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ママのための化学教室-9: 小麦アレルギーに潜む密かな問題

小麦アレルギーが問題になっていますが、ほとんどの記述ではグルテンがその原因とされています。本当にそれだけが原因なのでしょうか。近年輸入小麦の収穫前に、除草剤ラウンドアップが使われていることをご存知でしたか。植物を枯死させるという特性が、収穫した小麦の水分量を減らし、輸送中のカビの発生を抑えるのに便利だという図式です。

ラウンドアップの問題点に入る前に、遺伝子組み換え作物について少し述べます。

遺伝子組み換え(Genome modified; GM)作物

近年の分子生物学の進歩により、人に都合の良い製品が多く作られてきています。全てを否定するわけではありませんが、その中の一つが遺伝子組み換え作物です。当ブログでも「ママのための化学教室ー2」で簡単に説明していますので、そちらも参考に。


開発途上国の人口爆発による食糧難に対応するため、という大変立派な謳い文句で開発され、モンサント社をはじめとする巨大多国籍企業から当初開発途上国に無償で供与されました。

しかし、この種は、一代限りしか収穫できないという仕掛けを施された種でした。そして、もちろん無償提供は期限付き。それまでは自家採取という方法で、何代にもわたって自分たちで種を採取して作物を育てていた農家にとって、新たに毎年の種を購入する費用が発生する。逆を言えば遺伝子組み換えの種を販売するモンサント社は、毎年一定の金額を払ってくれる顧客を得たということになります。

さらに問題なのが、この遺伝子組み換え(GM)種子は、特許によって知的財産として保護されている点です。このタネが必要な農家は、多額の契約料もモンサント社に支払わなければならなくなったということです。そして、たまたまタネがこぼれて生えてきた個体であろうと、契約農家以外のところで生育していると、発見次第摘発、裁判で多額の賠償金を請求できるということです。

除草剤ラウンドアップ

ここで、遺伝子組み換え作物に利点の中に、除草剤耐性遺伝子を組み込んで、耐性を持たせて、それ以外の植物や害虫を簡単に退治できるという項目もあります。確かに、年に何度も行わなければならない草取りが簡単にできるというのは魅力的な謳い文句です。安全性もあると書かれています。その代表的な除草剤が「ラウンドアップ」の商品名で出回り出した商品です。

安全な除草剤として市場に出回り出したラウンドアップですが、近年かなりの問題点が見つかってきました(7)


ラウンドアップの問題点
 * 発癌性
 * 植物を枯死させる
 * 土壌細菌、腸内細菌を減らす
         →GM作物の収量も減少
  →腸内環境を破壊
            →自己免疫疾患等の原因
  →神経毒として作用
           →自閉症、認知症を誘発する可能性
 *生殖への影響
   →思春期に晒されることで、内分泌腺の攪乱を押す可能性
   →精子数の劇減
   →胎児の発育への影響の可能性
   →世代を超えて影響する危険性

いろいろな結果が明らかになるにつれ、各地でモンサントへの賠償請求や輸入禁止措置が撮られるようになり、2017年からは、「反モンサント・デー」として世界中で毎年抗議行動が行われています。

世界の潮流を逆行する、日本〜農薬漬け作物の危険性

その中で、なぜか日本は逆を行っている現状があります。ラウンドアップは店頭で簡単に購入できますし、成分特許の切れたグリホサート剤は、さまざまな名前で販売されています。2017年12月には、グリホサートの残留農薬基準を大幅に緩和されており、現在では一時期輸入野菜の農薬残留問題になった中国の残留基準の150倍になっています。

遺伝子組み換えではない小麦からも多くのグリホサート(ラウンドアップの主成分)が検出されるのは、アメリカやカナダでは、収穫直前に小麦にラウンドアップを大量に撒いて枯らす「プレハーベスト」をおこなっており、その方が多くの収量を効率よく収穫できるからです。同じ手法が大豆などの豆類や、ヒマワリ、ジャガイモなどの収穫でもおこなわれ、それらの作物も日本にも流入しています。


日本には米国やブラジル、カナダなどから、ラウンドアップ耐性を含む大量の遺伝子組み換え作物が流入し、その量は日本が年間に輸入する穀物量(約3000万㌧)の半分以上を占めるまでになっています。とくに、消費量のほぼすべてを輸入に依存するトウモロコシや大豆は、そのかなりの割合が遺伝子組み換え品種とか。日本は世界最大の遺伝子組み換え作物の輸入大国となり、遺伝子組み換え食品の表示基準も曖昧になり、日本の消費者は知らないうちに大量の遺伝子組み換え食品を食べさせられているのが現状です。




ある報告書

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抗生物質耐性菌があらわれるメカニズム

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抗生物質耐性菌が拡大する理由

(1)抗生物質多用の弊害
家畜を抗生物質漬けで飼育することで、細菌は突然変異を起こし、抗生物質耐性を獲得します。その牛・豚・鶏肉が日本にも輸出され、私たちの食卓にものぼっているのです。

(2)遺伝子組み換え作物の影響
GM大豆やトウモロコシの栽培が始まって数年後には雑草が除草剤耐性になり、ラウンドアップのサンプも、当初は一回出会ったものが3回以上に、土壌の殺虫遺伝子では死なない抵抗性害虫も登場。

害虫抵抗性作物は、土壌の細菌に由来する殺虫遺伝子のほかに、細菌由来の「抗生物質耐性遺伝子」を含みます。

さらに、「抗生物質耐性マーカー遺伝子」はGM作物の安全性にとって極めて危険な役割を果たしている。マーカー遺伝子を含む大豆やトウモロコシを食べた人間や家畜の体内では、これらが分解する際、腸内細菌がこのマーカー遺伝子を取り込み、抗生物質耐性になる「遺伝子の水平伝達」という現象が起こ流ためで、その結果、GM作物を食べたヒトや家畜の腸内細菌が抗生物質耐性になり、感染症になっても抗生物質が効かなくなるのです。

感染症予防や生育促進のための飼料添加物として家畜の餌に抗生物質を混ぜて与えていることで、家畜の腸内でも、一般の腸内細菌が死に、水平伝達によって抗生物質耐性になった菌だけが生き残る現象がかなりの確率で起きています。


(3)除草剤や枯葉剤が細菌の抗生物質耐性化を加速
細菌が抗生物質耐性になる原因として除草剤ラウンドアップや枯葉剤「2・4―D」「ジカンバ」が通常では耐性菌が発生するはずもない低濃度の抗生物質でも、除草剤や枯葉剤とあわせることで急速度に抗生物質耐性菌を生んでいます。

講演会「科学者とシェフが語る遺伝子組み換え食品と農薬の危険性」(5)

2019年10月31日(木)、東京ウィメンズプラザにて、カーン大学・セラリーニ教授(分子生物学者。ランドアップによる長期的有害性を証明した論文を発表するも撤回に)と、オーガニックレストランのオーナーシェフ・ドゥーズレさん(セラリーニ教授の動物実験を支えた民間研究グループ「遺伝子工学独立研究情報委員会」の役員。ともに執筆・講演活動を行う)を招いて行われました。

セラリーニ教授のよる「ラウンドアップ レンジャー・プロ」の成分分析
「グリホサート 41%/不明成分(※) 59% 」
※モンサント社からは、不活化成分とのみ回答。詳細は未公表。しかし、不明成分より、POEA(ポリエトキシル・タロウ・アミン;Polyethoxylated tallow amine)が検出されています。

——--引用開始
これまでラウンドアップのほとんどの成分はグリホサートと考えられていたため、セラリーニ教授は不明な成分の解明に取り組みました。まず、グリホサートのみ与えた植物とラウンドアップを与えた植物を比較する実験を行い、グリホサートのみ与えた植物はほとんど枯れることなく、ラウンドアップを与えた植物は完全に枯れました。そして、ラウンドアップの不明な成分から「POEA」という石油の残渣物が組み合わされたものが検出され、POEA単独で植物が枯れることがわかりました。モンサント社は不明な成分について不活性成分と回答するのみで、中身について一切公表しません。


 続いて、培養した人の胚細胞とラットに与える影響を調べたところ、ラウンドアップはグリホサート単体より毒性が最大1万倍も強くなりました。さらに、9種類のラウンドアップの化学成分を分析し、グリホサート以外の毒性を高めている化合物が石油の廃棄物成分と重金属(ヒ素・ニッケル)であることが判明。モンサント社は秘密にしていますが、成分の中に含まれていたヒ素は1974年以降、農薬としての使用が禁止されています。また、0.17ppbでヒ素中毒誘引の可能性があり、ラウンドアップには500ppbで含まれているということです。

規制がないワインの農薬

ワイン用のブドウ畑には大量の農薬が使用されています。セラリーニ教授がワインの成分を計測したところ、1本当たり1〜6種類の農薬が平均292ppb検出され、水道水質基準の1100倍になることが判明。ワインに使用される農薬には規制がなく、農薬に含まれる成分として、「イプロディオン:肝毒性、生殖毒性、発がん可能性あり」「フェンヘキサミド:内分泌かく乱物質」「イプロバリカルブ:肝毒性、生殖毒性、発がん可能性あり」「ピリメタニル:甲状腺中毒症、発がん可能性あり」「ボスカリド:甲状腺中毒症、神経系毒性、肝毒性、生殖毒性および発生毒性(化学物質など環境要因が次世代の発生過程に対して有毒な反応を引き起こす性質)」などがあり、250種類以上の農薬が特定されました。「動物には毒性のあるものを感知する能力が備わっていますが、農薬は味覚を麻痺させ、ワインのアロマと農薬から発生するアロマとの違いをわからなくさせます」とセラリーニ教授は警告します。

ハーブの解毒作用を活用

 2人は農薬など有害な化学物質の解毒方法として、「味覚を養う」「良質な食材を使う」「ハーブを使う」ことを推奨。人の幹細胞とラットを使った検証で、ハーブは解毒作用が強いことがわかり、特にタンポポが効果的とのこと(ただし体を冷やす作用があるので、温かいタンポポティーなどがよい)。新鮮なハーブを1日に3種類程度、ごぼうやタマネギ、ニンニクなどを多種類摂取することをドゥーズレさんは勧めます。
  ——引用終わり

最後に

最近の問題は、いろいろな要因が絡み合ってとても見えにくくなっています。注意深く観察することで、もしかしたら...という繋がりが少しずつ見えてきます。大丈夫、あなたはあなたのままでいいのです。焦らないで少しずつ知識を増やしていきましょう。希望はいつでも、あなたの手のなかにあります。

もう少し詳しく知りたい方のために

1. 更聞けないカルタヘナ法。遺伝子組換え・ゲノム編集農作物に関わる法律とは、2019.03.11、Think and Frow Ricci

2. 世界中が禁止するラウンドアップ 余剰分が日本市場で溢れかえる、2019年5月23日、長周新聞

3. 抗生物質が効かない耐性菌の氾濫 食と健康を脅かす遺伝子組み換えと農薬の弊害、社会2020年6月4日、長周新聞

4. CDC report, 2019

5. 講演会「科学者とシェフが語る遺伝子組み換え食品と農薬の危険性」2019年12月24日、

6. グリホセート組成物 [特許]
[Abstract]本発明は、カリウムカチオンとイソプロピルアンモニウムおよびモノエタノールアンモニウムから選択される少なくとも1種のさらなるカチオンを含むグリホセート組成物、およびそのグリホセート組成物を用いて雑草を防除する方法を提供する。

7. https://detoxprojectjapan.jimdofree.com/健康障害について/

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