ける。小さなことでも「できるようになった」は元気にになるね。
雨と雪は外出禁止と言われているから、晴れている今日、思い切って病院へ行ってみる。市内の予約バスに電話してみようと思う。義父が送ると言ってくれたけど、車は軽ワゴンなので高さ的に無理。現状に合わせて、無理せず、一歩ずつ、外へ。

2階に上がれない
これがなかなか困難で。読みたい本、必要な資料、あらゆるものが2階にある。しばらくは我慢……あー洋服のクローゼットも2階!!と気づいて凹む。うーちゃんに適当に持って来てと頼む。身ぐるみ剥がされた猟師の気分。毎日ジャージでも、負けない泣
下着が毎日替えられて、毎日シャワーに入れるだけで、今は泣けるほど幸せ。

なんてこった
今週中(今日を含めて3日間)のうちに転院先の病院にかからなければならず、天気予報を見ると明日は雨、明後日は雪の可能性があり、今日しかない!と動き出した。
市内の予約制バス(タクシー)に朝から電話かけてるけどずーっとつながらず。ホームページには午前中は混み合うと書いてあった。しばらく考えてからタクシー呼んだ。出かけるまでの行程(部屋から玄関を出るまで)が初めてなので30分は余裕をみた。が、玄関まで来て……靴が履けない……。
「なんてこった」そう呟いた時、エレベーターに挟まれた大豆田とわ子が浮かんだ。ほんとーに「なんてこった」だよ。人生で、目の前にある靴が履けない場面に出くわすなんて思いもしなかった。えーと、えーと、どうすりゃいいんだ?松葉杖を壁に立てかけて、壁に手をついて、それを支えになんとかできないか考えるけど、左足に体重かけずに片足ずつ履くって……無理かぁ〜泣。そっか、椅子か。昨日帰ってきた時、玄関にも椅子がいるな、って思ったんだった。思っただけだったな。わたし。ふがいない。時間もない。
うむむ。昨日の帰宅時を思い出す。そうだ。昨日は靴が脱げなくて諦めて、靴のまま廊下を歩いて階段に座り、廊下を靴で脱いだんだった。そうだ。そうしよう。
なんとか両足に靴を履いて、廊下をジリジリ右足で歩き、さて、次は倒れた松葉杖を拾わなきゃ……え?どうやって?右足でスクワットみたいにかがみ、左膝をつきつつ体重をかけずに体をかがめて……
プップー!クラクションが鳴る。
タクシー来ちゃった!
2回目の「なんてこった」もう、恥ずかしいとか言ってられず、「ちょっと待ってくださ〜い!今行きます〜もうちょっと待っててくださ〜い!」と叫んだ。いや、聞こえんやろ、まだ家の中やし、ドア閉まってるし。
ブー、ブー。ほぼ同時に携帯が鳴る。
タクシーの配車センターだろう。あーもう。なんなのこのコント。半笑いになってしまう。また「ちょっと待ってください〜」と叫びつつ、どうやったかわかんないけど立ち上がって、玄関ドアに着く。鍵を開ける。ドアを開けて外に……出る前にゆっくりと閉まるドア……体を挟み込んで何回かに分けてにじり出るようと試みる。なかなか上手くいかない。
プップー。またクラクション。あーもう。
ブー、ブー。また携帯鳴ってる。あーもう。
そっか、電話に出ればいいんだ。カバンから携帯を取り出して「すみません、今、足が不自由で、ゆっくり出るので待っててくださいと伝えてください。もうすぐ行きます」配車センターの女性にそれだけ伝えるとだいぶ落ち着いた。それから、ゆっくりドアを出て、鍵をかけて、家の前の短いスロープに気をつけて、一歩一歩タクシーに近づく。あーよくがんばりました。

初めての通院
なんとか病院に辿り着き、病院敷地内に入ってから1メーター上がったのでチッと舌打ちし、さらに料金表示が税抜価格で運転手さんのいう金額にエッという言葉を飲み込み、いざ病院へ。(のちに自宅にタクシー呼んだ場合はその分料金がかかるのだと初めて知った)
整形外科の待合にはほぼ屈まなくていいくらいの高い椅子もちゃんとあった。さすが整形外科。ヨシヨシこれなら長く待てるぞ。……とはいえ、まあまあ長いな。電話で聞いた時には「今日は予約少ない方なのであまり待たなくていいかも……」ってのは「普段に比べて」って意味よね。かなり前にこの病院受診した時にかなり待たされたことを思い出す。期待せず、いくらでも待つ気で。
30分くらいで一度呼ばれ、状況を説明。その後、もう一度待つように言われた時は看護師さんがわたしの斜めがけできるバッグを持って待合まで来てくれた。ありがたい。しかし、次はもっと荷物減らそう。財布と鍵だけでもまあまあ重いのに、水のペットボトル500ml入れた。短い距離でも歩いてみると重りでしかない。バランス崩れるし危険。松葉杖スペックがまた増えた。
さらに15分ほどで呼ばれて入ると、なんだかイケメンの若い先生で、テキパキと状況確認と診察してくれた。1月には仕事復帰したいというと「え!それは無理かな〜」と即答。看護師さんもうなずく。そうなんだ……やや絶望感。
車に関しては、近いとこなら自己責任で。でも岐阜まではちょっと。手話講座のこと話すと、現地まで車で送迎、建物内は松葉杖で移動し、2時間の講座は座ってならできると思う、と。うーーーん泣。受け入れるしかないのか〜仕事も2カ月以上となるとどうなるのかなぁ〜手話通訳もいけないから無収入になるなぁ〜もうちょっと医療保険かけとけばよかった。こんなこと思うの初めて。

リハビリ
診察が終わり、また看護師さんに荷物を持ってもらいつつリハビリ室へ。「今日は予約するだけになりますけど」と言われつつ、長い廊下を歩く。これが今日の分のリハビリだな。まっすぐ歩くのはだいぶ慣れてきた。人や障害物があったら止まって待つ。ゆっくり、集中して歩くのは楽しい。
リハビリ受付で引継ぎされると、荷物をロッカーに入れるPTの先生。うん?「じゃ、こちらへ」とリハビリ室に案内される。おぉ、なんかやってくれるのね。ありがたや。
ベッドに横になり、痛い箇所を確認されつつ、事故の経過や仕事のことなどを話す。偏っていた身体が少しずつほぐれていく感覚。医師に電話で確認してくれて、体重の3分の1以下なら左足をついてもいいことになり、少し楽になる。だけど、完治の時期については医師と同じで1月復帰は難しいだろうと。「例えると水面の氷が徐々に厚くなっていくように骨が作られるので、ゆっくり時間をかけて、その間、壊れないように気をつけて、ということになります」。わかりやすい。わかりやすいが、悲しい。早く動きたい自分に気づく。だけど今、ここでこうなってることの意味をちゃんと受け止めようと思う。
1週間後にリハビリの予約を入れ、また玄関まではPTの先生に荷物を持ってもらう。「重いっすね」あー、すんません、ほんと。次からめっちゃ軽くして来ます。支払いを終え、椅子に座ってタクシーを待つ。玄関の案内スタッフの方が「来たら呼びますよ」と言ってくれて、本当にありがたい。呼ばれていくと、にこやかな優しい運転手さんで「骨折かな?」「年末忙しい時期に困るなぁ」なんて美濃の人っぽい優しい軽口。「もうね、今年はなーんにもしません」と言うと、「ああ、それがええわ」と笑ってくれた。降りる時も「気をつけてよ。今また転んだら大変やでな」と言われ、なんだか泣きそうになる。ありがとう。無事に帰ってこれました。

よろしければサポートいただけましたらうれしいです。アカシックリーディング、ヨガ、わたしの体験してきたことをお伝えして、ありのままの自分で生きるお手伝いをしていきたいです。