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才能を育てた3つの話

将棋の藤井聡太九段は14歳2ヶ月で4段昇格を果たし最年少でプロ棋士になりました。デビューから29連勝し大きな話題を呼び、将棋ブームが巻き起こったのは記憶に新しいところです。

藤井聡太九段が小学4年生の時、担任の先生に「5分でわかることを45分話す先生は無駄だと思う。」と言ったそうです。

それに対して先生は「5分でわかる子もいれば2時間かかる子もいる。その時によって合わせる基準を変えている。」と説明し、小学四年の藤井九段は納得したそうです。

藤井九段にとっては45分の授業は長くつまらない時間だったのでしょう。その率直な質問に対してけして叱ったりせず理路整然と説明した先生は藤井九段の苦痛がわかっていたのかもしれません。

その後、高校入学したものの自主退学し将棋に打ち込む道を選んだのは皆さんもご存じの通りです。

さて次にご紹介するのは箱フグの帽子かぶり、タレント、イラストレーター、として活躍する東京海洋大学名誉教授のさかなクンです。

さかなクンは子供の頃から魚の絵を描くことに熱中し学校のテストにも魚のイラストを描いていたそうです。

学習についていくのも大変だった、さかなクンを心配した先生は、お母さんに勉強をしなければ将来困るのではと助言しました。

それに対してお母さんは、今のままでよいと見守り続けたそうです。魚の絵から魚類の研究へ興味を広げていき現在の功績へと繋がったのはみなさんもご存じの通りです。

最後のお話です。私が習ったクラッシックギターの古川律由先生です。

古川先生には二人の息子さんがおられ二人そろって早くから注目され15歳でデビューしたギタリストです。

その天才ギタリストを育てた話が実にユニークです。

古川先生は息子たちの非凡さに気づき、二人が通う市立中学の校長先生に「体育と技術家庭で大事な手をケガしたら、授かった才能が無駄になる。」と授業を免除するよう直談判しました。

あまりの勢いに驚いた校長先生は、そこまで言うならと許してくれたそうです。

機嫌の良い時は何度もその話をし最後は必ず「今にしてみると馬鹿な話だと思うが、天才を預かった者には責任がある。」と愉快そうに笑いました。

 これら三つの話の共通点は、早くから出現した非凡性にあります。そして非凡を理解して育む環境もまた重要です。

 一方で、ゆっくりと育つ才能もあります。今熱中するものが無いのなら、しっかりと勉強をして将来の可能性を広げ、備えることをおすすめいたします。それもまた才能を育てる手立ての一つですから。

※2023年7月号「教室だより」を、この度再校正しました。

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