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「宇宙ゴミのことを考える時、自分も死ぬんだって思うんだ。」

この前のnoteにも書いたように、私にはオンラインでつながったヨーロッパからの留学生の友達(仮名:ジョシュ)がいるのだが、昨日も彼と話した。

聞くと、ヨーロッパはコロナ第2波でかなり大変なことになっているそう。日本でもニュースでスペインやフランスのロックダウンが報道されているので、何となく想像はしていたが、彼のいる国でも外出禁止令やマスク着用命令が出ているそうだ。ただ、ジョシュは「自分はラッキーだったよ」と笑顔で言う。

「僕が日本から帰ってきたら、ヨーロッパはロックダウンも開けて、レストランやカフェも開き始めてた。弾丸ヨーロッパ自転車旅も許してくれたしね。もちろん公共交通機関を使うときはマスクをしたりしたけど、そのほかのところはコロナがないみたいに過ごしたよ。自然の中で、大きく息を数の、最高だった。」

彼は昨年から日本に留学していて、コロナ禍にもかかわらずこの前の7月まで日本に滞在していた。その後、実家のあるヨーロッパのとある国へ帰国した。帰ってからは夏のバケーションを利用してヨーロッパ中を自転車で旅して回ったのだそうだ。

そんな夏が終わった矢先、また感染者、重傷者、死亡者が増えつつある。

ジョシュは感染者が増える前に、次の目的地に滑り込んだ。彼が引っ越してから2週間で各地でロックダウンが始まった。今はそこで田舎ライフを楽しみながらオンライン授業を受けているのだそう。

「危なかったね、ここに来られなくなったらまた違うプランを立てただろうけど、今の僕のベストな選択はここにいることだから。」

と屈託のない笑顔で言う。ジョシュ、よかったね、運命引き寄せてるね。そして君のバイタリティ、本当にすごい。

「ところで、最近は何しているの?新しい目的地でオンライン授業だけ?」
「全部、オンラインしかも出席しなくてもいいからね。かなり自由に過ごしているよ。テスト受ければいいだけだし。」

出席しなくても授業を録画してウェブ上に載せてくれるので、ほとんど授業には出席していないのだそう。私の大学は人数が少なく、ディスカッションなどのも多いので、出席しないでテストだけ受けると言うのはほぼない。自分のスケジュールを自分好みに、自由に組めるのは少し羨ましい。

「じゃあ、何してるのさ?ロックダウンでなかなか外に行けないでしょ?」
「そうだね。今までより外出は少なくなったね。カフェやレスランも近くにないし。勉強してるかな。」
「なんの勉強してる?」
「そりゃあ、でっかい夢のためにいろいろ文献読んだりだよ。」

彼には出会った頃から目指している夢があって、そのために世界各地を飛び回ったり、私には想像もできないくらい勉強している。彼に言わせれば、『リアルの世界で僕でいられることに最高に満足してるんだ。体がヘトヘトになるまで、勉強とかを止めることはできないよ。例えば、ビデオゲームをしている時とかは時間を忘れてのめり込んだりするだろ?そんなふうに生きてるから、逆に休憩する時にこまっるね。』だそうだ。

「そういえば最近僕が最近気になっているのはイーロン・マスクが打ち上げいる衛生だね。」
「そうなの?」
「うん。世界中に電波塔が立っていて、僕らのインターネットを支えてくれているだろ?それを、イーロンマスクは衛生でやろうって言ってるんだ。もう実行し始めてるよ。」
「さ、さすが…」

恥ずかしいことにイーロン・マスクについてはGrimesとの間にこの前子供が生まれた人ぐらいにしか知らなかった。名前は知っていたが、ちょっと調べたら想像もできなくらいのお金を持っていて、恐ろしく壮大なプロジェクトをやっているようで怖くなり、スッとブラウザを閉じた記憶がある。

「確かに、衛生でインターネットが網羅できるようになったら、もっといろいろな人が場所とか時間に関係なく楽しめるようになるのかもね。」
「そうそう、僕の夢にもつながってるし。でも、1つだけ問題があって。」
「何?」
「宇宙ゴミさ。」

私たち人間が打ち上げた衛生やロケットから出たゴミは無重力空間を漂い続けている。今までの宇宙開発でたくさんの宇宙ゴミが出て、それがごくたまにぶつかったり、惑星と衝突すること(簡単にいえば隕石)もあるので、宇宙開発の分野では議論になっている話題だ。

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「宇宙ゴミのことを考える時、僕も死ぬんだって思うよ。」
「ど、どういうことですかwwwww?」

唐突な死の感覚の告白。

「ほとんどの確率で起こらないけど、その宇宙ゴミが降っくることもあるんだよ。ほとんどの確率で起こらないけど、その宇宙ゴミが僕たちの頭を砕くこともある。」

『そんなんどれくらいの確率で怒るんだwww』と最初は笑っていた。

「待って待って、なんで宇宙ゴミなわけ?地震とかの時も私は死を感じえることがあるよ。あ〜こうやって無差別に揺られて被災することもあるんだなあ〜死も無差別に人に降りかかってくるんだろうなあ〜って。」
「う〜ん、でも地震からは逃げられるじゃないか。」
「逃られないよ。」
「君は日本に住んでいるからそう思うかもしれないけど、地震が起こりづらい場所なんて地球上にいくらでもある。そこに引っ越して地震の恐怖から逃れることだってできるよ。そう思ったら無差別じゃないだろ?」

確かに…。

「でも宇宙ゴミは誰にでも起こりうるんだ。地球上のどこにいても何をしていても、当たるかもしれない。予期せず、無差別にやってくるんだ。そういう時に、死も同じようなものだって思える。ほとんどの確率で今は死なないけど、その時はいつかくるんだって。宇宙ゴミはいつも死の無差別性と突発性を思い出させてくれるんだ。」

彼と話しながら、空を見つめた。夕陽に照らされた富士山の影が見えた。カラスが一斉に同じ方向へ戻っていく。しずみゆく夕陽に翳り始める部屋で、次の瞬間に起こるかもしれない予想もしない出来事に思いを馳せた。恐ろしくも、尊い、そんな気持ちになる。

「死っていうものは、怖ような気がするけど、原動力でもある。終わりがないものについて考えるより、終わりまでに使い果たす体と心について知った方が楽しいだろ?」


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