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日日是好日

 自粛生活中に観た映画で、心に残ったのが、日日是好日です。

 何をやっても不器用な大学生典子は母のすすめで茶道教室に通い始めました。そこで先生や生徒達との交流を通じ成長していく物語です。

樹木希林さんが演じる武田先生は、不器用な典子に「頭で考えないで、自分を信じてやってみなさい。」と語りかけます。いつも、どことなく自信が持てない典子を見抜いているかのように。

武田先生はお茶の教授を通じて人生を語るのですが、少しも押し付けがましくありません。あくまでも茶湯を語り、典子はそこから生きる上でのさまざまな考え方を感じとり、ゆっくりゆっくりと成長していきます。

 映画の中盤いつまでも上達する事が出来ずお稽古を止めようかと迷い始めたな典子に「(お稽古は)いつやめたっていいのよ。お菓子を食べに、お茶を飲みにいらっしゃい。」と武田先生は笑顔で言います。

先生の気持ちをおもんばかって迷う典子を応援するように。典子が武田先生を思うように武田先生もまた典子を大切に思う気持ちにあふれていたのです。

 日常生活のなかで、お稽古は心の逃げ場所だったり、心を自由にする場所なのかもしれません。

 緊急事態が解除になり、私は真っ先にギターの先生のところに行きました。

自粛生活中に自分なりに考えて曲を仕上げたつもりでしたが、先生のアドバイスを受けると、メロディーがふんわりと浮かび上がり、楽器がゴージャスなハーモニーを響かせ始めたのです。

音楽を別の観点から見ると、こうまで違うのかと感動し心を震わせました。

訓練、勉強を重ね技術を習得した人の凄みを感じました。

とはいえ、私もずいぶん長く勉強しているので、もう教えを受けなくても良いのではないかと思うこともあるのですが、非日常に身を置き、教えを受けることでギター音楽の素晴らしさを肌で感じることができるのです。私にとっては武田先生の言う「お菓子を食べお茶お飲む」と同じです。

 映画のラストシーンで、武田先生は「そろそろ教えてみなさい。勉強になるわよ。」と典子にすすめます。不器用で人より時間がかかった典子はどんな先生になるでしょう。何となく想像が出来ます。私も先生にそう言われて教えるようになったからです。

※2020年5月 緊急事態宣言を受け書道教室もしばらく閉鎖しました。持て余す時間をクラシックギターを弾いたり、ネットで映画を見たりして過ごしている間のお話です。

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