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これからプロジェクトマネジメントを学びたい人へ、おすすめ入門書9選

私は普段、NEWh(ニューと読みます)という会社で企業の新規事業・新サービス開発の伴走をしながら、個人では社会性の高い領域の採用支援や、地域の資源を活用した事業づくりに取り組んでいます。いずれのチームでも、プロジェクトマネージャーとして多様な立場の方々とチームをつくりプロジェクトを推進する役割で動くことが多いです。

最近、周りの人から「プロジェクトマネジメントをちゃんと学びたいんだけど何を読んだらいい?」と聞かれることが重なったので、良い機会だと思い自分の振り返りも兼ねてまとめてみることにしました。

ちなみに!ここでいう"プロジェクト"は、建築やアプリ制作といったものづくりの領域ではなく、新規事業開発の初期フェーズのようにアウトプットやゴールがまだ明確に定まっていないフェーズのプロジェクトを指しています。

特に社会性が高い領域の仕事では、体験プログラムづくりや場の企画運営など、無形の価値を生み出すことが求められるプロジェクトが多いのですが、そうした領域では近年になってようやくプロジェクトマネジメントの重要性が注目され始めたように思います。(参考:総務省は令和3年度から「地域プロジェクトマネージャー」という制度を新設しました

自分は「プロジェクトマネージャー」という肩書きではないけれど、プロジェクトをより円滑に、共創的に、確実に、前に進めるためのMINDSETとHOWを知りたい、という方へ贈ります。

プロジェクトマネジメントを構成するスキル

本の紹介の前にプロジェクトマネジメントの定義をしたいところではありますが、それをしようとすると途方も無い長さになるので、今回は私の所属するNEWhの募集要項を参考に話してみようと思います。

この募集要項は、私も含め、NEWhで実際に企業の事業開発を支援しているプロジェクトマネージャーたちが具体的な業務内容や立ち回り方を細かく洗い出した上で抽象化してまとめたものなので、かなり実践に紐づいた定義になっていると自負しています。(あくまでNEWhという組織においてですが)

プロジェクトマネージャーに求められるスキルとして、下記の5つを挙げています。

(1)プロジェクト要件定義:
決裁者やプロジェクトオーナーへのヒアリングをもとに、プロジェクト要件(目的・ゴール・期間・予算・制約条件 等)を言語化し整理することができる
(2)プロジェクトプロセス設計:
プロジェクト要件をもとに、チーム内で連携しロードマップや実行プロセスを設計することができる
(3)QCDマネジメント:
プロジェクトを俯瞰してQCDを管理し、潜在リスクを把握して適切な防止策・解決策を実行することができる。定期的にプロジェクトゴールに立ち返り、決定事項にとらわれすぎず、臨機応変にプロセスやプロジェクト要件の変更などの意思決定ができる
(4)共創環境構築:
プロジェクトゴールに向かって各メンバーが能力発揮するために、メンバーのWILLや特性を理解し、心理的安全性を担保しながらプロジェクトを推進することができる
(5)意思決定サポート:
決裁者やプロジェクトオーナーに寄り添い、適切なアドバイスで意思決定をサポートすることができる

NEWh プロジェクトマネージャー 募集要項

1つひとつを読んでみると「なるほど…なんかできそうな気がするかも…?」という感じですが、かなり幅が広い、かつジェネラリスト的なスキルが多いため「どっからどう学んでいけば良いの?」というのは悩むところかと思います。

・進行管理系=(3)QCDマネジメント
・情報整理系=(1)プロジェクト要件定義(2)プロジェクトプロセス設計
・チームビルディング系=(4)共創環境構築(5)意思決定サポート
とざっくり3つに分けてみると、学びを深める方向性が決められそうです。

進行管理系に置いた(3)QCDマネジメント は、Quality(品質)Cost(予算)Delivery(納期)を管理することですが、これらすべては密接に関係しています。予算が潤沢にあれば関わる人数も増やせ納期を短くすることができますが、その逆もしかりです。それぞれの関係性を理解しておくことで、常に状況が変化するプロジェクトでも戸惑わずに進行することができます。

情報整理系に置いた(1)プロジェクト要件定義(2)プロジェクトプロセス設計 では、複雑な情報・状況を構造的に捉え、他者と共通認識をつくれるよう可視化する力が求められます。

チームビルディング系に置いた(4)共創環境構築 は、社内メンバーはもちろん、クライアントやパートナーなども含めた、プロジェクトに関わるすべての人が、それぞれの持つ能力を最大限発揮し、対等な立場でプロジェクトゴールに向かうための環境をつくるスキルです。また(5)意思決定サポート は、さらにそこに事業部長や役員などの決済者も含め、プロジェクトが次のフェーズに移行するためのコミュニケーションも求められます。

おすすめ書籍9選

進行管理系

広い意味でのプロジェクトについて解説されていて全体像を掴みやすい。「決めるべきことをきちんと決めること、決まっていないことを把握しておくこと、そしてそれを可視化し関係者間で共通認識をつくること」の大切さが分かる。

小中学生向けの文体ではあるものの、大人が読んでも遜色ない内容。プロジェクトマネジメントって何?ということから、代表的なフレームワークの紹介も。

会議ファシリテーションのHOW TO本。「みんなの意見をよく聞いて最大公約数的な結論に妥協する」のではなく「みんなを巻き込みながら新たなすごい結論を作り出しそれを実行する」。タイトルの通り、会議で結論を出すための超具体的な技術が11個も紹介されていて、すぐにでも真似できそう。

情報整理系

ロジカルシンキングの代表的なフレームワークがとても分かりやすく紹介されている。図も多いのですぐ読める。プロジェクトマネジメントに限らず、社会人なら汎用的に活用できそう。

20世紀のモノづくり思考との対比で、アーキテクト思考(抽象化してゼロベースで全体構想を考えること)について解説している。こちらも概念を扱うだけあって図が多め。細谷功さんの著書はほかにも、構造の捉え方、具体と抽象の行き来について書かれているものが多いのでおすすめ。

重めだしちょっとお値段高いけれど、その価値はある(そう)。コンサル必読書(らしい)。お恥ずかしながら、私は未読…。入門書もあるみたいなのでそちらから入ってもいいかもしれない。

チームマネジメント系

プロジェクトの成果は、チームメンバーの力を単純に足し上げた1+1=2ではなく、3にも5にもなり得るし、逆にマイナスになることもある。そんな何倍もの力を発揮するチームをつくるには「安全な環境」「弱さの開示」「共通の目標」という3つの要素が必要、という主張に基づいて、具体的な行動と共に考察している。

ルーティンを効率よく回すことが求められる領域では「統制する組織」が重視されるが、速度の早い社会変化に柔軟に対応していく領域では「自走する組織」であることが重要。そんな組織をつくるプロセスについて語られている。2021年11月発売と比較的新しい。

数々の名著を出されている山口周さんの一冊。「手続き処理型の仕事」ではなく「プロジェクトマネジメント型の仕事」に変えていく際の、マインドセットと具体的なコミュニケーション方法について紹介されている。

おわりに

こうして本という形で体系化してくださってきた先人の方々、本当にありがたいですね…。知ることとできることの間には大きな溝があるとは思いますが、これから学んでみたいと願う人の最初のとっかかりになれば嬉しいです。

私が読んできた書籍は偏りがあったため、NEWhのプロジェクトマネージャーメンバーにおすすめしてもらったものも含まれています。吉田こうやさん、木下たくろうさん、辛川しょうたさん、ありがとうございました。

私もまだまだ勉強中なので、プロジェクトマネージャーの皆さま、ぜひコメントやTwitter等であなたのおすすめのプロマネ本も教えてもらえたら嬉しいです。

Twitterも細々とやってます→ @akanexxxxxxxx

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